KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

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塾長コラム記事




英語塾開設のご挨拶

2019年4月1日















 塾長のコラム (順次掲載版) 


2025年 1月〜6月分 (テキストのみ)




*時系列でそのまま上に追記しています。 

*PCサイトの、塾長コラム一覧リストより、フルバージョンの記事にアクセス出来ます。どうぞご覧ください。

*フルバーションの記事の改訂部分がこのテキストバージョンには反映されていない場合があります。

* ソフトのバグに拠り、単語同士がくっついてしまう問題が発生しています。フルバージョンの記事をご参照ください(まだ発生頻度が低いです)。







倒置構文2



2025年3月25日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは倒置構文について解説していきます。これまで各所で折に触れ解説してきましたが、それの集大成版となります。倒置とは疑問文を作る際にも見られることですが、要は、平叙文の中の特定語句を文頭に配置し、次いで様態語句(いわゆる助動詞−be 動詞も含みます)を配置する構文形式です。前回で触れた様に、強調の為に強調すべき語句を文頭に持って来る例が殆どであり−今回シリーズは前回とだいぶオーバーラップしますね−、それに伴い、それ以下の語句が固有の配列の変化を来します。定型的な法則に従いこれらの倒置現象が起きますので、否定の比較構文の解釈などと異なり、理解は至極ラクでしょうね。逆に、出会った文章が、どうも通常の文の配列としては理解出来ない構造であれば、ははぁ〜ん、倒置が隠されていると判断し、落ち着いて<元の>語順に戻して解釈すればそれで足ります。倒置表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、省略構文に触れて行く予定ですが、それで一通りの構文解説のシリーズを終える事になりますね。今回は倒置構文の第2回目となります。

英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/inversion


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 倒置構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




倒置構文2




*文の普通の語順 (Word Order) を変えることを倒置 (Inversion) と言いますが、これは広義の言葉であり、例えば、ある語句を文頭に持って来ることに注目すれば、それは fronting 前置 と呼びます。

*ここでは疑問文の倒置形式については扱いません。

*これら以外の構文としての倒置は、@強調の為のもの、A慣用によるものとに大別出来ます。

*形式を覚えて仕舞えばそれで済みます。

*否定構文の様に意味の解釈に戸惑わされることも無く、或る意味形式論で終わりますので単純明快です。

*覚えればそれで終わります。


 以下これらを順を追ってざっと解説して行きましょう。




1.強調のための倒置構文2




*強調による倒置とは自分が感じた驚き、興味、ショックなどを相手に伝えるために行う表現、詰まりは感情表現です。

*感情表現であると言っても、口語では通常用いられず、全て書き言葉、しかも文語的表現になります。

*従って、皆様が物書きになる場合は別として、ご自身の作文にこの様な表現を用いる事は一生無縁なはずです。

*前回の強調構文のシリーズにて倒置法に拠る強調表現について触れましたが、ここでもう一度纏めて解説します。


*強調の為の倒置には、副詞語句、補語、目的語が文頭に来る場合の3通りがあります。

*文頭に置かれた強調語句の直後に、(必要に応じて)助動詞 (have,  has,  had,  do,  does,  did )を置き、次いで S+V 或 いは V

+S の配列を取ります。

*V が be 動詞の場合、否定語+be 動詞+ S の形になることも多いです。be 動詞が助動詞のように扱われることになります。


*文意が取れない場合は、落ち着いて元の文型に戻せば問題は解決出来る筈です。

*文を構成する語句要素が長い場合は、適宜括弧で括ると理解が格段に容易になる場合が大半です。

*和訳時には、強調された語句成文に適宜強意の語を添えると完璧ですね。




b.  否定の節が文頭に来る (つづき)


2.否定語+従属節+倒置された主節、の語順のケース


*この場合は従属節内では倒置は起きず、主節内の否定語を副節の文頭に移動させ(位置的には変わらずに文頭のまま)、その上で主節側で倒置が起きます。

*離れて後ろに位置する主節内で倒置が起きることに呉々もご注意下さい。


*主語と動詞の関係が掴めず意味が取れない文に出会った場合、後ろの主節側で倒置が起きていないかを考えると良いでしょう。

*倒置文にした後に更に It is...that で<否定語+従属節>部分を挟んで強調構文化する例も多いですが、意味合いは同じままです。

*この場合は、後ろの主節側では倒置は起きません。


Not until...

It is not valid until you sign the contract.

 契約書にサインするまでは有効ではありません。

*主節内の not を従節の前に移動させて、更に主節内で倒置が起きます。

→Not until you sign the contract is it valid.

=It is not until you sign the contract that it is valid.


*the contract is でSVを形成する様に一見読めますが、その is は倒置されて主文の主語 it の前に出て居るものであることを把握します!

*以下の例文にて全てこの様な注意を持って意味を取って下さい!

*受験に際して大きな力になる筈です。


I didn't realise my wallet was missing till I got home

 家に帰るまで財布がないことに気づかなかった。

→Not till I got home did I realise my wallet was  missing.


Not since...

Not anyone (= no one) has made Marianne laugh.since Robin  died

 ロビンが死んで以来、マリアンヌを笑わせた人はいない。

→Not since Robin died has anyone made Marianne  laugh.


Not for a moment...

I didn't think I would be offered the job for a  moment, so  I  was amazed when I got it.

 まさか自分がこの仕事を任されるとは思っていなかったから、決まったときは驚いたよ。

→Not for a moment did I think I would be offered the  job,  so  I  was amazed when I got it.


*上4つでは通常の語順に戻す際に、not の位置が元の組み合わせからは外れ、副節内に移動することにご注意下さい。

*逆に言えば、元々は主節内にある not が、not+ 副節の纏まりとして文頭、即ち主節の前に出る訳ですね。

*否定語 not が文の前方に留まり続けると考えてもOKです。

*副節が否定語と主節(倒置される)との間に挟まった、ものと解釈可能です。



*副詞 only ですが否定語に準ずるものとして扱われます。

Only after you graduate from university will you  be  able  to  apply for an internship here.

 → You will be able to apply for an internship  here  only  after  you graduate from university.

≒ You will only be able to apply for an internship  here  after  you graduate from university.

 大学を卒業してからでないと、ここでのインターンシップに応募できません。


Only when I am alone can I relax.

 →I can relax only when I am alone.

≒ I can only relax when I am alone.


副詞 only の位置は、それが副詞句、副詞節の先頭に置かれる以外は、原則として主節の主語と動詞の間に置きます

*副詞の only を置く位置に関しては、以下にて詳述していますのでご覧ください。

  https://www.kensvetblog.net/column/202407/20240710/ 唯一を表す表現1


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c. 否定語以外の副詞語句が文頭に来る


To none but the wise can wealth bring happiness.

 賢い人以外には誰にも富は幸福をもたらさない。

 →Wealth can bring happiness to none but the  wise.


*ここの but = 前置詞 except

cf. but that の形で「〜ということが無かったら」(= unless) の意味となります。

He would have helped you but that he was short  of  money  then.

 もしその時お金に不自由していなかったら彼はあなたを助けたでしょうに。


Suddenly the door opened and in came an old man.

 突然ドアがあいて、ひとりの老人が入って来ました。

   → and an old man came in.


There sat my father.

→ My father sat there. 父はそこに座っていた。

cf. There he sat. (代名詞の場合は必ず動詞の前に置きます


Down went the Royal George with all her crew  complete.

 ロイヤル.ジョージ号はその乗組員全員と共に沈んでいった。

 →The Royal George with all her crew complete went  down.

 (complete は後ろから修飾しています)


  Among the things which impressed themselves  most  strongly  upon  me as I grew older was my brother's great-gift for teaching; not  only  had   he   the power of making clear the most  intricate  subjects,  but  he  had also, I see vividly in looking back, infinite patience in explaining  difficulties. (熊本工大、大阪女)  

 私が成長するにつれて最も強く印象に残っているのは、兄の教える才能の高さである。兄は最も複雑なテーマを明確にする力を持っていただけでなく、困難を説明する際の無限の忍耐力を持っていた。

→ My brother's great-gift for teaching was among  the  things  which  impressed themselves most strongly upon me as I grew older

→  he had not only the power of making clear the most  intricate  subjects,


*Among....be + S の倒置は良く見ますし、すぐに倒置であることが見抜けます。be 動詞或いは link verb がどこにあるかすぐに探して下さい。




2.補語が文頭に来る場合


*補語 C が強調のため文頭に置かれると、C+ (必要に応じ助動詞 have, do)+ V+S或いはC+助動詞(have, do)+S.+Vの順となります。

*Cには形容詞や過去分詞、現在分詞などが取れます。事物、事象の状態を表すCになります。

*この場合、動詞 V は link verb (copular  verb とも言う) 或いは SVOC を取る動詞になります。


*Cが名詞である場合、例えば、The animal she is  carrying  is  a puppy.→A puppy is the animal she  is carrying. と言うよりは、It is a puppy that she  is  carrying. と普通は表現しますね。また、She is  twenty  years  old. →Twenty  years old is she.は不文で、She is exactly twenty. などと表現する事になります。

*詰まり、SVC の文を、Cを強調したいが為に何でも CVS に出来る訳ではありません。ある程度の表現の型が決まっている訳です。


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a.主格補語 C

*主格補語 C とは SVC のCのことを言います。

*主語を補う語、の意味です。


C が過去分詞

Bllessed are the poor in spirit.

 心貧しき者は幸いなるかな。

 →The poor in spirit are blessed.


Blessed are the merciful; for they shall  obtain  mercy.

 慈悲深き者は幸せである;彼らは慈悲を受けることになるから。

 →The merciful are blessed


Gone are the days once cheerful and  gay.

 あの楽しき日々はもう過ぎ去ってしまった。

 →The days once cheerful and gay are  gone.


So accustomed was I to his invariable success  that  the  very  possibility of his failing had ceased to enter my head. (A.C.Doyle)

 私は、彼が必ず成功することに慣れていたので、彼が失敗する可能性など頭に浮かばなかった。(A.C.ドイル)

 →I was so accustomed to his ....



C が現在分詞

 Heading towards me was a lamb.

= It was a lamb that came towards me.

私に向かってきたのは一匹の子羊だった。



C が形容詞

Fortunate indeed am I, and fortunate I  shall  remain.

 幸せですよ、本当に私は、そしてこれからも幸せでしょう。

  →I am fortunate indeed, and I shall remain  fortunate.


So famous has she become that there is  hardly  anyone  anywhere that has not heard of her bravery.

 彼女はたいへん有名になったので、彼女の勇敢さを聞いたことのない人はどこにもいないほどである。

  →She has become so famous that


Such is the pleasure you give that you cannot  come  too  often.

 君があたえる喜びはたいへん大きいので、何度来ても来すぎることはない。

 →君が来てくれるのはたいへん嬉しいことなので、何度来てくれても結構です.

  →The pleasure you give is such ( = so  great)  that

*この言い回しは受験にも頻出します。



C が形容詞句

Of more practical importance will be the  information  supplied  by space vehicles about our  own  plant.

 より現実的な重要性は、宇宙船からもたらされる私たちの工場に関する情報だろう。

 → The information supplied by space vehicles  about our  own  plant will be Of more practical importance.


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b.目的格補語 C

*目的格補語 C とは SVOC のCのことを言います。

*目的語を補う語、の意味です。

*この補語を強調して倒置する時は、SVOC →CSVO と単純にC が先頭に出るだけで、以下の語順に変化はありません。

*用例は少ないですね。

*整序問題として採りあげられている例も見ます。


I knew he was careless, but dishonest I never thought  him.

 彼が不注意であることは知っていたが、不正直だとは決して思わなかった。

→but I never thought him (to be)  dishonest.








倒置構文1



2025年3月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは倒置構文について解説していきます。これまで各所で折に触れ解説してきましたが、それの集大成版となります。倒置とは疑問文を作る際にも見られることですが、要は、平叙文の中の特定語句、或いはそれに含まれていた様態語句(いわゆる助動詞)を文の先頭に持ってくる構文形式です。前回で触れた様に、強調の為に強調すべき語句を文頭に持って来る例が殆どであり−今回シリーズは前回とだいぶオーバーラップしますね−、それに伴い、それ以下の語句が固有の配列の変化を来します。定型的な法則に従いこれらの倒置現象が起きますので、否定の比較構文の解釈などと異なり、理解は至極ラクでしょうね。逆に、出会った文章が、どうも通常の文の配列としては理解出来ない構造であれば、ははぁ〜ん、倒置が隠されていると判断し、落ち着いて<元の>語順に戻して解釈すればそれで足ります。倒置表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、省略構文、分詞構文に触れて行く予定ですが、それで一通りの構文解説のシリーズを終える事になりますね。今回は倒置構文の第1回目となります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/inversion

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/no-sooner

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/hardly

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/scarcely

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/barely


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 倒置構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。


INVERSION - Advanced English Grammar | Learn how to INVERT your sentences and the CONDITIONALS

Arnel's Everyday English 2022/09/02 https://youtu.be/ivrER84mTOc

 この動画の例文を参考にさせて戴きました。




倒置構文1




*文の普通の語順 (Word Order) を変えることを倒置 (Inversion) と言いますが、これは広義の言葉であり、例えば、ある語句を文頭に持って来ることに注目すれば、それは fronting 前置 と呼びます。

*ここでは疑問文の倒置形式については扱いません。

*これら以外の構文としての倒置は、@強調の為のもの、A慣用によるものとに大別出来ます。

*形式を覚えて仕舞えばそれで済みます。

*否定構文の様に意味の解釈に戸惑わされることも無く、或る意味、形式論で終わりますので単純明快です。

*覚えればそれで終わります。


 以下これらを順を追ってざっと解説して行きましょう。




1.強調のための倒置構文1




*強調による倒置とは自分が感じた驚き、興味、ショックなどを相手に伝えるために行う表現、詰まりは感情表現です。

*感情表現であると言っても、口語では通常用いられず、全て書き言葉、しかも文語的表現になります。

*従って、皆様が物書きになる場合は別として、ご自身の作文にこの様な表現を用いる事はおそらく一生無いはずです。


*前回の強調構文のシリーズにて倒置法に拠る強調表現について触れましたが、ここでもう一度纏めて解説します。


*強調の為の倒置には、副詞語句、補語、目的語が文頭に来る場合の3通りがあります。

*文頭に置かれた強調語句の直後に、(必要に応じて)助動詞 (have, has, had, do, does, did )を置き、次いで S+V 或 いは V+S の配列を取ります。

*V が be 動詞の場合、否定語+be 動詞+ S の形になることも多いです。be 動詞が助動詞のように扱われることになります。


文意が取れない場合は、落ち着いて元の文型に戻せば問題は解決出来る筈です。

*文を構成する語句要素が長い場合は、適宜括弧で括ると理解が格段に容易になる場合が大半です。

*和訳時には、強調された語句成文に適宜強意の日本語を添えると完璧ですね。




1.副詞語句が文頭にある場合


 原則として、

副詞語句+助動詞(have, do)+S+Vの語順になります。

Sが代名詞の場合は、必ず動詞の前に代名詞を位置させます

*Sが代名詞で無い場合は、副詞語句+助動詞(have, do)+V+S の語順を取ることもあります。


*否定表現の副詞語句が先頭に出る例が多く紹介されますが、それ以外の副詞語句の場合も倒置は普通に見られます。


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a.  単文の否定の句が文頭に来る


Little did we expect that they would return  safe  and  sound.

 彼らが無事に帰って来ようとは、私たちはほんの少しも思っていなかった。

  →We little expected that...


Never  before had such a victory been  won.

 そのような勝利は以前には得られたことが全くなかった。

→Such a victory had never been won before.


 Never did she give up the fight. Never  did  she  let  herself  be  overcome  by her misfortune. A valiant woman, indeed, she was. In vain do we  look  for signs of weakness or despair? Not  a  line  has  she  ever  written  complaining about her unlucky fate.

 彼女は決して戦いをあきらめなかった。不幸に打ちひしがれることもなかった。実に勇敢な女性だった。私たちが弱さや絶望の兆候を探すのは無駄なことだろうか?彼女は自分の不運な運命について愚痴を一行も書いていない。


Rarely  does it happen that the harbor is frozen  up  as  late  as  February.

 二月になっても,港が氷にとざされているのは本当に珍しいことである。

 →It rarely happens that...


Rarely do I see people reading newspapers.

 → I rarely see people reading newspapers.

 新聞を読んでいる人はめったに見かけない。


Seldom do I see people reading newspapers.

 → I seldom see people reading newspapers.

 新聞を読んでいる人をめったに見かけない。


Hardly a day goes by without a visit from  someone.

 誰かの訪問を受けない日はほとんどない。


At no time have I ever been more  frightened  than  now.

 これほど驚いたことは決してありません。

 →I have never been more frightened at  any  time  than  now.


*at no time = never


At no time did she offer to pay for gas.

 → She offers to pay for gas at no time.

 彼女がガソリン代を払うと申し出たことは一度もない。


Not once have I had a issue with one of my  neighbors.

 → I have not once had a issue with one of  my  neighbors.

 私は一度も隣人と問題を起こしたことがない。


On no accout must you show this letter. Never  do  this.

 →You must not show this letter on any  accout

 この手紙は絶対に見せてはいけません。絶対にしないでください。

cf. account 理由


I told Jerry that  on no account will I speak  to  Sandra.

 ジェリーには、私はサンドラとは絶対に話さないようにすると言った。


Under no circumstances  must you show this  letter.

 → You must not show this letter under any  circumstances

 どんなことがあっても、この手紙を見せてはいけません。

cf. circumstances  周囲の状況


In no way  am I going to adopt any of his methods.

→ I am not going to adopt any of his methods.

 決して彼のやり方を採用するつもりはありません。

*in no way = not at all, never

*way 遣り方


A spokesman insisted the two events were  'in  no  way related'.

→A spokesman insisted the two events  were  'never  related'.

 広報担当者はこの2つの出来事は「まったく関係がない」と主張した。


Nowhere is language a more serious issue  than  in  Hawaii.

→Language is a more serious issue  nowhere  than  in  Hawaii.

= Language is not a more serious issue  anywhere  than  in Hawaii.

 ハワイほど、言語が深刻な問題になっているところはありません。


Not only had he wonderful knowledge, but he  was  a  discoverer  and inquirer.

 彼はすばらしい知識を持っていたばかりでなく、発見者で探究家でもあった。(英国用法)

 →He had not only wonderful knowledge, but ?.


Not only  does Mara speak English and Italian, but  she  is  also  learning Arabic.

 → Mara not only speaks English and Italian,  but  she  is  also  learning Arabic.

 マーラは英語とイタリア語を話すだけでなく、アラブ語も勉強しています。


Only later  did I find out that she was in fact  stealing  a  lot  of my ideas and data

 →I found out that she was in fact stealing a  lot  of  my  ideas  and data only later.

 後になって初めて、彼女が私のアイデアやデータを盗んでいたことがわかった。


Only in winter do most lemontrees bear fruit.

 → Most lemon trees only bear fruit only in  winter.

 ほとんどのレモンの木は冬にしか実をつけない。



 In no other type of contemporary American  writing  are  the changes  in  American society during the early years of the century  more  apparent than in our humor. (W. Blair)

 現代アメリカ文学の中で、今世紀初頭のアメリカ社会の変化が顕著に表れているのはユーモア以外には無い。 (W・ブレア)

→ In contemporary American literature, the  changes  in  American  society at the beginning of this century are most evident in humor.


*主文の主語 the changes  in  American society during the early years of the century を見つけてサッサと括弧で括らないと意味が取れません。

文の構成要素(主語、装飾語、目的語など)が長い場合に、倒置などの修辞を用いると意味が取りにくくなります

*まぁ、95年前(1930年刊行)の時代掛かった英文です。それを50年前の学参が好んで採り上げ、当時の受験生が捻り鉢巻きで悪戦苦闘−しかしその後に全然英語が話せないまま−しているとの毎度の滑稽な図式です。

*現今はさすがに事態は改善を見ていると思います。


cf. A is no more evident in B than in C → ここでは A  is  most  evident in C  と理解します。

*〜以上に〜なものは全くない→最高だ、の流れです。

*型通りの修辞など廃して、最初からストレートにあっさりと記述した方が良い様に思うのですが。


参考

https://uwpress.wisc.edu/books/0308.htm

Walter Blair (1900-1992) was professor of  English  at  the University of Chicago. He pioneered the study of American humor over the course of  more than sixty years of scholarly publishing.  Among  his notable works are Native American Humor, Tall-Tale America, and Horse-Sense in  American Humor. He received the Jay B.  Hubbell  Award  from the American Literature Section of MLA, the Charlie Chaplin Award from the  American Humor Studies Association, and the  first  Distinguished Mark Twain Scholar award from the Mark Twain Circle. Hamlin Hill is  Distinguished Professor of English at Texas  A&M  University.  He  is the editor of Mark Twain's Letters to His Publishers and the author of Mark  Twain and Elisha Bliss, Mark Twain: God's Fool  and  America's  Humor  from Poor Richard to Doonesbury, the last of which he wrote together  with  Walter Blair.




b.  否定の節が文頭に来る


*2パターンが観察されます。


1.否定語+倒置された主節+従属節、の語順のケース


No sooner had + S + 過去分詞...than  S + 過去形

Hardly/Scarcely/Barely had + S + 過去分詞...when/ before  S + 過去形


*〜するやいなや〜が起きた、の定番表現です。

*2つの事象が間髪を置かずに連続して起きたことを表します。

2つの事象の間に何らの因果関係は存在しません。只、時間的に連続して起きたことを示すだけです。


*昔日の文芸作品に良く登場する定型的表現ですが入試にはそこそこ出ます。

*塾長としても、半世紀以前の文芸作品にしか、この様な表現に出会った記憶がありません。

*まぁ、相当に構えた、ガチガチの古くさい表現とも言え、一応は知っておけば良いとの表現ですね。

*理系英語の世界には縁無き表現です。


*主節には過去完了形或いは完了を表す過去形 (例 was/ were finished) が用いられます。

*これに対し、従属節では過去時制の動詞を取ります。


* 文法的には、than, when, barely などの後ろが従属節ですが、文章のメインの意味はその従属節にあります。

*本来的に、<Bする直前にAが起きていた>、の意味ですが、<AするやいなやBが起きた>と、主節の意味内容が従属節の様に、一方、従属節の意味内容が主節の様に扱われます。

*まぁ、意味の主副交代現象です。


*そのままの語順で、immediately after or when +過去形の従属節>,+<過去形の主節>に書き換えが可能です。

*これに瞬時に書き換えると逆に意味が鮮明化します。

この時に、過去完了形では無く、只の過去形に書き換えることにご注意下さい


*これらは強調型を取らない通常の語順で記述される場合も勿論存在します。

*<Hardly...than> などの表記も散見されますが文法的な誤用ですね。意味は分かりますが。


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No sooner had I come into contact with him than I  determined  to  get  to know him well. Never in my life have I been so strongly and  immediately attracted to any man, before or since.

 彼と接触するやいなや、私は彼をよく知ろうと決心した。後にも先にも、これほど強く、すぐに惹かれた男性はいなかった。

*意味としては、従節側の< I  determined  to  get  to know  him  well.>がメインであるのは明らかゆえ、主節扱いします。

→Immediately after I came into contact with him, I  determined  to  get  to know him well.


No sooner had they seated themselves at the table  than  a  horrible  clamour was heard in the air.

 彼らがテーブルに着くやいなや、恐ろしい喧騒が響き渡った。

→Immediately after they seated themselves at the  table,  a  horrible  clamour was heard in the air.


Needless to say, no sooner had all these large and  rather  expensive  operations been over than main power was introduced and turbines becameobsolete.

 言うまでもないが、このような大規模でかなり高価な処理過程がすべて終わると途端に、主電源が導入され、タービンは時代遅れになった。

→immediately after all these large and rather  expensive  operations were over, main...


His experience in dealing with complex family cases  meant  that  no  sooner had he retired in 1997 than he was back working as a deputy circuitjudge.

 複雑な家族事件を扱った経験から、 1997年に退職するやいなや、彼は巡回裁判所の副判事に復帰した。

→His experience in dealing with complex family  cases  meant  he  was back working as a deputy circuit judge immediately after he retired in 1997.


cf. ここの mean = to result in, cause, produce 〜と言う結果になる、結果を起こす、の意味です。


Hardly (or Scarcely) had he heard the news when  he  cried  loudly.

 彼はその知らせを聞くやいなや大声で泣いた。

→He had hardly (or scarcely ) heard the news when  he  cried loudly.

→Immediately after he heard the news, he cried loudly.


Hardly had he returned to London than an  anonymous  well-wisher  called.

 ロンドンに戻って間もなく、匿名の支援者から電話があった。

→Immediately after he returned to London, an  anonymous  well-wisher  called.


Scarcely had they left before soldiers arrived  armed  with  rifles.

 彼らが去って間もなく、ライフルで武装した兵士たちが到着した。

→Immediately after they left, soldiers arrived  armed  with  rifles.


Scarcely had Bruce shaken our hands when the  phone  rang.

 ブルースが私たちと握手する間もなく、電話が鳴った。

→Immediately after Bruce shaken our hands, the  phone  rang.


Barely had she recovered from this trauma when  Martin  contracted  whooping cough.

 マーティンが百日咳に罹った時、彼女はやっとこのトラウマから立ち直ったところだった。

Immediately after she recovered from this  trauma, Martin  contracted  whooping cough.

 彼女がやっとこのトラウマから立ち直ると、今度はすぐにマーティンが百日咳に罹ってしまった。


 (つづく)








強調構文10



2025年3月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第10回目、最終回になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-married


https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdf

https://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/

 この2つのサイトの記述を主に参考にさせて戴いています。




強意語・緩和語とは




*本シリーズの第2回目にて、言葉の意味を強調する語として、very  に加え、dead, dreadfully, terrible, even, all, extreme, highly, badly の用例を挙げましたが、これらの副詞は修飾する語句に強意を加える強意語 Intensifier です。他にも数多くの強意語が存在します。

*前回にて扱った極限形容詞を修飾可能な副詞はその仲間になります。


*これとは逆に、修飾する語句に強意を加えるのではなく、マイルドさを加える修飾語もあり、これらを緩和語 Mitigators, Downtoners などと呼称します。

*まぁ、例えばギターの弦で或る1つの音を発音させる時に、同じ音を出すにしても、強い音を出したり、ボケた音を出したり、ミュートの掛かった音を出したりと様々な効果が駆使されますが、言葉に対しても同様な加工が施される訳です。

*これらの語は、修飾する対象語が比較不可能形容詞−絶対形容詞+極限形容詞−では無い一般形容詞でも勿論利用可能です。

*それらが名詞を修飾する語、即ち形容詞であればそれぞれ強意形容詞・緩和形容詞などと呼ぶことになります。


*very + 形容詞が別の1語で言い換えられる例を述べて来ましたが、1語に言い換える策では無く、very ばかりではない別の強弱を表す語を使い、文の締まりを良くしようとの、横に広がった策になります。

*強意副詞・緩和副詞を使用して強弱にニュアンスを加える遣り方です。


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*実は、動詞に関しても、同様なことを強意で述べたり、ボカして述べたり、弱気で述べたりする、<互いに別動詞ではあるが似たもの>が有ります。

*尤も、単に強弱を違えるだけではなく、同時にニュアンスも幾らか変えてしまう例が動詞には殆どだろうと思います。

*これは、(強意などに限定されずあらゆる意味の)副詞+基本動詞を別動詞にて言い換える操作になります。

*何のことは無い、英英辞典での、<見慣れない1つの難しい動詞>を<副詞語句+易しい基本動詞>で言い換える定義、の逆を遣ることに等しいです。


*話を思わず!拡張してしまいましたが、英語の語彙を増やすことの根本はここにあり、単に知っている名詞の数ばかり増やせば足りると言うものではありません。


*この様な動詞の使い分け方、ニュアンスの出し方の違い -要は動詞の類義語の正確な理解- に関しては、我々日本人は非常に弱いところがあると塾長は常々感じていますし、塾長本人が学校英語にてそれらについての指導を受けたことも無かったですね。


*名詞に関して、例えば、中学生が良く尋ねるような  journey  と  trip  の違いは何か程度の探りと教師側の返答はありますが、動詞に関しては生徒側からの質問も出ず、また教師側からの解説もほぼ有りません。

*英作させても、例えば<報告動詞:言う>、<想念動詞:思う>の各種動詞を使い分けての英作も出来ませんし、目にした英文の意味合いの違いもピンと来ないのが実情かと思います。


*機会があれば本塾長コラムにて、この観点から過去の断片的な説明をも纏めつつ、解説出来たらと考えて居ます。


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*以下、全てを網羅する事は不可能ですが、代表的な、強意語、緩和語 についてざっと眺め、本シリーズの締めくくりとしましょう。




強意語 Intensifier


*対象とする語に high strength を加えます。


*very, really, extremely が頻用されますが、こればかりでは退屈な面白みの無い表現になってしまいます。

*これら以外の強意語を使うと洒落っ気も出ます!


*他に以下の語が良く利用されます:absolutely,  amazingly,  completely,  entirely,  incredibly,  insanely,  particularly,  remarkably,  so,  utterly,  unusually,  totally,  exceptionally


You did amazingly in the exam.

 あなたは試験で素晴らしい結果を残した。


It's incredibly generous of you to pay for  my  holiday.

 私の休暇のためにお金を出してくれるなんて、あなたは信じられないほど気前がいい。


Their insanely catchy, upbeat songs make  you  instantly  hum along.

 彼らのめちゃくちゃキャッチーでアップビートな曲は、すぐに口ずさんでしまう。

The food looked insanely delicious.

 料理もめちゃくちゃおいしそうだった。

*insanely 狂おしいほどに (大げさで informal な用語です)


It is particularly gangerous to swim in the  lake  during  a storm.

 嵐の中、湖で泳ぐのは特に危険だ。


She was so upset, I felt extremely sorry  for that.

 彼女はとても動揺していて私は非常に残念に思いました。


I am totally confused.

 私は完全に混乱している。


It's going to be an exceptionally useful  lesson.

 非常に有益なレッスンになりそうだ。



特定の形容詞と共に利用される強意語

*広く一般的に利用出来る強意語もあれば、或る特定の語との組み合わせ(コロケーションと言う)で利用される強意語も存在します。


dangerously

ill, hot などと共に利用されます

I'm afraid your mother is dangerously ill.

 お母さんは重症だと思う。


The car engine was dangerously hot.

 車のエンジンは危険なほど熱かった。


seriously

damaged, hurt などと共に利用されます

The house was seriously damaged.

 その家はひどく損傷した。


Fortunately, none of the passengers was  seriously  hurt.

 幸いなことに、乗客の誰も重傷を負わなかった。


highly

successful, intelligent, likely, unlikely と共に利用されます

She was highy intelligent woman.

 彼女は非常に知的な女性だった。


He is a highly successful businessman.

 彼は非常に成功したビジネスマンだ。


× It was a highly tasty meal.

 非常に美味しい食事だった。

→  It was a really tasty meal.

 本当においしい食事だった。

→ We had a insanely tasty meal.

 とてもおいしい食事だった。


×That's a highly good idea.

 それは非常に良いアイデアだ。

→ That's an incredibly good idea.

 信じられないほど良い考えだ。


bitterly

disappointed, unhappy, cold と共に利用されます

I was bitterly unhappy at work.

 私は職場で苦しいまでに不幸だった。


We were bitterly disappointed to lose the  football  match.

 サッカーの試合に負けたのが苦々しいまでに悔しかった。


It can  get bitterly cold in Canada in winter.

 カナダの冬は寒さが辛くなるほど厳しい。




緩和語  Mitigators


*<突き抜けて極端に>では無く、<ほどほどの、結構な、相当に>、の意味です。

*意味が取りにくい場合は、取り敢えず、<極めて〜だ>ではなく、マイルドさを加えた<そこそこ〜だ><或る程度〜だ>の意味だと脳内確認して下さい。


*quite, somewhat, rather, fairly, pretty (これは informal),  kind  of  (これも informal),  mildly などが利用されます。

*これらの語は、<極めて><心底の>の意味は持たず、<或る程度までに>の意味を持ちます。

*<或る程度までに>の<或る程度>は幅を持ち得ますので意味の曖昧性を持ちますね。

*逆に、物事を断定せずに敢えてボカす意図、或いは話し手本人が評価・判断に迷っている状態にある事を示す意図でも利用出来ることになります。

*これは、日本語の<相当に>の<相当>と同様です。

*casual 表現の pretty, kind of は進んで使う事は控えるべきでしょう。


*但し、quite は強意の形容詞、副詞、例えば  brilliant,  amazing,  incredible,  awesome,  gorgeous  などの語を修飾する時には、強意語 absolutely  とても、の意味として機能します。

*後ろの語に意味を合わせると言うわけです。

*pretty も同様に、強意、緩和の両方の意味用法で利用されますが、quite と同様な理解で良いと思います。


quite

It was quite hot on Sunday.

 日曜は結構暑かった。

= It was hot, but moderately hot.

 暑かったけど、ほどほどに暑かった。(極度に暑いと言うほどでは無くそこそこ暑かった)


She was quite tired.

 彼女は結構疲れていた。(疲労困憊と言う程でも無く結構疲れていた)


The film was quite exciting.

 その映画は相当に面白かった。(ほどほどには面白かった)


This project is quite brilliantly built.

 この計画は非常に見事な作りだ。(これは強意の quite)

= This project is absolutely brilliantly built.


fairly

He has worked fairly hard this week.

 彼は今週は結構頑張った。(必死に頑張ったというのではなくそこそこ頑張った)


I ran fairly quickly.

 私は相当速く走った。(全速力で必死に、とまでは言わないがそこそこに速く走った))


rather

It's rather cold today, isn't it?

 今日は結構寒いですね。(極度に寒い訳ではなくそこそこ冷えている)


By the end of the party, we were rather bored.

パーティーが終わる頃には、私たちはそこそこ退屈していた。(心底退屈したと言うほどでは無いが結構退屈した)


somewhat

He concluded that Oswald was somewhat  abnormal.

 彼はオズワルドが或る程度は異常であると結論づけた。


He explained somewhat unconvincingly that the  company  was  paying for everything.

 彼は、会社がすべてを負担していると、やや納得のいかない説明をした。


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目出度さもちう位也おらが春 小林一茶


*この句の、ちう位の意味するところに関しては、文字通りの<中程度だ、そこそこだ>と解釈する者もいれば、<可なり良い>の意味だと唱える者もいます。

*上に挙げた緩和語を当てて訳すと好適な様に塾長は感じますが如何でしょうか?


今年の正月は結構目出度い。

My New Year's Day is fairly auspicious.


今年の正月はほどほどに目出度い。

My New Year's Day is moderately auspicious.


*結構良い、悪くない、などと同様に、意味に含みを持たせて読み手側にあれこれ想像させる点に於いて、正に文学的表現、一茶の思う壺?ですね。




 今回で強調構文の解説を終わります。次からは各種の倒置構文を扱う予定です。これまた、一通り、ガツンと頭に入れると生涯を通して役に立つ事必定です。








強調構文9



2025年3月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第9回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-married


https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdf

https://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/

 この2つのサイトの記述を主に参考にさせて戴いています。




強調構文9




*本シリーズの第3回目にて、良く見られる <very  +  形容詞の他の語への言い換え表現>について扱いました。

*ここでは、付け足しとして、この様な言い換えについての文法事項を確認していきます。


*また、ついでに!比較可能な形容詞、詰まりは比較級、最上級の取れる形容詞と、それが取れない形容詞について何が違うのか、どの様な文法、語法上の制約があるのか、についても引き続き触れていきましょう。




極限形容詞使用に際しての注意点




https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdf

https://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/

 以下、この2つのサイトの記述を参考にさせて戴きます。


極限形容詞使用に際しての注意点


*極限形容詞を使う時に覚えておくべきことは主に3つあります。


1.極限形容詞をある特定の事物、事象を記述する際には、比較級や最上級として使ったり、程度を表す very, slightly などと共に使うことは出来ません。

*上にも触れましたが、これは絶対形容詞についても同じです。そもそも<絶対>ゆえ、比較級など取り得ないわけです。


This cake is very tasty. は

This cake is delicious. と言い換えることはできますが、

×This cake is very delicious. とは言えません。


I am very tired. This is the most tired I've  ever  been.

I am exhausted. This is the most tired I've  ever  been.

 私は疲れ果てている。でも、今までで一番疲れた。

×I am more exhausted than ever. (これは口語では許される表現です)


*しかし極限形容詞と言えども、2つの異なる事物、事象を比較する際には、特に口語表現に於いては比較級、最上級は取り得ます

*これは論理からするとおかしい様に見えますが、普通に許され利用される用法ともなりつつあります。

*後にご紹介する、上野義和氏の論考をご参照下さい。


I  am  more  exhausted  today  than  yesterday.  This is  the  most  tired  I've  ever been.

 私は昨日より今日の方が疲れ果てている。今までで一番疲れた。


昨日も最高度に疲れ果てていたが、今日の最高度の疲れかたの方が昨日よりもっと上だ、の意味です



2.Only use the modifiers absolutely, utterly,  really  or  pretty.

*極限形容詞を強調する際には、absolutely (絶対に)、utterly (全く)、really (本当に)、pretty (かなり、これは informal)という修飾語だけが使えます。

*fairly、extremely、very などの他の修飾語は使えません。

*上にも触れましたが、絶対形容詞の方は、absolutely,  completely, t otally, really, pretty  を一緒に使うことが出来ます。


◯The house is utterly filthy.

×The house is very filthy.



3.多くの一般的な形容詞は、複数の極限形容詞を持つ事が出来ますが、使用に当たってはそれを使う文脈に合っていることを確認する必要があります

*まぁ、ニュアンスがズレていないかどうか注意する必要があるわけです。


This building is huge.

This building is massive.

 この建物は巨大だ。(2つはほぼ全く同じニュアンスです)


I saw some ancient artefacts in the museum.

 私は博物館で古代(ずっと昔)の工芸品を見た。

My neighbour is ancient, rather old.

 私の隣人は只の年寄りどころではありません。(同じ ancient でもちょっとふざけた様な大げさなもの言いになります)


The shipwrecked sailors couldn’t find any food on  the  island  and were starving.

 難破した船員たちは島で食べ物を見つけることができず、飢え死にしそうだった。

I haven’t had breakfast. I am starving.

 私は朝食を食べていないんです。とても空腹です。(同じ starving でも大げさなもの言いになります。)

*塾長としてはそのままvery hungry と言いますね。



*以下同じ very sad でもニュアンスに合わせて適切な極限形容詞を当てる必要があります。

His girlfriend just left him. He's very sad.

 彼のガールフレンド(=恋人)は彼の元を去ったばかりだ。彼はとても悲しんでいる。

→ He's  heartbroken/ devastated (= sadness +  shock,  surprize)

 彼の心は折れている/ガックリ来ている。(= 悲しみ + ショック、驚き)


Sara looked very sad. She had been so  confident  she  would  win  the competition, but then she came fifth.

 サラはとても悲しそうだった。彼女は大会で優勝する自信があったのに、5位になってしまった。

→ She looked disappointed/ dejected.

 彼女は落胆しているように見えた。


We were very sad to hear the fire destroyed  their  family  home.

 火事で彼らの実家が全焼したと聞いてとても悲しかった。

→ We were devastated to hear the fire  destroyed  their  family  home.

 私たちは火事で彼らの実家が全焼したと聞いて打ちのめされた。




極限/絶対形容詞の比較での利用


*以下、異なる2つのものを比較する際に極限/絶対形容詞が普通に使用される現象について上野義和氏が考察を加えています。

*極限、絶対とは言っても、自然科学に於ける<最高>とは異なり、その時点に於ける主観としての<最高>ゆえ、別の時間や場に於いての状況は互いに比較可能となる、との考察ですが、塾長も氏の考察に同意します。


*下線部は塾長がマーキングした箇所であり、原文に下線はありません。


https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/80985/joufs_64_349.pdf

Osaka University Knowledge Archive : OUKA

https://ir.library.osaka-u.ac.jp/

Osaka University


英語の相補的反義語について 上野義和 大阪外国語大学学報. 1984, 64, p. 349-356

https://hdl.handle.net/11094/80985


以下 p.352-352からの引用:


 「perfect’は「不完全なところが全くない,完全な」の意味をもち,論理的には,例えば,‘complete’,‘unique’, ‘utter’などと同じく,それだけで一種の最上級に相当する語と見なされる8).ということは‘perfect’には段階的概念が入りこむ余地がない.ということにつながるが,現実には


(28) His dance was more perfect than hers(was perfect>.


のような文がしばしば現れる.いかに純粋主義者が反対を唱えようとも,上述の用法は普通一般に用いられているものである9)ことは否定できない.この現象を,論理の世界と現実の用法とのくい違い10),として片づけてしまうことは安易にすぎはしないか.又,この用法を‘illogical’とよぶのは自由だが,はたしてホ当に非論理的なのだろうか.


 まず,非論理的と考える根拠は,‘perfect’を比較級にすることは非段階的な‘perfect’に段階性を認めねばならないことになるから,ということではないか.もしそうならば,それは確かに非論理的である.しかし,(28)における‘hers was perfect’の‘perfect’は,本来の‘free from any imperfection’ではない.むしろ,「彼の踊りの方がより完壁」というからには,「彼女の踊りは完壁さでは劣っている」と考えられる.完壁さが劣るということは,完盤さが足りないということと等価であり,それはつまり「不完全」を意味している.このように考えることがむしろ論理的なのではないか。(28)には次のような脈絡をつけ加えることができる,「彼女が踊った時,その踊りが完壁だと思えた.しかし,彼が踊った時,その踊りが彼女の踊りよりまさっていると思えた.」この時点で彼女の踊りはもはや完壁とは判断されなくなっている.‘perfect’であるかないかの判定基準に「ゆれ」が生じている.その判定には話者の「主観」が関与しているのである.その逆の場合,即ち判定基準が「容観的」である場合,例えば1+1に対する答えのようにそれが唯一無二である蒔には,‘perfect’は比較の対象を欠く故,比較級や最上級の形をとることはありえない。


 再び(28)に戻る。‘perfect’が‘imperfect’であることは前述した通りだが,実は‘more perfect’自体も実質は‘imperfect’ではないか.まさに比較級という形そのものがそのことを証明している.ただ,比較級の場合は原級にくらべてその分だけ不完全さが少なく,従ってそれだけ完全であること」に近いといえる.‘most perfect’となって初めて「不完全さが殆どない」という意味を表わしうる11.判断の基準が主観に左右されると,‘perfect’は‘imperfect’の意味を帯びて活動し始める.反義の関係にある二語は常にお互いの存在を意識し,一方だけが表而に現れてもその背後にその片劇れが分身として存在する.」








強調構文8



2025年3月5日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第8回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-married


https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdf

https://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/

 この2つのサイトの記述を主に参考にさせて戴いています。




強調構文8




*本シリーズの第3回目にて、良く見られる <very + 形容詞の他の語への言い換え表現>について扱いました。

*ここでは、その付け足しとして、この様な言い換えについての文法事項を確認していきます。


*また、この際ですから!比較可能な形容詞、詰まりは比較級、最上級の取れる形容詞と、それが取れない形容詞について何が違うのか、どの様な文法、語法上の制約があるのか、についても触れていきましょう。




比較不可能形容詞  Non-gradable-adjectives とは何か?




*一般的な形容詞は、その形容する程度に幅を持つ事が出来、比較級や最上級などの grade 段階を取る事が出来ます。

*これは中学英語の最初に学習することでもあり、例えば、good,  better,  best, strong, stronger, strongest と言う具合です。

*学校英語では特に意識させることなく、単純に比較級だ、最上級だ、不規則変化する、語尾に -er, -est を付け足す、前方に more, most を置くなどの紋切り型の指導を行われる形容詞群になります。

*この様な形容詞を gradable adjectives 比較可能形容詞と呼称します。

*段階(的)形容詞などのゴテゴテした語を当てる者も散見しますが、これでは何を言っているのか意味不明になります。


*本強調構文シリーズの3回目にて、<very + 形容詞>を別の一語で言い換える表記法について触れましたが、実は修飾語 very を前に冠することが出来る形容詞は全て gradable adjective になります。very の代わりに、a  bit ホンの少し、slightly 軽度に、pretty とても, quite 極めて/そこそこ、extremely 極度になども付けることが出来ることから、grade の幅を持ち得る形容詞だと理解出来るでしょう。



*一方、形容詞にはこの様な程度の幅を持ち得ず、それ以外に無い、ドンピシャリで〜だ、の意味を持つものも少なくはありません。

*例えば <atomic 原子力の>、の形容詞に対しては、より原子力的だ、最高に原子力的だ、などの形容は意味を持ちません。

*atomic そのものか、そうでないのかの all  or  nothing  悉無(しつむ)での事象の形容になります。

*同様に、<dead 死んでいる>に対して、より死んでいる、最高に死んでいる、なども意味を持ちません。死んでいる vs. 生きている、かの2項対立的概念しかありません。

*北斗の拳のケンシロウばりに、お前はもう死んでいる、You're  already  dead. (既に死の線を乗り越えている) などと言う事は可能ですが・・・。.

*dead の上下の程度を言う事は出来ませんが、遠近については記述出来る訳です。

*この様な no comparative or superative adjective 比較級も最上級も取れ無い形容詞、をnon-gradable  adjectives  比較不可能形容詞と呼称します。


手持ちの英英辞典 Longman Dictionary of  Contemporaty  English, 1978 には、該当するnon-gradable  adjectives に対しては、Wa5 の記号分類が為されていて便利だったのですが、この様な表示が無くとも、原則を知っていれば、形容詞がいずれに相当するのかを容易に見抜くことが出来る筈です。




極限形容詞  Extreme-adjectives とは何か?




要は、以下の式が成立します:


形容詞=比較可能形容詞 gradable  adjectives + 比較不可能形容詞 non-gradable  adjectives


比較不可能形容詞 non-gradable  adjectives = 絶対形容詞 absolute  adjective + 極限形容詞  extreme  adjective


*non-gradable  adjectives  比較不可能形容詞を観察すると、更に大きく2つに分類することが出来ます。

*すぐ上で扱った、atomic や dead の様な、事象、事物の絶対的性質、性状を記述する形容詞、即ち絶対形容詞  absolute  adjective と、形容詞それ自体にvery の意味を含んでいる極限形容詞  extreme  adjective の2つです。


----------------------------------------------------


絶対形容詞 absolute  adjective

*絶対形容詞には、段階や勾配の概念無く、最終的な、あるいは変更できない状態を表します。

*absolute とは、他が手を出せない、独立しているの意味ですが、個々では日本語の<絶対>をそのまま当てはめて妥当と思います。


*従って、当然乍ら、その程度の大小を示す比較級や最大級は取れませんし、前に、very, a bit などの程度を表す修飾語も付ける事は出来ません。

*しかしながら、口語に於いては、That is very true. や This  shirt  is more unique than that one. などの表現が用いられます。

*それでも、× He is more dead than his brother. の様な表現は全く取りません。

*何せ、<死>自体は絶対ですので。

*その絶対性の幅がゼロなのか、少しは幅があるのかと言う事になりますね。

*幅があれば口語で比較級が取れなくも無い、との話です。


*その絶対的な状態そのものに対する大小の記述は取れませんが、その状態に対する遠近の記述は可能です。

She is almost divorced.

 彼女はほぼ離婚している。(離婚なる状態にだいぶ接近している)

She is as good as divorced.

 彼女は離婚しているも同然だ。

He is mortally wounded but barely alive.

 彼は瀕死の重傷を負ったが辛うじて生きている。(生きている状態をギリギリ越えている)

Every working day I treat people who are dying from lung diseases caused by smoking.

 私は毎日、喫煙による肺の病気で亡くなっていく人たちの治療にあたっている。

cf. be dying 死に向かっている、瀕死の (死に接近している)



*絶対形容詞の例としては、他に、perfect、finished、 complete,  started、unique, universal, equal, essential, impossible, fatal, dead, alive, first, last,final, full. ideal, infinite, married, single,  divorced,  separated,  widowed, unknown, true、また、科学的性状を記述する数多くの形容詞、例えば atomic,pregnant, 及びこれらの語の反対語 などがあります。

自然科学的な表現、或いは、emotion 感情に基づかない、決定された、或いは定まったゆるぎのない事象の記述になりますね。


× It is very impossible for him to climb Mt Fuji.

 彼が富士山に登る事は非常に不可能だ。

 (日本語では、非常に不可能だ、の表現は頻用されますが、よく考えると誤用ですね)

◯ It is really impossible for him to climb Mt Fuji.

 彼が富士山に登る事は本当に不可能だ。



*絶対形容詞に対して強調を行うには、 absolutely,  completely,  totally,  really,  pretty(これは informal です) を一緒に使うことが出来ます。


----------------------------------------------------


極限形容詞  extreme  adjective

*他方、極限形容詞は、その1語の内に、very だ、top  に位置する、の意味を既に含んでおり、言わば最初から最上級を意味する形容詞になります。

*従って、更に比較級や最上級を取りようが無い形容詞になります。

その判断の基準の背後には emotion が存在し、極限だとは言っても、話し手側の、その発言時点での感想に過ぎない事に注意する必要があります

*即ち、基本的に感情表現であり、自然科学的な意味での、究極の意味ではありません


*extreme  adjective に極限形容詞なる漢語訳を当てることに関しては、違和感は拭えませんがここではまだヨシとしましょう。

*極限形容詞、例えば−delicious や exhausted など−を強調するには、absolutely, utterly, really や pretty (これは informal です)  を一緒に使うことが出来ます。


*極限形容詞の方も、絶対形容詞と同様に、口語では、I  am  more exhausted today than yesterday. This is the most tired I’ve ever been.

 私は昨日より今日の方が疲れ果てている。今までで一番疲れた。などの表現を取り得ますが、文法的に厳密に言えば破格表現になります。

*これは、gradable な一般形容詞 tired などを用い、

I am more tired today than yesterday.  と表現すべきでしょうね。


*本強調構文シリーズの3回目にて、<very + 形容詞>を別の一語で言い換える表記法について触れましたが、これで言い換えられた語は要は very の意味を含んでいる語になりますので、全てが極限形容詞になります。

*つまりそれらの語は、比較級や最上級を取ることは原則出来ません。当然乍ら very などの語を付け加えることは出来ません。


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https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdf

https://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/

 以下、この2つのサイトの記述を参考にさせて戴きます。



なぜ極限形容詞を使うのか?


*極限形容詞は文章やプレゼンテーションにバリエーションを加えるのに適しています。また、緊急性を示すのにも使えます。要は、メリハリある表現となり、聴き手側を覚醒させる効果があると言う事です。勿論、表現に多様性、ニュアンス、感情を加えることも出来ます。


*他の修飾語を使う自信がない場合、或いはそれらを知らない場合、very を使い過ぎてしまうことがあります。

*very を多用すると子供っぽい印象を与えますので、普段から洒落た語彙に言い換える練習をしておいて下さい。

*形容詞と副詞に関しては、この遣り方を通じて語彙を豊かに出来る筈です。

*本邦でも然りですが、語彙力の有無で教養や知性が相手に一瞬で判断されてしまいます。


以下、同じテキストの2つのバージョンを示します。いずれもぞんざいな内容の記述ですが、それでもどちらが中学生風か大人風かは一読瞭然でしょう。


Version 1

  When I returned home, I felt  very tired. I had a  rather  long  day, and I was ready to rest. When I entered the kitchen, I saw a  very big rat on  my table. I like to keep my house  very clean, so I  was  quite  annoyed. I couldn’t understand how it got inside. I was  very scared that it would  keep coming back. I startled it, and it ran into a  very  small  hole in the wall. I plugged the hole the next day and haven’t seen it since.


 家に帰ると、とても疲れているように感じた。かなり長い一日だったので、もう休もうと思っていた。キッチンに入ると、テーブルの上にとても大きなネズミがいた。私は家を清潔に保つのが好きなので、結構腹が立った。どうやって中に入ったのか理解できなかった。何度も戻ってくるのではないかととても怖かった。びっくりさせたら、壁の小さな穴に逃げ込んでしまった。翌日、その穴をふさぎ、それ以来その姿は見ていない。


Version 2

  When I returned home, I felt  exhausted. I had a  long day,  and I was ready to rest. When I entered the kitchen, I saw a  huge rat on my table.  I   like to keep my house  spotless, so I was quite  annoyed.  I  couldn’t understand how it got inside. I was  terrified that it would keep coming  back. I  startled it, and it ran into a  tiny  hole in  the wall. I  plugged  the hole the next day and haven’t seen it since.

Time to practise

 家に帰ると、私は疲れ果てていた。長い一日だったので、もう休もうと思っていた。キッチンに入ると、テーブルの上に巨大なネズミがいた。私は家を塵一つ無い様に保つのが好きなので、結構腹が立った。どうやって中に入ったのか理解できなかった。何度も戻ってくるのではないかと恐怖心に駆られた。驚かしたら、壁の見えないぐらいに小さな穴に逃げ込んでしまった。翌日、その穴をふさぎ、それ以来見ていない。


(つづく)








強調構文7



2025年3月1日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第7回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-married


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince;  A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『TIME 誌に見られる分裂文と疑似分裂文』 千葉真美子 時事英語学研究  1997 年 1997 巻 36 号 p. 27-35

DOI  https://doi.org/10.11293/jaces1962.1997.36_27

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaces1962/1997/36/1997_27/_pdf/-char/ja


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文7




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢 Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。




強調構文の例文(つづき)

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*以下の2つの文章を一点の濁り無く、完璧な和訳に仕立て上げる事は出来ますか?

*平易な英文ゆえに流し読みして大意はすぐに掴めると思いますが、完全な日本語にもって行く訓練を欠かさずに行って下さい。

*個々の英文を一言一句から揺るがせにせずに検討を加える思考過程が、英文読解力を飛躍的に高める極意です。

*ご自身の専門分野(特に文学、法学、哲学などのいわゆる文系分野)の論文や評論等でこれを行うと、底堅い実力が付きます。


  She gave me a polite little nod and withdrew. I  wondered  how  on earth it came about that a funny old English woman like that should be the  landlady of a hotel in Asia Minor. It was not easy to  make  her  acquaintance, for she knew her place and she kept me at a distance. It was not  for nothing that she had been in service in a noble  English  family.  (弘前大)


 彼女は礼儀正しく小さくうなずくと身を引っ込めた。一体どんな経緯で、あんな風変わりな年老いたイギリス人女性が小アジアのホテルの女主人になったのだろうと私は不思議に思った。彼女と知り合いになるのは困難だった。彼女は自分の立場をわきまえていて、私とは距離を置いていたからだ。彼女が過去にイギリスの高貴な家に仕えていたことも、全然無駄ではなかったと言う訳だ。(弘前大)


*長々としていますが平易な文章です。

*how  (on earth)  一体どんな経緯で


*it was not for nothing that she had been... これは She  had  not  been  in service in a noble English family for nothing. の強調構文(not を前に出す)とも考えられますし、That she had been in service  in  a  noble  English  family was not for nothing の文にて. it を that clause の仮主語として前に出した構造とも読めます。いずれの場合も not for nothing 無駄ではなかった、の文言が強調されています。

*理由の気持が込められている記述と解釈します。〜と言う訳だ


*come about = to take place, happen

* how/why it came about that 〜どうして〜なことになったのか、の表現で頻用されます。

*should 驚きの感情を表すshould です。〜だなんて


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  It was, of course, the women of England, led by  Mrs. Pankhurst,  who  fought the pioneer battles that have resulted, not only in England, but  in   America and  Europe, too, in equality with  men. It  was  in  this  century and in this country that the age of the free women was born and  nourished.  A hundred years ago, women had no  vote,  few  property rights,  and could not enter politics or the professions. Today, after a  bitter  and stubborn fight, an Englishwoman is every  bit  as  good  as an  Englishman. ( D. Frost & A. Joy)


 無論、英国のみならず米国や欧州に於いても、その結果として男性との平等を実現した先駆的な戦いを繰り広げたのは、パンクハースト女史に率いられた英国の女性たちであった。自由な女性の時代が産声を挙げ育まれたのは、正にこの世紀、この国であった。100年前、女性には選挙権は皆無で財産権もほとんどなく、政治やまともな職業に就くこともできなかった。今日、苦しく粘り強い戦いの末、英国女性は英国男性と同等の地位を得るに至ったのである。(D.フロスト&A.ジョイ)


*こちらも長々としていますが平易な文章です。

*因みにパンクハースト女史は英語圏なら誰でも知っている人物です。

*It was....who 強調構文です。

*It was in this century and in this country that  the  age  of  the  free women was born ...→ The age of the free women was born ...in this  century and in this country  強調構文です

*profession 「(知的)職業」  まともな職業  the professions とは「神学、法律、医学の三職業」を意味します。

*every bit as...as = 〜に劣らない、(事実上)〜も同様   

 every bit as good as のコロケーションで使われる事例が殆どです。



参考

Emmeline Pankhurst 女史のスピーチ

https://www.theguardian.com/theguardian/2007/apr/27/greatspeeches

Great speeches of the 20th century: Emmeline Pankhurst's Freedom or death

This speech was delivered in Hartford, Connecticut on November 13 1913

*平易な、分かり易い英語です。

*この時、平塚らいてう女史は27歳ですので当然影響は受けていたでしょうね。


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It is/was not until S1V1 that S2V2.

 S1V1してから初めてS2V2する

*毎度おなじみの!受験や模試等に頻出の定番表現です。

*構文形式から強調構文だと解釈する以前に、そのまま前から語順通りに訳出する型を覚えて下さい。

*これは、(S2 not V2) until (S1V1). 即ち、S1V1 するまでS2V2 しない、の強調構文化ですが、その際に否定語 not が 前に置かれたままになることに留意して下さい。


It was not until he was thirty that he started to  paint  pictures.

 彼が絵を描きはじめたのは30才になってからのことでした。→30才になってはじめて彼は絵を描きはじめたのです。

*He didn't start to paint pictures until he  was  thirty. が強調しない状態の文です。

*not は前方の位置をキープしています。


It was not until the shadow of the forest had crept  far  across  the lake and the darkening waters were still that we rose reluctantly to put  dishes in  the basket and start on our  homeward  journey

 森の影が湖面に長くひっそりとのびてしまい、暮れてゆく水面が静かになってから漸く、私たちは気のすすまぬままに立ち上がり、食器皿を手籠に押し込み家路についたのだった。


*do A to do B  これは、Bする為にAする、とは訳さずに、do  A  and  do  B と、動作の連続、結果風に訳すと良い場合が多いです。


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cleft sentence 分裂文とは何か?


*ここで文法的な説明を一通り行っておきましょう。


*cleft とは(岩に)裂け目が出来て居る、の意味です。

*日本語に直訳すると、分裂文となりますが、日本語の分裂とは完全に2つに分離しているの意味合いが有り(例:細胞分裂、核分裂)、亀裂が出来て居るがまだくっついているとの意味合いには捉えにくく、特に初学者の方には違和感を覚える文法用語でしょう。

*ひび割れ文、と訳すと語感はまだ近いです。


*特にスピーキングに於いて、聴き手側には既に理解されていることと、及び聴き手側には新しいことを結びつけるために、分裂文の構文を用います。

*本来的に通常の文で済ます内容を前後2つに分離し、新しく付け加えられる情報に相手の注意を引きつける、即ち、<注目して欲しいのはこれなんだよ>、と強調する用法です。

*倒置用法の一種ですね。


*構文としては以下の2通りあります。以下解説して行きます。


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1.It-cleft 文


*繰り返しになりますがここでもう一度説明します。


*最も一般的に利用される強調構文形式です。会話などでも頻用されます。

*聴き手側に対して注目させたい語句、即ち強調したい語句を、 It  is/was ...that  で挟みます。

*学校英語で言うところの正しく強調構文ですが、文法的にはいわゆる分裂文と呼称されます。

* It is/was に続く語句は聴き手には新しい情報であり、一方、that 以下には相手が既に理解している情報を記述します。

*新→古の順序ですね。〜なんですよ、と聴き手側に念押しをする様な意味合いになります。

*従って、It's seven o'clock. の様な文では、新たな情報の強調のしようがなく、強調構文を作る事が出来ませんし、作る意味も有りませんね。

*人が強調される場合は It is/was...who を使うことが出来ます。

目的語が強調される場合に限り、informal なシーンではしばしば that/  who が省略されます

*逆に言えば formal な場では that/who は省略しません。

*強調される語句が複数形であっても、It is/was と単数のままです。

*It isn't/ wasn't と否定形も利用出来ます(否定概念の強調)。元の文にて使われている not を強調構文作成時に抜き出して前に持って来る形になります。


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A: Sharon’s car got broken into yesterday, did  it?

 昨日シャロンの車が壊されたんだろ?

B: No. It was Nina’s car that got broken  into!

 いいえ、侵入されたのはニーナの車よ!


ここに於いて

Focus (new information): it was Nina’s car

 焦点(新しい情報):それはニーナの車だった。


Understood already (old information): a car got  broken  into。

 すでに理解している(古い情報):車が壊された


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A: You’ve met my mother, haven’t you?

 私の母に会ったことがあるんでしょう?

B: No, it was your sister (that) I met!

 いいえ、会ったのはあなたのお姉さんよ!


ここに於いて

Focus (new information): it was your sister

 焦点(新しい情報):それはあなたの妹だった。


Understood already (old information): I met  someone  in  your  family

 すでに理解している(古い情報): あなたの家族の誰かに会った。


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It was my husband who (or that) you spoke to on the  phone.  (or  It was my husband you spoke to on the phone.)

 あなたが電話で話したのは私の夫です。(または It was  my  husband  on the phone.)


It’s the parents who were protesting most.

 最も抗議していたのは両親です。


It wasn’t the Greek student who phoned.

 電話をかけてきたのはギリシャ人の学生ではありません。


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2.Wh-cleft 文


*Wh-cleft文は whatで始まることが多いですが、why、 where、 how などを使うこともできます。

* 疑問詞で始まる部分は名詞節であり主語を構成します。

*それゆえ正確には、〜と言う事、と、名詞として訳します。

*wh節に含まれる情報は一般的に古い情報や理解されている情報であり、続く節に含まれる情報は新しく注目されている情報になります。

*古→新ですね。

*上に述べた it-cleft 文とは与える情報の順序が逆になります。

*日本の英文法では疑似分裂文などとも呼称されます。


*構造的には SVC の文をCVS に倒置し、補語 C を強調しているだけです。

*それゆえ倒置を用いた単なる強調構文とも言えますし、わざわざ疑似分裂文なる名を与えて区別する迄もないと塾長は考えるのですが。

*従ってそのまま SVC に戻しても正しい文になります。


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A:  I don’t know what to cook for them. I don’t  know  what  they  like.

 何を作ってあげたらいいのかわからない。彼らの好みがわからないんだ。

B: What they like is smoked salmon.

 彼らが好きなのはスモークサーモンだよ。


ここに於いて

Understood already (old information): we are talking  about  what  they like to eat

 すでに理解している(古い情報):私たちは彼らの好きな食べ物について話している。


Focus (new information): they like smoked salmon

 焦点(新しい情報):彼らはスモークサーモンが好きだ。


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A: This remote control isn’t working.

 このリモコンは動かない。

B: What we need to do is get new batteries for it.

 新しい電池が必要なんだ。

*to get とすべきですが、下記の All+S+V の構文と同じく、口語では通常 to は省略されます。


ここに於いて

Understood already (old information): there is  something  that  we need to do to fix the remote control.

 すでに理解している(古い情報):リモコンを修理するために必要なことがある。


Focus (new information): we need to buy new  batteries

 焦点(新しい情報):新しい電池を買う必要がある。



All+S+V is (to) do.

*この表現も一種の疑似分裂文と言えます。

*all = the only thing ですが、〜すべき事は〜だけだ、〜しただけなのに、の語りで頻用されます。

*文法的には to 不定詞の名詞用法がSVC文型の補語Cに相当しますが、慣用的には一般に to が略されます。


I don't know why Emily was so offended.

 エミリーがなぜそんなに怒ったのかわからない。

All I did was (to) ask her a question.

 彼女に1つ質問しただけなのに。


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It-cleft文と Wh-cleft文の、談話中に使用される場所の違い


 『TIME 誌に見られる分裂文と疑似分裂文』 にて、千葉真美子氏は、TIME誌に於いて調査した結果、「分裂文は談話の始まりと終わりでほぼ同数利用されているが、これは前提部分で提示される情報 (塾長註:that 以下の内容) が読み手の意識の中にあるかどうか必ずしも要求されないからであり、一方、「疑似分裂文は前提部分で提示される情報が読み手の意識の中にあることが要求される。従って記事の冒頭では見出しや読み手の背景知識などのごくわずかな手がかりを元に状況設定しなければならないので、談話の始めでは使い難い。」、また疑似分裂文は「構造上、焦点が最後に来るため、読み手に書き手の意図を強く印象づけることができ、記事の余韻を残すのに役立つので、談話の終わりで多く用いられる。」、と考察を加えています。








強調構文6



2025年2月25日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

  今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第6回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-married


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince; A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文6




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢 Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。




構文による強調2




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4. It is - that… による強調


*It is (or was)...that (or who, which)…'の構文を用いて、主語、目的語、副詞修飾語句、副詞節を強調します。

*単純に強調することも出来ますし、誤りを正す際にも利用されます。

*否定語、否定語句を強調することも勿論出来ます。


*強調したい要素を単純に it is/was ..と that (その他の関係代名詞或いは関係副詞)で挟むだけです。

*that を使うのは less formal であり、それ以外は  more  formal です。

*強調したい要素が複数形であっても it is/was のままであることにご注意下さい。

*意味としては、it is + new information that + old  information  と見倣す事が出来ます。


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*強調できない例外語句


@ 但しこの構文で動詞を強調する事は出来ません。その場合は助動詞  do/ does/did を動詞原型の前に添えます。或いは、古風な文語表現になりますが、動詞自体を文頭に出して倒置する遣り方もあります。


A 二重目的語を取る動詞の構文である第4文型 S+V+IO+DO に関してですが、その間接目的語を抜き出して強調することは場合に拠り不文とされます。

例えば、

She gave me chocolate. これの me を取り出して

It was I (me) that she gave a chocolate. は不文とされます。

一方、

She gave a chocolate to me. のSVOの第3文型に関しては、

It was to me that she gave chocolate. は文法的に正しくなります。

 彼女がチョコレートを与えたのは私にでした。


同様に

She bought coffee for me.

It was for me that she bought coffee.

 彼女が珈琲を奢って呉れたのは僕なんです。

 は正しいです。


しかし

She bought me coffee. からの強調文

It was me that she bought coffee.

 も正しいとされます。

*揺れ動きが見られると言うことですね。


他の構文、例えば後に説明する tough 構文、too...to 構文、enough..to 構文の場合も、to 不定詞内の間接目的語を引っ張り出して主語に据える事が出来ないのですが、強調構文の場合と類似します。

*まぁ、間接目的語の前方への抜き出しは一般的に避けられると考えて下さい。

*強調したいのであれば、第三文型に戻し、to/ for + 関節目的語の文に直してから、it is/was ...that でその語句を挟めば良いだけの話です。



B当然乍ら一度強調構文に仕立てた文、また漠然たる状況を表す it を主語に取る文は強調構文にすると不文になります。


例えば

Seven years have passed since he left  home.

 彼が家を出てから7年が過ぎました。

 この文は下記の様に強調構文に出来ますが、

It is seven years that have passed since he  left  home.

 彼が家を出てから正に7年が過ぎました。


 同じ意味の下記の文

It has been seven years since he left home.


 これを以下の様に無理遣り強調構文に仕立てると意味不明の文になります。

It is seven years that it has been since he left  home.


It has been seven years since he left  home.

 お気づきかと思いますが、この文の造り自体が既に強調構文風な造りになっています。


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紛らわしい構文


*It is....that の構文には、It = that-clause が成立する場合(形式主語構文)も有ります。

*この場合は、that 以下で完全文を構成します。


It is...that で、理由を表す口語表現もあります。この場合の it は漠然たる状況を表す it と見做して良いでしょう。


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強調構文とその疑問文


*強調された要素を場合に拠り wh やhow の疑問詞を用いて疑問文に出来る事がありますが、慣れて居ないと解釈に手間取ります。

*この形式の疑問文は、整序問題として入試にもそこそこ出題されます。

*逆にこれを知っていれば確実な得点源になります。

*疑問詞 wh や how に続く is it や was it が略される場合があります。


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元の文

Due to a mental deadlock, John used a hammer  and  violently  broke  a vase twice in his studio yesterday..

 精神的な行き詰まりゆえに、昨日ジョンはハンマーを使いアトリエで花瓶を二回も乱暴に壊した。


*以下、この文を元にして各パーツを強調し、その強調部分を尋ねる疑問文を作成して行きましょう。



強調構文とその疑問文の作り方


It was due to a mental deadlock that John used a  hammer  and  violently broke a vase twice in his studio yesterday. 

 (理由の強調

 昨日ジョンがハンマーを使いアトリエで花瓶を二回も乱暴に壊したのは精神的な行き詰まりゆえだった。

Why was it that John used a hammer and violently broke  a  vase  twice in his studio yesterday?

 昨日、ジョンがアトリエでハンマーを使って花瓶を2度も乱暴に割ったのは一体なぜなのですか?



It was yesterday when John used a hammer and  violently  broke  a vase twice in his studio due to a mental deadlock.

 (時間の強調

  ジョンが精神的な行き詰まりから、アトリエでハンマーを使って花瓶を2度も激しく壊したのは昨日のことだった。

When was it that John used a hammer and violently  broke  a  vase  twice in his studio due to a mental deadlock?

 ジョンが精神的な行き詰まりからスタジオでハンマーを使い、花瓶を2度も乱暴に割ったのはいつだったのですか?



It was in his studio where John used a hammer and  violently  broke  a vase twice yesterday because of a mental deadlock. 

 (場所の強調

 昨日、精神的な行き詰まりから、ジョンがハンマーで花瓶を2度も激しく壊したのは、彼のスタジオだった。 

Where was it that John used a hammer and violently broke a vase twice yesterday because of a mental deadlock?

 昨日、ジョンが精神的な行き詰まりからハンマーを使い、花瓶を2度も乱暴に割ったのはどこですか?



It was John who used a hammer and violently broke a  vase  twice  in his studio yesterday because of a mental deadlock. 

 (主語の強調

 昨日、精神的な行き詰まりからアトリエでハンマーを使い、花瓶を2度も激しく割ったのはジョンだった。

Who was it that used a hammer and violently broke  a  vase  twice  in his studio yesterday because of a mental deadlock?

 昨日、スタジオで精神的な行き詰まりからハンマーを使い、花瓶を2度も乱暴に割ったのは誰ですか?



It was a hammer that John used and violently broke a  vase  twice  in his studio yesterday due to a mental deadlock.

 (動詞 used の目的語の強調

ジョンが精神的な行き詰まりから昨日彼のアトリエで花瓶を2度も乱暴に割るのに使ったのはハンマーでした。

What was it that John used and violently broke a vase  twice  in  his studio yesterday due to a mental deadlock?

 ジョンが精神的な行き詰まりから、昨日彼のスタジオで花瓶を2度激しく割ったのは何でしたか?



It was a vase that John used a hammer and violently  broke twice  in his studio yesterday due to a mental deadlock.

 (動詞 broke の目的語の強調

 昨日、ジョンが精神的な行き詰まりから、アトリエでハンマーを使って2度も激しく割った花瓶だった。

What was it that John used a hammer and violently  broke  twice  in his studio yesterday due to a mental deadlock?

 ジョンが昨日彼のアトリエで精神的な行き詰まりからハンマーを使って2度激しく壊したのは何でしたか?



It was twice that John used a hammer and violently  broke  a  vase in his studio yesterday due to a mental deadlock. 

 (回数の強調

 ジョンが昨日彼のアトリエで、精神的な行き詰まりからハンマーを使って花瓶を2度も乱暴に割った。 

How many times  was it that John used a hammer and  violently  broke a vase in his studio yesterday due to a mental deadlock?

 ジョンが昨日彼のアトリエで、精神的な行き詰まりからハンマーを使って花瓶を乱暴に割ったのは何回ですか?。 



最初の文

Due to a mental deadlock, John used a hammer and  violently  broke  a vase twice in his studio yesterday.

Because he had a mental deadlock, John used a  hammer  and  violently broke a vase twice in his studio yesterday .

とすれば

It was because he had a mental deadlock that John  used  a  hammer and violently broke a vase twice in his studio yesterday.

と、理由の節を強調できます。





強調構文の例文


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It is not help but obstacles that make a man.

 人を完成するのは、援助でなくて障害である。

主語の強調

What is it that make a man?

 人を完成するのは一体何ですか?



What kind of work is it [that] you want ?

 君の希望しているのはどんな仕事かね。

目的語の強調


It is seldom that he comes this way.

 彼がこっちへ来るのはまれだ。

頻度の強調

How often is it that he comes this way?

 彼がこっちに来るのはどの位の頻度なのですか?


It was on that occasion that I first met the man I  am  going  to  speak of.

 私がこれから話そうとしている人に、はじめて会ったのはそのときでした。

機会の強調

When was it that I first met the man I am going to  speak  of?

 これからお話しする男性に初めて会ったのはいつのことだっただろうか。



It's an ill wind that blows nobody good. (俚諺)

= An ill wind blows nobody good.

= There is an ill wind that blows nobody good.

 誰にも為にならない悪い風が吹くこともある。

→(ウラを返して)悪い風でも誰かの為になることがある。

Even the worst wind can be good for someone.

=風が吹けば桶屋が儲かる。


*blows nobody good. 風が吹いた結果、nobody is good になるとの一種の結果構文です。

*適当な動詞にてSVOC の形を取りますが使役動詞 make などの劣化版と考えると分かりやすいでしょう。

*結果構文に関しては、本年4月以降の「その他の構文」シリーズにて扱います。



I stood near some iron railings, by an iron gate, to  watch  the  train come in and it was there that I saw this frightening thing.

 私は列車が入ってくるのを見るために、線路の近く鉄の門のそばに立っていた。そしてこの恐ろしいものを見たのは正にそこだった。

 (it was there that I saw this frightening thing. → I saw  this frightening thing there.)



It was only when he left his room that he made it neat,  and  never neat as it was now. I ran across the room to his closet lest it be empty too.  But it was not. Oh, what joy to see his clothes still  hanging  there!  I  counted his suits, the brown second best, his work clothes, the slacks. No,  his best dark-blue suit was gone.  (P. Buck)


 彼が自分の部屋をきちんと片づけたのは部屋を出て行くときだけだったし、今ほどきちんとしたことはなかった。私は部屋を横切り、そこも空っぽだったらどうしようと思って彼のクローゼットに駆け寄った。しかし、そうではなかった。彼の服がまだそこにぶら下がっていたのを見るのは何と言う喜びであったか。私は彼のスーツを数えた。二番目に良い茶色のスーツ、仕事着のスラックスもあった。いや、彼の一番の濃紺のスーツはもうなかった。(P.バック)

 (It was only when he left his room that he made it  neat  →  He made his room  neat only when he left it.)


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強調構文5



2025年2月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第5回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びにCollins dictionary を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/rhetorical-question

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/fronting


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince; A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文5




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢 Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。


 以下これらを順を追って解説して行きましょう。




構文による強調1




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1.倒置による強調  Fronting


*語句の配列順序を変更して強調を表わす表現です。

*文頭に出る部分が強められます。他の部分の語順の変化にも注意します。

*必要に応じ、本当に、〜すら、正に、などの強調語を添えて訳します。


文語的な、構えた表現になります。要は修辞 rhetoric (=表現の化粧法)の一種になります。

*解釈可能としておくべきですが、皆さんが自ら進んで使うべき表現とはとても言えないでしょう。

*仮に、会話中にこの様な表現を使う者が居れば、周囲は、こいつはナンボのもんじゃい、坊主か神掛かり系かよ、と奇異の目で見るでしょうね。

*塾長も自分の英作時にこれを使った経験は皆無です!


*一般的には、文法用語の倒置 inversion とは疑問文を作る際の倒置や否定表現を文頭に持って来る倒置表現(語順の配列変化)の事を言います。

*ここに扱う倒置は、強調すべき語を文頭に持って来ることを言い、正確には fronting と言います。

*いわゆる文法用語の倒置 inversion については次回シリーズにて詳述します。



a. 補語 Cの強調. 

*倒置してV+Sの順序になるのが普通です。


Fortunate is the man who meets the right friend  at  the  right moment.

 然るべき時に然るべき友人を持てる人は本当に幸いである。

 (Fortunate is the man  →The man who meets... is  fortunate.)


Happy are those who know the pleasure of  making  all  people around, happy.

 周囲の人々をすべて幸せにする喜びを知っている人は本当に幸せである。 (→Those who 〜 are happy.)


So poor was the boy that he went barefoot to school.

 その子は非常に貧しかったので、裸足で通学した。 (→The boy was so poor. that ..)

 (so...that 構文です)

→ The child was very poor and went to school barefoot. 

*大した内容でもありませんので、構えること無く、このようにサラッと述べるのが普通ですね。

*and =  as a consequence 結果、帰結を表す and の用法です。そんでもって、その結果として



b. 目的語 Oの強調

*S + Vのままであるのが普通です。


What I am today I owe to my mother.

 私が今日あるのは本当に母のおかげです。

 (What I am today I owe to my mother. (→ I really owe what  I  am  to my mother.)


No help he offered her.

 どんな援助すらも彼は彼女に与えなかった。 (→ He  offers  her  no help.)


Such conduct we can't put up with any longer.

 そんな行為にはもう我慢できない。 (→ We can't put  up  with  such conduct any longer.)


Whatever did not please him, he wished neither to  think  about  nor to hear.

 彼は自分の気に入らないことはなんでも、考えたくも聞きたくもなかった。

  (→ He wished neither to think about nor hear  whatever  did  not please him.)


Such a hurricane as then blew it is folly to attempt  describing.  The oldest seaman in Norway never experienced anything like that.

 その時に吹き荒れたようなハリケーンを描写しようとするのは愚の骨頂だ。ノルウェー最古の船乗りでさえ、あのような経験を一度もしたことがない。

  (→ It is folly to attempt describing such a  hurricane  as  then blew.)


The test of a great book is whether we want to read  it  only  once or more than once. Any great book we want to read the second time even  more than we wanted to read it the first time.

素晴らしい本かどうかの尺度は、私たちがその本を一度で沢山と思うか、一度ならずまた読みたいと思うかどうかである。素晴らしい本であれば全て、一度目に読みたいと思った時以上に二度目に読みたくなるものだ。

  (→ we want to read any great book...)


*test 「尺度;規準」,  more than once「一度ならず;たびたび」  



c. 副詞語句の強調


*主語が名詞のときには V+S、代名詞の時には、助動詞+ S+Vとなります。

*否定を表わす副詞語句も強調のため文頭に出ることが多いです。

*この場合は、名詞、代名詞共に倒置が起きます。

*訳し方にも強調の意味が出るように工夫します。



主語が名詞の場合

Down came the ceiling and many were injured.

 正に天井が落ちてきて、多くの人が負傷した。

 (→ The ceiling came down.)


Down went the bus over the cliff.

 バスは崖から落ちていった。(→ The bus went down?.)


On this depends the whole argument

 この点にこそ、論議のすべてがかかっているのです。.( → The whole argument depends on this.)



主語が代名詞の場合

Sometimes his fingers seemed to fly over the keys,  so  slightly did he touch them.

 時々、彼の指は鍵盤の上を飛んでいるように見えたが、とても軽く鍵盤に触れるのだった。



否定の副詞(句)が前に出る場合

Never before or since have I been as happy.

 後にも先にも、こんな幸せなことはありません。.(→ I  have  never  before or since been as happy as now)


Little did I dream that I should never see him again.

 彼にもう決して会えないなんて、私は夢にも思わなかった。 (→ I little dreamed that...)




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2.疑問文を用いる強調


*疑問文を用いて反語的に強調の感じを表すことがありますが、これを修辞疑問文 (Rhetorical Question) と言います。

*通常の疑問文が新たな情報を相手に求めるものであるのに対し、こちらは相手側に答えを求めません。

*答えはこの疑問文を発する側に既に明白なものとなっている、或いは不明のままである場合もあります。

*この様式を用いて相手に注意を引く、或いは強調的効果をを意図して与えるがゆえに修辞の語が付きます。

*疑問の対象となっている文言を否定にして平叙文に書き換えれば同値の文になります。



a.  疑問詞を用いない疑問文の場合


Can I ever forget her kindness ?

 彼女の親切を忘れられようか (忘れられない)。

→ I can never forget her kindness.



b. 疑問詞を用いる疑問文の場合


Who knows what has become of him?  (→ Nobody  knows  what  has become of him.)

 彼がどうなったか誰が知っていようか (誰も知らない)。


Didn't I tell you not to touch it ?

 それにさわらないようにといわなかったかね (いったはずだ)。 (→ I told you...)


Is there anyone who remains calm at his words?

 彼のことばを聞いて落ち着いていられるものがあろうか (誰もいない)。(→ There is ...)


Who's afraid of Virginia Woolf ?

 誰がバージニアウルフをこわがるのか。 (バージニア.ウルフなんかこわくない。). (→ No one is afraid ...)

*『バージニア・ウルフなんかこわくない』は、1962年のエドワード・オールビーの戯曲・三幕。


Where can such a beautiful place be found on  the  earth ?

 地上のどこにこんな美しい場所が見つかるだろうか。 (こんな美しい場所はどこにも ない。)

  (→ Such a beautiful place can nowhere be found  on  the  earth.)


What would I not give to go to the concert ?

 コンサートに行くためなら、私は何を与えないでいられようか。 (どんなものでも手 離してしまいます。)

 (→ I would give anything...)


The Beatles' principal contribution seems to have  been  long  hair - a fashion which has now spread all over the heads of young men over a  large   part of the globe. But who can really rationalize  the  charm  and  appeal of the Beatles ?  (A. Montagu)


 ビートルズの主な貢献は長髪だったようだ。 このファッションは、今や世界中の多くの若者の頭に広がっている。しかし、ビートルズの魅力と魅力を本当に合理的に説明できる人はいるだろうか?(A.モンタグ)

(who can really rationalize...→ noone  can really rationalize...)


*principal 「おもな;重要な」  rationalize (合理的に)説明する





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3.If 節による強調


*if-clause が挿入的に使われて、主として語を強調することがあります。

*省略形を取る場合が多く、1.いやしくも〜とすれば;〜こそはと、2.譲歩表現の 「たとえ〜としても」 、の2つの意になり得ます。


He is a scholar, if anybody is [a scholar].

 もし誰かが学者であるならば、彼こそ学者である。 → 彼こそ本当の学者である。


Read your books, if at all, thoroughly.

 いやしくも本を読むなら、完全に読みなさい。


There is little, if any, fear of his failing.

 彼が失敗する恐れは、もしあるとしても、ごく少ない。


Few people, if ever, saw it.

 それを見た人は、たとえあったとしても、ごく少ない。


Few people, if any, are always sustained by unselfish  or  religious  motives, and few or none are altogether beyond their influence.

 無欲や宗教的な動機によって常に支えられている人は、いたとしてもほとんどいない。また、その影響をまったく受けない人などほとんどいない。


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cf. 京言葉


*修辞疑問文の亜流として、反語表現がありますが、更に日本語の世界では有名なものにいわゆる<京ことば>が挙げられます。

*これに関して、面白い記事が見つかりましたので以下引用致します。


https://news.yahoo.co.jp/articles/b1d72890abf1f19e4570d14367994c9b79082e30

2024年 11月15日 (金) 7:34配信 現代ビジネス 岩田 太郎 (在米ジャーナリスト)  

*この記事は既に削除されています。


「ドナルド・トランプ次期大統領は過激な発言、直情的な発言が持ち味だった。ところが、第2次政権の人事のなかで、婉曲的で反語的な表現を使うようになっていて、筆者は非常に驚いている。


一般的に想像しやすいのは、「京ことば」だ。近年では、反語的で底意地が悪い表現を指して、「京ことば」と言われるようになっている。


たとえば、「ええ時計してはりますなあ」は、相手の時計を褒めることで「時間見よし、早よお帰りやす」という意味になる。「〇〇ちゃん、ピアノ上手にならはりましたなあ」は「ピアノの練習の音がうるそうて迷惑してますわ」という意味を込めてあるのだという。


ちなみに、筆者は京都市出身だが、京都にはこんな「いけず」な心を持つ者などただの一人もおらず、親切で心やさしい人ばかりである。「京都人は意地悪」との悪いうわさを広めている主体は、京文化の威光や雅さをひがむ大阪人や、平安京遷都以来さびれて卑屈になっている奈良人だけなので、賢明な全国の読者諸兄諸姉におかれては、悪質な反京都プロパガンダに騙されないようご注意願いたいものだ。」


*関西人同士のせめぎ合いの結果として、<京ことば>なるマイナスの印象操作が為された、との京都人の筆者の怒りが、私の様な遠く離れた<原住>東京モンからは愉快痛快に見えます。


*<京ことば>に相当するかは全く別として、<英語圏の反語的で底意地が悪い表現>については機会があればコラムに纏めたいと考えて居ます。

*就任したばかりのトランプ大統領の発する英語が大いに参考になりそうです・・・。

*<誉め殺し>表現など含め、皮肉好きの英国人はお得意の様にも思うのですが、解釈は文脈依存性ですので扱いは難しそうです。

*「ええ時計してはりますなあ」の様な定型表現が見付かれば良いのですが。


*passive aggressiveness (内に秘めた怒り)がやや近いかも知れません。

*これは波風立てずに!婉曲にモノを言う遣り方ですが、その精神が<京言葉>に似ていると塾長は感じます。

*これは強調表現とは異なるものですが<それの鏡像の様な意思伝達法ですね。

*このテーマで別コラムシリーズが構築出来れば面白いと塾長は考えて居るところです。








強調構文4



2025年2月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第4回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/on-earth

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/whatever

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/possible

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/imaginable

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/only-too

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/all-too

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/indeed


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince; A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文4




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢 Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。


 以下これらを順を追って解説して行きましょう。




[2] 他の語句を加える強調 (つづき)


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d. 疑問詞や最上級の後に on  earth,  in  the  world などを添えて強調


*on earth = in the world  この世で、地上に

cf. earth

 不可算名詞で ground 大地を意味しますが、the  Earth とすると惑星としての地球になります。


疑問詞の後ろに添えて


*「一体(全体)」という意味になります。

How on earth did that happen?

 一体どんな風にしてそんなことが起きたのか?


What on earth had Luke done?

 一体ルークは何をしたのか?


Why on earth would he want to go to such a  place?

 一体なぜ、彼はそんな場所に行きたがったのか?


What in the world is it ?

 一体それは何なのか?



否定語の後ろに添えて


There was no reason on earth why she  couldn't  have  moved in with us.

 彼女が私たちと一緒に暮らせない理由など、この世に存在しない。


There is no feeling on earth like winning for the  first  time.

 初めて勝ったときのような感動は、この世にない。



最上級の形容詞を含む語の後ろに添えて


He wanted to be the fastest man on earth.

 彼はこの世で最速の男になりたかった。


...the site of the worst ecological disaster on earth.

...この世で最悪の生態系災害の現場。



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e. possible や imaginable を使用しての強調


*最上級形容詞+名詞+possible/ imaginable の表現で、起こり得る、〜し得る最高の、想像し得る一番の、の意味を与えます


The train was running at the highest speed  possible.

 列車は出し得る最高速度で走っていた。


They have joined the job market at the worst  possible  time.

 彼らは最悪のタイミングで就職市場に参加した。


We expressed in the clearest possible way  our  disappointment,  hurt and anger.

 私たちは、失望、傷、怒りを可能な限り明確な形で表現した。


He is doing the best job possible.

 彼は最高の仕事をしている。


It is all about presenting yourself in the  best  possible  light.

 最も大切なことは自分を最大限にアピールすることです。

cf. it is (all) about doing... 最も重要なことは〜です、要するに〜です


The most agreeable face is the smiling face;  and  to  presents  always the most agreeable face possible to parents, relatives, teachers, friends isa rule of life. (L. Hearn)

 もっとも好感のもてる顔はニコニコしている顔である。そして、両親、親せき、先生、友人にいつもできるだけ良い顔を見せることは生活のひとつの法則である。(L ハーン)



We had the greatest difficulty imaginable in the  construetion  of the dam.

 ダムの建設にはほとんど想像もできないような困難がありました。


...their imprisonment under some of the most  horrible  circumstances imaginable.

...想像を絶する恐ろしい状況下で投獄された。


He could not disguise that he had had the worst  imaginable  day for any minister.

 彼は、どの大臣にとっても想像を絶する最悪の一日を過ごしたことを隠すことはできなかった。


Much of those resources are put to use in  the  most  boring ways imaginable.

 これらの資源の多くは、想像し得る最も退屈な方法で使われている。


But what we have is the worst example  imaginable.

 しかし、我々が持っているのは想像しうる最悪の例だ。


It might be a similar size to Earth but it is also  the  most  hellish place imaginable.

 地球と同じような大きさかもしれないが、想像を絶する地獄のような場所でもある。


There is, and it came to light in the strangest  manner  imaginable.

 そしてそれは、想像を絶する奇妙な方法で明るみに出た。


To them, opening up to trust another human being  is  the  most terrifying thing imaginable.

 彼らにとって、他の人間を信頼するために心を開くことは、想像を絶する恐ろしいことなのだ。


I lived for a long time on Ibiza and for ten  months  of  the  year  it's the most tranquil place imaginable.

 私はイビサ島に長く住んでいたが、1年のうち10カ月は想像を絶するほど静かな場所だ。



*every や all などの語の後ろに imaginable を置いて、全ての可能性について強調する意味を与えます。


=想像し得る全ての


...all of the other imaginable ramifications of this  technology.

...このテクノロジーがもたらす、想像しうるあらゆる影響


Parents encourage every activity imaginable.

 親は想像できる限りのあらゆる活動を奨励する。



*no の後ろに imaginable を置いて、その質を持たない事を強調します。


=全く想像も出来ない


...a place of no imaginable strategic value.

......戦略的価値の全く考えられない場所




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f. now を使用しての強調


*命令や命令をより強くするために now を使うことがあります。命令文の前や後に使います:


Now stop crying. It’s going to be OK.

 もう泣かないでったら。大丈夫だから。


Don't lose them now. They're my favourite  gloves.

 失くさないでよね。お気に入りの手袋なんだから。


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g. その他の強意を表す語句


only too

= very much, extremely 非常に、あまりに


I know only too well that plans can easily go  wrong.

 計画が簡単にうまくいかなくなることを、私は非常によく知っている。


When the new baby comes along, it is only too  easy  to  shut out the others.

 新しい赤ちゃんがやってくると、他の人たちのことをあまりにシャットアウトしてしまいがちだ。


I'll be only too pleased to help them out with  any  queries.

 どんなことでも喜んでお手伝いしますよ。



all too

= definitely but regrettably

 間違いなく、しかし残念なことに、惜しむらくは、(残念ながら)あまりに〜だ、嫌なくらいに〜だ

後悔、残念の気持の入る表現です


It's all too true

 残念ながら全くその通りだ。


He was all too deferential in that third set  against  the  home favourite.

 彼は、ホームの人気選手に対する第3セットで、あまりに紳士過ぎた。

cf. deferential = respectful, polite


Her death made that all too clear.

 彼女の死は、その事をあまりにも明確にした。


There were also tone deaf moments women are  all  too  familiar with.

 また、残念ながら女性達がよく知っている音痴な場面もあった。


The man who proved it really was all too good to be true.

 それが本当だと証明した男は、あまりに素晴らし過ぎて本当だとは思えなかった。

→それが本当だと証明した男は、あまりにも素晴らし過ぎた。

*皮肉の気持が入っていると考えます。


But supplies run out all too soon.

 しかし、物資はあまりにもすぐに尽きてしまう。


They're all too busy controlling their bounce.

 彼らはバウンスをコントロールするのに忙しすぎる。


Talk about taking it all too seriously.

 深刻に考えすぎていただとよ。



talk about 

informal (皮肉、反語的に誇張して) どころかとんでもない、〜だとよ


All his plays have such ridiculous plots - talk about good drama!

 彼の戯曲はどれもバカバカしい筋書きで、マジいいドラマだよなぁ!



all too soon

 すぐに終わってつまらない


We are only too glad to see spring coming, but  it  will  be over all too soon.

 春が来るのを見るのはとてもうれしいが、あまりに早く終ってしまってつまらない。


All too soon it was over.

 それはあまりにも早く終わってしまった。



not in the least

 少しもない

"Has she changed much ?"  "Not in the least."

 「彼女は変わりましたか。」「少しも。」 (=She has  not  changed in the least.)


But travel as we know it today, travel for education  and  pleasure was not in the least common.

 しかし、今日私たちが知っているような旅行、教育や楽しみのための旅行は、少なくとも一般的ではなかった。



not....whatever

 少しも〜ない

*whatever (副詞)を名詞の後ろに添えて否定文を強調します。


There is no evidence whatever that competition  in  broadcasting  has ever reduced costs.

 放送の競争がコストを下げたという証拠は何もない。


I have nothing whatever to say.

 何も言うことはない。



indeed

*indeed を文末に置いて、very や他の語の意味を強調します。

 実に、本当に


The engine began to sound very loud indeed.

 エンジンの音が本当にとても大きくなった。


The wine was very good indeed.

 ワインは実に美味しかった。


Of course, these occasions are rare indeed.

 もちろん、このような機会はめったにない。


*疑問文への聞き返し、その疑問への同調の際に用い、その内容を強調します。(口語)


'Now where are the real villains?'?'Where indeed?'.

 さて、本当の悪党はどこにいるのか?本当にどこだろう?


'And what do we do here?' 'What, indeed?'

 で、ここで何をするんだ? マジ何をするんだ?



own

*所有性を強調します。


It was  my own  idea.

それは僕自身の考えだった。



the

*独自性を強調します。

 〜そのもの、そのものずばりの、例の


Surely you are not the Elizabeth Taylor, are you?

 あなたはまさかあのエリザベス・テイラーではないでしょうね?



疑問詞 + ever

*疑問文にて不信の気持を強めます。

 本当に、一体全体


Whatever are you doing?  Whoever told you that?

 お前一体何をやってんだよ? 一体誰がそんなことを言った?



*それが〜何であれ、の強意+譲歩の意味を込めます。


We can be sure that whatever questions they asked about the heavens differed greatly from those that motivate space exploration today.

 (主語に譲歩の意味合いが入り、日本語にはちょっと訳しにくい文章です。ここの whatever は疑問形容詞 + ever)

We can be sure that all the questions they asked about the heavens differed greatly from those that motivate space exploration today.

 彼らが天空に関して尋ねたあらゆる疑問は今日我々に宇宙探査を動機付けるものとは大きく異なっていた、と我々は確信し得る。


 (that 節内を2つの文に分離して、自然な日本語訳が出来る様にします。)

We can be sure that whatever questions they asked about the heavens, they differed greatly from those that motivate space exploration today.

 彼らが天空に関して尋ねた疑問がなんであれ、それらは今日我々に宇宙探査を動機付ける疑問とは大きく異なっていた、と我々は確信し得る。



We do not know the nature or the power of whatever lies in the hole you saw.

私たちは、あなたが見た穴の中にあるものが何であれ、その性質も、その力も知らない。

  (先行詞込みの関係代名詞 what = thing(s) that への置き換えを行うと)

We do not know the nature or the power of anything that lies in the hole you saw.

 私たちは、あなたが見た穴の中にある何らのものの性質も、その力も知らない。


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強調構文3



2025年2月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第3回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/very


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince; A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文3




<very + 平易な形容詞、副詞>の<他の語>への言い換えの例




*Upgrade Your Vocabulary  Better Ways To Say VERY...  Happy  / Sad / Good / Bad

 mmmEnglish 2020/11/26 https://youtu.be/Qm1s4ZPQPT0 の用例を参考に使わせて戴いております。


*退屈で凡庸な、眠気を誘う<very + 平易過ぎる形容詞>の組み合わせではなく、適切な形容詞に置き換える様にして語彙力を高めましょう。


*以下、全て頻用される日常語ですので言い換え表現を丸ごと覚えて下さい!

*中学英語に登場する易しい形容詞の<高級>同義語への言い換えについて網羅する解説コラムを、機会あらば作成する予定です。



*very なる程度の強意の語を冠することの出来る語は、gradable な(=比較級、最上級の取れる)形容詞ですが、言い換えられた形容詞の多くはそれ自体に強意の意味を持ち、non-gradable な形容詞になります。この形容詞を extreme adjective 極端形容詞とも言いますが、これらについての文法的な解説は本シリーズの最後に行う予定です。


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very happy → overjoyed, thrilled, ecstatic, elated


She just found out she's pregnant. She's  very  happy.

 妊娠がわかったばかりなの。彼女はとても喜んでいる。


→ She's overjoyed.

 彼女は嬉しいなんてものじゃあない。(=幸せと喜びに満ちている)

→She's  thrilled. (= really happy and excited)

 彼女はワクワクしている。(=本当に幸せで興奮している)

→She's ecstatic/ elated.(= full of an overwhelming  feeling  of  happiness).

 彼女は幸せの絶頂にある。(圧倒的な幸福感に満ちている)



very sad → heartbroken, devastated, disappointed,  dejected, ashamed, melancholy, crestfallen, miserable

*sad は様々な状況で使う語なのでニュアンスに注意して置き換えます。


His girlfriend just left him. He's very sad.

 彼のガールフレンド(=恋人)は彼の元を去ったばかりだ。彼はとても悲しんでいる。

→ He's  heartbroken/ devastated (= sadness + shock, surprize)

 彼の心は折れている/ガックリ来ている。(= 悲しみ + ショック、驚き)


Sara looked very sad. She had been so confident she  would  win  the competition, but then she came fifth.

 サラはとても悲しそうだった。彼女は大会で優勝する自信があったのに、5位になってしまった。

→ She looked disappointed/ dejected.

 彼女は落胆しているように見えた。


We were very sad to hear the fire destroyed their family  home.

 火事で彼らの実家が全焼したと聞いてとても悲しかった。

→ We were devastated to hear the fire destroyed their family home.

 私たちは火事で彼らの実家が全焼したと聞いて打ちのめされた。


Well, I'll leave you both, then," said Father Gregory and, with a very sad frown, he left the room.

 それでは、お二人ともお別れです、とグレゴリー神父は言い、とても悲しげに顔をしかめて部屋を出て行った

Well, I'll leave you both, then," said Father Gregory and, with a crestfallen frown, he left the room.

 それでは、お二人ともお別れです、とグレゴリー神父は言い、落胆した様に顔をしかめて部屋を出て行った。


I feel very sad when the weather's bad.

 天気が悪い日には僕はとても悲しくなる。

→I feel miserable when the weather's bad.

 天気が悪いと僕は気が滅入ってしまう。


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very good → amazing, fantastic, fabulous,  magnificent,  marvellous, excellent, wonderful, splendid, exceptional, awesome


*ニュアンスの違いは有りますが、素晴らしい、傑出した、驚く程の、などの訳語を適宜当てればそれで正解です。


That's a good idea.

 それはいい考えだ。

→ That's a marvellous idea.

 素晴らしいアイデアだ。

→That's  an  excellent idea.

 秀逸なアイデアだ。


I thought your performance is very good.

 私はあなたの演技はとても良いと思いました。

→ I thought  your  performance is exceptional/ amazing.  

 あなたのパフォーマンスは例外的なぐらいの(格別な)/驚くぐらいの演技だった。

→It was a splendid performance.

 それは眩いばかりの演技でした。


After years spent as frontbench attack dog, he is relishing his transition into something altogether better.

 フロントベンチの攻撃犬として過ごした数年後、彼はずっともっと素晴らしいものへの移行を楽しんでいる。

After years spent as frontbench attack dog, he is relishing his transition into something altogether more fabulous.

 フロントベンチの攻撃犬として過ごした数年後、彼は信じられないくらい素晴らしいものへの移行を楽しんでいる。

 (警察や軍事の攻撃用のイヌの話なのか、メディアの新米取材記者の話なのか、この文章だけでは特定不可能です。)


They suggested we meet them in France which, I  thought,  was  a  very good idea.

 彼らはフランスで会うことを提案しましたが、私はそれはとても良い考えだと思いました。

→ It was a marvellous/ excellent/  exceptional/ splendid idea

 それは驚く程に/秀逸な/格別な/t輝くばかりのすばらしい考えだった。


Meanwhile he has taught us a very good lesson.

 その間、彼は私たちにとても良い教訓を与えてくれた。

→Meanwhile he has taught us an awesome lesson.

 その間、彼は私たちに卓越した教訓を教えてくれた。


I think he deserves congratulations for a very good job well done.

 よくやったとても良いな仕事に対して彼はお祝いに値すると僕は思う。

→I think he deserves congratulations for a magnificent job well done.

 よくやった傑出した仕事に対して彼はお祝いに値すると僕は思う。


There are three good games to look forward to.

 楽しみな好ゲームがまだ3つある。

→There are three fantastic games to look forward to.

 楽しみな素晴らしい試合がまだ3つある。



very bad → horrible, terrible, awful, dreadful,  atrocious,


It tasted very bad.

 それはとても不味かった。

→ It tasted awful/ disgusting/

 それは恐ろしいまでの/嫌になる程のひどい味だった。


The weather has been very bad lately.

 最近天気がとても悪い。

→ The weather  has  been  terrible lately. / It's been dreadful.

 最近の天気はひどい/ もの凄い。


His behavior was very bad.

 彼の態度は非常に悪かった。

→His behavior was atrocious.

 彼の態度は最悪だった。


They are getting married this afternoon but  unfortunately,  the weather  looks very bad.

 彼らは今日の午後に結婚式を挙げるが、あいにく天気がとても悪そうだ。

→ the weather looks awful/ terrible/ dreadfu/ atrocious.

 天気は恐ろしい/非道い/もの凄い/最悪の様に見えます。




very big →huge, enormous, massive, gigantic,  monstrous


We walked through a very big gate at the entrance.

 私たちは入り口のとても大きな門をくぐった。

→ We walked through an enormous gate at the entrance.

 私たちは入口の巨大な門をくぐった。


→The gate we walked through was massive.

 私たちが通り抜けたゲートは巨大な固まりだった。


Some of the ships that pull in and out of the port near  my  house are monstrous!

 私の家の近くの港に出入りする船の中には、怪物級なものもある!


Look at the queue of the people waiting to get in, it's  very  big!

 入港を待つ人々の列を見てください、とても大きいですよ!

→ it's huge/ enormous/ massive/ monstrous/ gigantic!

 それは巨大だ/莫大だ/大きな固まりだ/怪物級だ/巨人の様だ


*源義通りに訳すと日本語に合いません。<もの凄い>と訳して逃げるのが最善です。



very small → tiny, miniscule, minimal


Paul was quite angry about the damage, even though  the  scrach on the car was very small.

 車の傷はとても小さかったものの、ポールはその損害にかなり腹を立てていた。

→ Paul was quite angry about the damage, even though  the  scrach on the car was tiny/ miniscule.

→ ポールは、車についた傷はごく小さな/ささいなものであったにもかかわらず、その損害についてかなり腹を立てていた。


The chances of losing our all money are very small.

 我々が全財産を失う可能性は非常に小さい。

→  The  chances of losing our all money are minimal.

 私たちの全財産を失う可能性は最小限だ。


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very dirty  → filthy


Don't let that dog inside. it's very dirty.

 その犬を中に入れちゃあダメさ。とても汚いよ。

→ It's filthy.

 非道く不潔だから。


It rained the entire weekend we were away camping, so  when  we  got home on Sunday, everything was very dirty.

 キャンプに出かけた週末はずっと雨が降っていたので、日曜日に家に帰ると、何もかもがとても汚れていた。

→everything was filthy.

 何もかもが泥だらけだった。


cf. fifthy は米俗語で意味が逆転して<えげつないほど素晴らしい>の意味で使われることがあります。



very clean → spotless, immaculate


We ware so impressed when we got home, the house  was  very  clean!

 とても感動しました!家に帰った時、とてもきれいだったんです。

→ the house was spotless.

 家は汚れひとつなかった。


Usually your car is full of rubbish, but today, it's very  clean!

 君の車はいつもはゴミだらけなのに、今日はとてもきれいじゃないか!

→ Usually your car is full of rubbish, but today, it's immaculate!

 いつもはゴミだらけなのに、今日はピカピカだ


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very pretty → beautiful, stunning, elegant,  exquisite


She looked very pretty as she came down the stairs in  a  blue  dress.

 青いドレスを着て階段を下りてきた彼女はとても綺麗だった。

→ She looked stunning as she came down the stairs in a blue dress.

 青いドレスを着て階段を下りてきた彼女は息を呑むほど綺麗だった。


Have you seen her engagement ring? It's very pretty!

 彼女の婚約指輪を見たことがありますか?とてもきれいだ!

→ It's  beautiful/ stunning/ elegant/ exquisite!

 それは美しい、息を呑むほどだ、上品だ、絶妙だ!



vert ugly → hideous, grotesque


Some of the big houses upon the hill  are very ugly.

 丘の上の大きな家のいくつかはとても醜い。

→  Some  of  the big houses upon the hill  are grotesque.

 丘の上の大きな家のいくつかはグロテスクだ。


The drive way are lined with very ugly statues.

 車道にはとても醜い彫像が並んでいる。

→ The  drive  way are lined with hideous statues.

 車道には醜悪な彫像が並んでいる。


A very ugly monster emerged from the cave.

 非常に醜い怪物が洞窟から出てきた。

→ A  hideous/  grotesque monster emerged from the cave.

 洞窟から醜悪な/グロテスクな怪物が現れた。



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very hot → boiling

It's been sunny and very hot for a week.

一週間ずっと晴れていてとても暑いよ。

→ It's been sunny and boiling for a week.

 一週間ずっと晴れていて茹だる暑さだね。


very funny → hilarious

I love his movies. They're very funny,.

 彼の映画作品は大好きなの、とても面白くてね。

→ I love his movies. They're hilarious.

 彼の映画作品は大好きなの、痛快だわ。


very angry → furious

Seeing abuse and inequality makes me vert angry.

虐待を見た途端私はとても腹が立ちました。

→Seeing abuse and inequality makes me furious,

 虐待を見た途端オレは怒り狂った。


very scary → terrifying

I think snakes are very scary..

 ヘビはとても怖いと思う。

→I think snakes are terrifying.

 ヘビはマジ恐怖だね。


very interesting → fascinating

That's a very interesting problem.

 それはとても興味深い問題です。

→That's a fascinating problem.

 それは心惹かれる問題です。


very unusual → extraordinary

This is an very unusual result.

 これはとても普通では無い結果です。

→This is an extraordinary result.

 これは尋常では無い結果です。


very hungry → starving

I haven't eaten all day. I am very hungry.

 僕は一日食べていない。とても空腹なんだ。

→I haven't eaten all day. I am starving.

 僕は一日食べていない。飢え死にしそうだよ。


very tasty → delicious

This cake is very tasty.

 このケーキはとても良い味です。

→This cake is delicious.

 このケーキは美味しいです。


very tired → exhausted

I got up at 5 am today. I am very tired..

 朝の5時起きだったからとても疲れたよ。

→I got up at 5 am today. I am exhausted.

 朝の5時起きだったからもう燃え尽きたよ。


very old → ancient

The museum exhibits very old vases and artefacts.

 この博物館はとても古い花瓶と工芸品を展示している。

→The museum exhibits ancient vases and artefacts.

 この博物館は古の時代の花瓶と工芸品を展示している。


very wet→ soaking

I got caught in the rain and now I'm very wet.

 雨に捕まってしまい今はとても濡れている。

→I got caught in the rain and now I'm soaking.

 雨に捕まっちまい今は全身ズブ濡れさ。








強調構文2



2025年2月5日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第2回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/very

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/dead

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/dreadfully

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/highly

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/badly


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince; A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文2




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢 Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに @語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。


 以下これらを順を追って解説して行きましょう。




[2] 他の語句を加える強調 (つづき)


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c.  very その他の語を用いての強調


*very は強意の副詞として頻用されますが、形容詞としての用法もあります。

*この形容詞の very は 「まさに」 「〜こそ」 「でさえ」 「まさしく」 などと適宜訳します。

*日本語では結局、副詞として訳すことになりますね。

*最上級 (last, best) の前{こ付ける事もあります。

*副詞の very + 形容詞、副詞の very + 副詞が同様の意味を表す他の語に言い換え出来るのに対し、形容詞の very + 名詞は他の語句に言い換えようがありません。


*very 以外に強調を表わす語は much, ever, never,  so,  all, dead, greatly, highly, extremely, terribly, badly, dreadfully などの副詞, terrible, dreadful.  extreme などの強調の形容詞 があります。

*いずれも、<とても>、に訳してしまえばニュアンスの差は兎も角も意味は外れません。


*very + 形容詞、very + 副詞を別の語に言い換えて使うと文に締まりが出て良いと主張する web 動画も多々見ます。

*中学英語に登場する平易な形容詞や副詞の類いに対して単純に very, so, such, really などを添える表現ではなく、文脈やニュアンスにより適切な一語の語彙 (同義語) に言い換えて<大人>の英語を使いなさいとの勧めでもあります。

*これは日本語でも同様で、<とても疲れた>、の代わりに<疲労困憊だ>、と言い換えるのに等しいですね。逆に子供相手には<とても疲れた>或いは関東弁の<かったるい>と言えば良いわけです。

*実際のところ、<very + 平易な形容詞>の組み合わせだと、凡庸でやる気のない形容だと捉えられる場合があります。


*大学入試程度の英作であれば、綴りが不明だ、用法が曖昧だ、の語の代わりに、very などを使い平易に仕上げるのも大変有効です。

*意味を正しく伝えてさえいれば、答案を中学英語で記述しようが採点官側は減点も出来ません。

*逆に、美文調で仕上げようとも、綴りのミス、文法・語法のミスがあればその都度減点されてしまい、損しかしません!


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very (形容詞用法)


At that very moment the telephone rang.

 まさにその瞬間に、電話が鳴った。


This is the very thing for our purpose.

 これこそ願ったりかなったりです。


He was arrested in the very act of stealing.

 彼はまさしく盗みの現行犯で逮捕された。


The very stones cry out.

 まさしく石でさえも泣く;鬼神も泣く。

= Even the very stones cry out.


The very thought of it made him so sorrowful.

 それを考えただけで、彼は本当に悲しくなった。


The Three Musketeers has been a "best seller" for  almost  a  century. Your grandmother probably thrilled to it fin the theater when she was a  girl, and hundreds of people are reading it this very  minute,  in  a dozen different languages, all over the world.

  『三銃士』はほぼ1世紀にわたって「ベストセラー」である。あなたの祖母はおそらく、少女時代に劇場でこの作品に胸を躍らせたことだろう。そして今正にこの瞬間にも、世界中で何百人もの人々が、十数カ国語でこの作品を読んでいる。

*thrill to it それを見て胸を躍らせる


It was not thought necessary for a long time to give girls  and  women  more  than the very beginnings of learning. In the early part of the  nineteenth century  a writer exclaimed, "All a girl needs  to  know  is enough to reckon how much she will have to spend to buy potatoes in  case   she becomes a widow." In view of the prevalence of such  opinions,  it is not surprising that all the colleges were closed to women. (奈良女子大)

 長い間、少女や女性に学問の正に初歩以上のことを教える必要はないと考えられていた。19世紀初頭、ある作家はこう叫んだ。「少女に必要なのは、未亡人になった場合にジャガイモを買うのにいくら使わなければならないかを計算できる程度の知識だ。」と。このような意見が蔓延していたことを考えれば、すべての大学が女性には門戸を閉ざしていたのも無理はない。




その他の強意語


以下、いずれもお目に掛かったことのある平易な語と思いますが、ニュアンスの差はあれ、<とても、非道い、もの凄い>などと適宜日本語を当て填めて理解すれば大方それで足ります


*英語には形容詞や副詞の前に添えてその意味を強める強意語、それをマイルドな、程ほどの表現にする緩和語、意味を弱める弱意語があるのですが、その全体的な説明については本シリーズの最後に採り上げる予定です。


dead

Dead is used to mean 'complete' or ' absolute',  especially  before  the words 'centre', ' silence', and 'stop'.

 deadは「完全な」、「絶対的な」、「きっかりの」、という意味で使われ、特に「centre」、「silence」、「stop」の前に使われます。

= complete, absolute


He adjusted each chesspiece so that it stood dead  centre  in  its square.

 彼はそれぞれのチェスの駒を、そのマス目の完全に中心に立つように調整した。


They hurried about in dead silence, with anxious  faces.

 彼らは不安そうな顔で、死んだような静けさの中を急いだ。


Lila's boat came to a dead stop.

 ライラのボートがぴったりと止まった。



dreadfully

You're dreadfully kind

 あんたはぶったまげるぐらい親切だな。


terrible, ever

He is in a terrible rage. What did you ever say to make  him  so  angry?

 彼はものすごく怒っている。彼をあんなに怒らせるなんていったいどんなことを言ったんだい。


all, extreme

I was all alone and was in extreme poverty,

 私は本当に一人ぼっちで、この上なく貧乏であった。



highly

*文字通りの<高度に>の意味も持ちますが、それは地位やランクに関しての利用になります。

*高低に直接関与しない語との組み合わせでは very とても、非常に、の意味で用いられます。


Mr Singh was a highly successful civil engineer.

 シン氏は土木技師として大成功を収めた。


It seems highly unlikely that she ever existed.

 彼女が存在した可能性は極めて低いと思われる。


...the highly controversial nuclear energy programme.

...非常に論議を呼んでいる原子力計画。


cf. 地位が高いの意味の利用

...a highly placed government advisor.

...政府顧問の地位が高い。


...highly ranked soccer teams.

...高いランクのサッカーチーム



badly

*文字通りの<悪く>の意味も有りますが、ダメージや怪我の程度が烈しい = severely,  seriously  非道く、の意味で頻用されます。


The bomb destroyed a police station and badly damaged  a  church.

 爆弾は警察署を破壊し、教会をひどく傷つけた。


One man was killed and another badly injured.

 1人が死亡し、もう1人が重傷を負った。


It was a gamble that went badly wrong.

 大失敗に終わった賭けだった。


I miss you badly.

 君が居なくてとても寂しい。(恋人に対する定型句)









強調構文1



2025年2月1日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。

 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第1回目になります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins dictionary の記述を参考にしています。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/pronouns-reflexive-myself-themselves-etc


UNLA ( アルゼンチンのラヌス国立大学、Universidad Nacional de Lanus )サイトに掲載の資料も参考にしています。

https://language2unla.wordpress.com/wp-content/uploads/2018/09/language-ii-module-5-inversion-and-emphasis_with-numbers.pdf

 (これは Advanced English Practice, M. Vince;  A Communicative Grammar of English, G. Leech などの書籍から Inversion とEmphasis の章を抜き出して寄せ集めたものになります。)


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 強調構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




強調構文1




*文中のある語句の持つ意味を強めることを強調 (=強勢  Emphasis )と言います。

*実際に言葉が話されている場面では、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ます。

*しかし書き言葉に於いては、それが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。


 以下これらを順を追って解説して行きましょう。





語句による強調




[1] 反復による強調


*語句 (動詞や修飾語句の場合が多い) を反復することによって強調を表わす方法です。

*写実的で判り易い反面、稚拙な、子供めいた印象を与える事もあり得ます。

*実際、子供向けの読み物では良く登場します。

*日本語で、<なんどもなんども>、などと表現するより、<繰り返して>の方が端整且つより知的に感じられるのと同様です。

*日本語のオノマトペもほほ反復語ですが、公的な文書ではそれを使いません。これに類似します。

*逆に言えば、<高級>語句がアタマに思い浮かばない場合に、この方法で強調を容易に表現出来ます。

*この方法は入試の英作文にて利用出来そうですね。

*稚拙な英文であれ誤りがない以上、相手は減点が出来ないからです



The wind blew, and the ship was blown far from the  land.

→  The wind blew and blew, and the ship was blown  farther  and farther from the land.

 風はますます吹きつのり、船は陸地からますます遠くへ流された。

= The wind continued to blow even harder, and the  boat  was  swept farther away from the land.

   (強意の副詞 even を使用しての書き換え)


I am so very, very sorry to hear of your illness.

 あなたが病気だと聞いて、本当に本当に残念です。

= I am deeply sorry to hear you are ill. (心底残念だ)


I waited for her for hours and hours.

 私は彼女を何時間も何時間も待った。

= I waited a disgustingly long time for her. (嫌になるほどの長い時間)


I fired and fired, and not a bottle could crack. (a  bottle  は他動詞 crack の目的語、倒置して強調している)

 私は射って射って射ちまくったが、一瓶すらも割ることはできなかった。

= I shot persistently, but could not break a single  bottle. (しつこく撃った)



Up Kii-no-kuni-zaka he ran and ran; and all was black  and  empty  before him. On and on he ran, never daring to look back; and at last he saw alantern, so far away that it looked like the gleam of a  firefly;  and he made for it.

  (Lafcadio Hearn  (小泉八雲)作 Kwaidan「怪談」のうちの Mujina「むじな」の一部)


 彼は紀伊国坂をずんずん駆け上った。目の前は闇に閉ざされ何もなかった。どんどん彼は走り続けるだけで後ろをふりむく勇気もなかった。やっと提灯が見えたが、それは遙か向こうで蛍の光のように見えた。彼はそれをめがけて走った。


cf. make  for =  to  head  for,  go  toward  〜に向かう


*子供が読める様な記述ですね。


→書き換え

He ran up the Kinokuni-zaka hill as hard as he could.  There  was  nothing in front of him but darkness. He just kept running and did not dare to  look back. Finally, he saw a lantern, but it was so far away  that  it  looked like the light of a firefly. He ran toward it with all his heart.

 彼は紀伊国坂を懸命に走りのぼった。彼の前は闇に閉ざされ何もなかった。兎に角彼は走り続けるだけで後ろを振り向く勇気もなかった。やっと提灯が見えたが、それは遙か向こうで蛍の光のように見えた。彼はそれをめがけ一心に走った。



In a few minutes they had him all wound up 一 hands  and  feet,  nose  and  eyes, all tied up tight. Then they took him among them, and flew  away   with him,  miles and miles, over the hills, and  up  to  a  big  cave  in  the mountain. There he heard ever so many more voices, and it wasnoisier than ever.


 数分後、彼は手も足も、鼻も目も、すべてきつく縛り上げられた。それから彼らは彼を連れて、何マイルも何マイルも丘の上を飛んで行き、山の中の大きな洞窟まで行った。そこで彼はさらに多くの声を聞いたが嘗て経験がないほど騒々しかった。


→書き換え

After a few minutes he was tied up, hands and feet,  nose  and  eyes, all tightly bound. Then they took him flying over the hills for a distance sogreat that he was no longer recognizable, until they  reached  a  large cave in the mountains. There he heard more voices, but noisier than ever.

 数分後、彼は手も足も、鼻も目も、すべてきつく縛り上げられた。それから彼らは彼を連れて、最早わからなくなるほどの距離を丘の上を飛んで行き、山の中の大きな洞窟まで行った。そこで彼はさらに多くの声を聞いたがこんなに騒がしかったことはない。


The tree seemed to become higher as she went up,  but  she  continued to climb as quickly as possible round and round the trunk and farther and  farther upward. (S.O.Jewelt)

 木は上に行くにつれて高くなるように見えたが、彼女はできるだけ早く幹をぐるぐると回り、はるか上へはるか上へと登り続けた。(S.O.ジュエルト)


→書き換え

The tree seemed to get higher as she went up, but  she  circled  the trunk as fast as she could and kept climbing much farther up.

 木は上に行くにつれて高くなるように見えたが、彼女はできるだけ早く幹をぐるぐると回り、ずっとはるか上へと登り続けた。



注 意  

*名詞を反復する場合で、There are 〜and 〜. と、There  are 〜and there are  とでは次のように意味が異なります。

There are books and books.「本がたくさんある」

= There are lots of books.


There are books and [there are] books. 「本にもピンからきりまである」

*ただし、下の文では and にストレスを置いて発音する必要があります。

= There are books that range from excellent to  scrappy.




[2] 他の語句を加える強調


******************************************


a. 再帰代名詞 -self, -selves (reflexive  pronoun) を使っての強調


*再帰代名詞は主語を強める場合がもっとも多いのですが、それ以外の場合もあります。

*〜自体、〜でさえも、〜もまた、などの様に適宜訳すと良いでしょう。


I'll go with you. I'm going that way myself.

 君と一緒に行きますよ。私自身も行くところです。



注意

(1) この用法と-self の再帰用法とを混同しないように注意して下さい。

He killed himself. 「彼は自殺した」→再帰用法  (動詞の目的語として機能→削除できない)

*再帰用法とは主語と目的語が一致する場合の表現です。

He killed it himself. 「彼は自分でそれを殺した」 →強調用法 (削除しても文が成立する)



(2) He himself did it. と He did it himself. とはどちらの himself も he を強調していますが、後者の方がより口語的表現です。


(3) She is happiness itself. -  She is very happy.

 彼女は幸福そのものだ。 (itselfが happiness を強調)

=  She is all happiness.


The doctor himself despaired of his life.

 その医者でさえ、彼は助からないとさじを投げた。

= Even the doctors gave up on him, saying he would  not  survive.

cf. despair of =  to  feel  there  is  no  hope  of  improvement.  改善する希望が無いと感じる、匙を投げる


I saw Mrs. Smith herself.

 私は〔代理ではなく〕スミス夫人自身に会った。

= I met Mrs. Smith in person.

 私はスミス夫人に直接お会いしました。

cf. in person = actually present 生身の人間としてそこに居る


Life itself is an unsolved mystery.

 人生それ自体が解けない神秘である。


His story was simplicity itself.

 彼の話は単純そのものだった。(= very simple).


He said that God himself had commanded him to  find  the  thief  and the sold traveler.

 泥棒と売られた旅人を見つけよと神自らが自分に命じているのだと彼は言った。


******************************************


b. 本動詞の直前に助動詞 do (does, did) を置き、動詞を強調


*「本当に」「たしかに」「実際」などと訳すと良いでしょう。

*尤も、特に訳出する必要の無い場合も多いです。

*動詞以外の文要素に関しては、後に扱ういわゆる強調構文にて、一部例外の語句(間接目的語は強調できません)はあるものの、全て強調する事が出来るのですが、動詞自体にはその構文を使う事が出来ずません。


He doesn't often visit me, but when he does visit  me,  he  stays  for hours.

 彼は私のところへあまり来ないが、いざ来るとなると、何時間もねばる。

 when he does visit me > when he visits me

= He doesn't come to my place very often, but when  he  does, he spends hours.


注意 do以外の助動詞 (must, can, will, haveなど) が用いられている文ではその助動詞に強勢をおき doを用いません。

"You must do it well." 一" But I have (have に強勢をおいて発音する) done it already."


That's exactly what he did say.

 それは確かに彼の言った通りのことです。


Do come to see us again!

 是非またおいで下さい。

= Please be sure to come again.


He doesn't speak much, but when he does speak, he  speaks  very fluently.

 彼は余り喋らないが、一旦ロを開くと非常に流暢に話す。

= He doesn't talk much, but once he opens his mouth,  he  speaks eloquently and fluently.


When he did get his fifty cents a day, he had to work  fifteen  hours for it--so it figured out to about three cents an hour. (D.Carnegie)

 1日50セントを実際手にする時、彼はその為に15時間働かなければならなかった。その仕事は時給に換算すると3セントだった。(D.カーネギー)

= When he actually got his 50 cents a day, he had to  work  15  hours for it. -That's 3 cents an hour.


*figure out to 計算して〜になる



c. 本動詞を文頭に出しての強調


*古い表現ですが、昔日の文芸作品などで目にします。

*文語表現ですね。

*動詞を文頭に倒置しての強調表現です。

*must ねばならない(註:法助動詞 must には過去形無く、過去時制でそのままの形にて利用されます)、との組み合わせを良く見ます。

*小気味良いリズム感が出ます。


Go  you  must at any rate.

 とにかく君は行かねばならない。


She was very much frightened, and tried to kick off  her  red  shoes, but could not do so.  Dance  she  did,  and  dance  she  must,  over field  and   meadow, in rain and in sunshine, by night and  by  day. (From  H.C. Andersen)


 彼女はとても怯え、赤い靴を蹴り落とそうとしたが、できなかった。雨の日も晴れの日も、夜も昼も、野原も草原も越え、彼女は踊り、踊らねばならなかった。


Science has made the world so small that there  is  constant  contact and conflict between one nation and another; we may live together  peacefully or we may quarrel constantly, but  live  together  we  must.  (香川大)  

 科学は世界をこれほどまでに狭くしたため、国同士の間には絶え間ない接触と対立がある。平和的に共存することもあれば、絶えず争うこともある訳だ。 しかし、我々は共に生きなければならない。


(つづく)








共通を表す表現



2025年1月25日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回は共通構文について解説していきますが、前回の挿入構文と同様に、構文と言うよりは1つの表現用法と考えた方がピタリと来ますね。共通とは要するに、数学で扱うところの分配法則に類似して、同じ文言を繰り返す時に、それら文言の共通項を(頭の中で)括弧で括り、残りの異なる要素を並列するとの用法です。数学の様に実際に括弧の記号で共通項を括ることは出来ませんので、<眼力>でもって、異なる要素がどの共通項に掛かるのかを見抜くことになります。まぁ、基本的に、(A+B)X→AX+BX, X(A+B)→XA+XB を見抜くことに尽きますが、AとBが語数も揃った綺麗な対等な関係に理想的に記述されているとは限らず、Bの方の後ろに余分な文言が続き、それも含めてXに掛けて良いものかと判断に迷うシーンも多発します。これは英語なる言語の、成文構造の緩さそのものが抱える問題もあるのですが、一番はそれに注意を払わない英文作成者側の怠慢、推敲不足を露呈するものです。この様なことは日本語の記述でも頻発し、要は述べ手側の意識の問題ですね。この様なシーンでは<文脈>即ち意味合いから相手の主張を汲み取り理解する(正しくは、読者側が理解して上げる)他にありません。塾長から言わせると、<最初から誰もが分かり易い明快な文をモノするのがお前、本当のインテリつうもんだろ?>との感想を抱くしかありません。まぁ、ハズル解読のような英文を出題されては、特に人生経験の少ない若者は難儀するでしょう。

 以上の様な<曖昧性>に留意しつつ、(A+B)X→AX+BX,及び X(A+B)→XA+XB と解釈する際の一通りの注意点を今回1回にてザッと解説して行きます。一見して意味の取れない英文に出会った際には、何が共通項なのかを落ち着いて考えるだけで疑問の霧が晴れるケースは多く、読解上の大きな援軍を得ることになります。原理的には、(A+B)X→AX+BX, と、X(A+B)→XA+XBの2つ、また、共通語が前後にある場合 X1(A+B)X2 →X1AX2+X1BX2 の3通りしか存在せず、以前に採りあげた否定の比較構文などに比べると格段に与しやすい筈です。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序通りに触れて行く積もりです。


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第3章 共通構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




共通構文 Common Relation




*2つ以上の等位の関係にある語句が他の語句に対して共通に掛かる場合、これを共通関係 (Common Relation) と言います。

*共通構文は、1つの共通語句と、それに掛かる二つ以上の語句とからなり、@共通語が前にある場合、A共通語が後にある場合、B異なる共通語が前後に配置する場合、の3種類があります。


*共通要素を繰り返す手間を省き、文章を簡潔でコンパクトにする為に利用されますが、情報を省略することを通じて曖昧性を生じ、逆に文意を誤って解釈することにも繋がります。


*共通関係は「修飾語と被修飾語」「主語と動詞」「動詞と目的語」「動詞と補語」「助動詞と動詞」「前置詞と目的語」などの間で見られます。

*まぁ、あらゆる組み合わせで記述可能です。


*要素 a,b,...は同一要素の均等な構造の語、句、節とする必要があります。

*この均等さ、対称性が崩れた記述がそこそこ見られますが、その場合は読み手側にどこをどの範囲まで括弧で括れば良いのか迷いを与えます。

*その様な文の書き手側も自身が誤解されて損をします。

*まぁ、文言がどこに掛かるのかを文脈 context から考えろと読み手に強いる訳ですが、推敲の足りない悪文です。


*1個の文を長々と続けそこに多くの情報を詰め込もうとする姿勢に全ての英文解釈上の問題が続発すると言っても過言ではありません。

*塾長は長い英文を目にするだけで、この書き手は似非インテリかと思う事が多いですね。まぁ、いい加減にしろ、との気持です。

*寸足らずに感じられても短い明快な文意の文を複数個記述し、1つの段落として書き手の言いたい事を最終的に理解させる方が余程マシな訳です。


*要素 a,b,...はせいぜい3つとするのが望ましいでしょう。特に節の場合は3つでも苦しい感じがしますので2つが良いところでしょう。




1.共通語が前にある場合 X(A+B)→XA+XB


Government of the people, by the people, for  the  people  shall not perish from the earth. (Lincoln)

 人民の、人民に拠る、人民の為の政治は地上から滅びることはない。 


 X: Government


We bathed in the sea, played on the sand, and  took  a  rest  under the cool shade.

 私たちは海水浴をし、砂浜で遊び、涼しい日かげで休息した。


 X: We


Education means development, not only of the  brain,  but  also of the body.

 教育は、頭脳(の発達)ばかりでなく、肉体の発達も意味する。


 X: development


What we do not know is always a cause of uneasiness,  of  suspicion, or of fear.

 私たちが知らないことは、常に不安、疑い、恐れの原因である。


 X: a cause


At once Miss Keller was invited to write articles  for  magarzines  and to speak for the blind in many pats of the world.

 ミス・ケラーは、すぐに雑誌に記事を書いたり、世界各地で盲人のために講演するよう招かれた。


 X: was invited


Speech is, or ought to be, silver but silence is gold.

 話し言葉は銀である、いや銀であらねばならないが沈黙は金である。


X: Speech


Every country tends to accept its own way of life as  being  the  normal one and to praise or criticise others as they are similar to or differ from  it. And unfortunately, our picture of the people and  the  way  of life of other countries is often a distorted one.

 どの国も、自国の生活様式を普通のものとして受け入れ、他国がそれに似ていたり異なっていたりすると、賞賛したり批判したりする傾向がある。そして残念なことに、他国の人々や生活様式に対する我々のイメージは、しばしば歪んだものとなる。

X: tends,  is often




2.共通語が後にある場合 (A+B)X→AX+BX


She always looked, but never really was happy.

 彼女はいつもしあわせそうにみえたが、実は決してそうではなかった。


X: happy


He has not, or has never had, anyone to love him.

 彼には愛してくれる人はいないし、また今まで一人もなかった。


X: anyone


His energy is not and cannot be what it was.

 彼の活力は昔のとおりでなく、またそうであるはずもない。


X: what it was


Writing English, and not reading it, makes you a  fluent  speaker  of it.

 英語を読むことでなく、英語を書くことによって、君は英語を上手に話せるようになる。


X: makes


Passions weaken, but habits strengthen, with age.

 情熱は年とともに弱まるが、習慣は年とともに強まる。


X: with age


The health, and perhaps the survival, of the whole  human  race  is at stake in the use of atoms for peace as well as in their use for war. .(津田塾大)

 全人類の健康、そしておそらくは生存が、戦争のための原子使用のみならず平和のための原子使用に懸かっている。

X: is at stake

*at stake = at risk, being risked (命・名誉・安全などが〉賭けられて,危険にさらされて


One thing these young people seem to have in common - the angry ones as well as the quiet ones 一 is a complete rejection, or indifference to,  the political system of this country.

 これらの若者−怒れる若者にも、おとなしい若者−にも共通しているのは、この国の政治体制に対する完全な拒絶、あるいは無関心である。


X: the political system


Churchill disliked sports almost as much as he despised  the  classics. He refused to cheer at, much more to participate in, the football and  cricket matches; the only form of athletics in which  he  distinguished himself was the fencing compettotion which he won when he was  seventeen. His father concluded that the best place  for  his  son was a military school. (神奈川大)

 チャーチルは、古典を軽蔑するのと同じくらいスポーツを見下していた。フットボールやクリケットの試合を応援することも、ましてや参加することも拒んだ。彼が唯一活躍した陸上競技は、17歳のときに優勝したフェンシング競技だけだった。息子にとって最良の場所は陸軍士官学校である、というのが彼の父親の結論だった。(神奈川大)


 X: refused  X: the football and cricket matches

*despise = to look down on, scorn, disdain  見下す




3.異なる共通語が前後にある場合 X1(A+B)X2 →X1AX2+X1BX2


Work is so much a necessity of existence that it is  less  a  question whether, than how, we shall work.

 仕事は生存にきわめて必要なものであるから、仕事をすべきか否かと言う事よりも、いかに仕事をすべきかと言う事が問題である。


X:1 question  X2:  we shall work

*question (whether, than how) we shall work =  question  whether we shall work than question how we shall work

X1(A+B) と(A+B)X2の重複パターンになります。



How the book came to have, for a work of this kind,  so  much  success,  and what sort of persons compose the bulk of those who have bought, Iwill not venture to say read, it, I have never thoroughly  understood. (J.S. Mill)

 この種の作品にしては、どうしてこの本がこれほどの成功を収めるに至ったのか、また、この本を買った(読んだとはあえて言わないが)人々の大部分はどのような種類の人々なのか、私にはまったく理解できない。(J.S.ミル)


X1: have  X2: it

*those who have bought, (I will not venture to say)  read,  it =  those who have bought it and (I will not venture to say) have read it

X1(A+B) と(A+B)X2 の重複パターンになります。



In such cases, failure to afford time and leisure  encourages,  if  it does not actually create, habits of speedy, but snapshot and superficial,judgement.

 このような場合、時間や余暇を与えないことは、実際にそうさせるわけではないにしても、スピーディーだがスナップショット的で表面的な判断の習慣を助長する。


X: afford  

X1: habits of  X2: judgement

*habits of (speedy, but snapshot and superficial)  judgement.  

X1(A+B) と(A+B)X2 の重複パターンになります。


The question of religion is one of the difficulties  his  work  presents. There is something peculiary British in his humour: it is perhaps a kind of  humour that can be understood and enjoyed to the full  only  by the English, and that can not be exported or translated with losing its freshness.(大阪経済大)

 宗教の問題は、彼の作品が示す困難のひとつである。彼のユーモアには英国特有のものがある。それはおそらく、英国人にしか十分に理解し楽しむことができない種類のユーモアであり、その新鮮さを失うことなく国外に出したり翻訳したりすることはできないものである。


that can not be (exported or translated) with losing its freshness.

X1: that can not be  X2: with losing its freshness

A: exported   B: translated


Plato was a great philosopher who lived in Greece more  than  two thousand years ago. His teaching fell into two main divisions, examination of  the foundations and methods of human thinking and  an  examination  of political institutions. He was the first man to write a Utopia, that is to  say, the plan of a society different from and better  than  any  existing one. This shows boldnes in the human mind which had hitherto accepted  social traditions and customs with scarcely a  question.  (神奈川大)


 プラトンは2000年以上前のギリシャに生きた偉大な哲学者である。彼の教えは、人間の思考の基礎と方法の考察と、政治制度の考察の2つに大別される。彼はユートピアを書いた最初の人物である。これは、それまで社会の伝統や慣習をほとんど疑うことなく受け入れてきた人間の心の大胆さを示している。(神奈川大)


X1: society  X2: any existing one

*a society (which is) (different from and better  than)  any  existing one  

X1(A+B) と(A+B)X2 の重複パターンになります。


X1: social   X2:with scarcely a question

*accepted social (traditions and customs) with  scarcely  a  question  

こちらも上記と同様です。








挿入を表す表現3



2025年1月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回からは挿入構文について解説していきますが、前回の同格構文と同様に、構文と言うよりは1つの表現用法と考えた方がピタリと来ますね。挿入とは要するに、元の完成された文、即ち、完全文に対し、付加的な情報を割り込ませる表現形式となりますが、逆に言えば、それらの要素を取り除いても完全文として存在し得る場合、挿入がある、と判断可能です。割り込みがある為に、文意が取りにくく成っている場合もありますが、その様な場合には、ははぁ〜ん、これは挿入表現かも知れないと判断し、括弧を利用して括ってみて下さい。括弧を用いて視覚的に判別することで格段に文意を把握することが容易になる筈です。これは日本語とは異なりアルファベットの羅列に終始する英文構造を少しでも視覚的に要素判別する方法として大きな力になります。この様な視点も併せ解説していきます。このシリーズの第3回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/parenthesis?q=Parenthesis


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第2章挿入構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




挿入構文 Parenthesis 3




*文の途中または終わりに、文法的には特に関係はないが説明、批評、注釈などを加える語句を差し挟むことを挿入 (Parenthesis) と言います。

*通例、コンマ、ダッシュ、括弧などで挿入語句を区切ります。




4.節の挿入


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that-clause に先立つ先頭部分の that-clause 内への挿入


Perseverance,  it has often been said,  is  the  key  to  success.

 しばしば言われてきたことだが, 忍耐は成功への鍵である。

= It has often been said that erseverance  is  the  key  to  success.


Determination,  it has frequently been said,   is  the  way  to  progress.

 決意は進歩への道だとよく言われる。


He was rather proud of his home. There was  about  it,  he thought,a certain distinction.

 彼は自分の家を誇りに思っていた。彼は自分の家を誇りに思っていた。


Travel becomes uninteresting,  someone has  remarked,   in  exact proportion to its rapidity.

 旅はその速さに比例して面白くなくなる、と誰かが言った。


His desires,  it appears,  have worked out as  expected.

 彼の望みはどうも,叶ったらしい。


His clarification,  it should be admitted, was a  little  unsatisfactory.

 彼の説明がすこし不満足であったことは認めなければならない。


He is - I would rather not tell you - a wily  individual.

 彼は一あまりいいたくないのだが一ずるい人です。

*wily = cunning, designing, sly 狡い、計算高い


Are not all natural things, it may be asked, as  lovely  near  as far away ? (O.W. Holmes)

 すべての自然の景物は、いかがでしょうか、遠くから見たと同じように、近くで見ても美しくはありませんか。(O.W.ホームズ)

= I think all natural things are as  lovely  near  as  far  away


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一般的な副詞節の挿入


*副詞節ですので本来は主節の途中に挿入せず、その前後に置くものです。

*定型的な表現が多いです。


He is,as I told you before, a very bright boy.

 彼は以前にもお話ししたとおり、とても利口な少年です。


He is,so far as I know, a reliable person.

 彼は私の知っている限りでは、信頼できる人である。


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if, though の譲歩節の挿入


* これは if, though の譲歩節を挿入する場合に良く見られます。

*if not, if any, if ever などは省略の形で用いる慣用句で、通常  if = even  if   (譲歩表現) の挿入句として用いられ、前後にコンマを置いて使います。

*if not, if any は few, little の次にくることが多く、 ever は  seldom,  rarely の次に来ることが多いです。

*たとい〜である/無いにしても、の意味になります。


It was difficult,  if not impossible,  to make  friends  with  him.

 彼と仲良くするのは、不可能でないにしても,難しかった。

*if not impossible = if it is not impossible


It was now nearly,  if not altogether,  daylight.

 すっかり明けたとは言えないにしても、もうほとんど夜は明けていた。

cf. altogether = complete, whole 丸ごと


There is little, if any,  difference  between them.

 それらの間に差異はあるにしても(ほんの)わずかである。


He has seldom,  if ever,  spoken in public.

 彼は人前で話をすることが、たとえあったにしろごくまれであった。



be that as it may

 それはともかくも


They don't see the reason why you think it that  way.  You can, be that as it may, cause them to figure out your purposes behind suspecting as  much.

 彼らはあなたがそう考える理由がわからない。あなたは、それは兎も角も、あなたがそう疑っている背後にあるあなたの目的を彼らに理解させた方が良い。


*you can do は、相手に助言する表現です。君は〜すべきだ、〜した方が良い = you should do


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<what is + 比較級>の挿入


*先行詞を含む関係代名詞 what (= the thing  that,  the  thing  which)の慣用的用法の一つとして <what  is + 比較級>が独立節として挿入されることがしばしばあります。これは「さらに〜のことには」と訳します。

*https://www.kensvetblog.net/column/202411/20241101/ をご参照ください。

*前に and を添えるのが一般的です。


He is intelligent and what is better, is very  strong.

 彼は知性があり、さらに良いことにはカラダがとても頑強です。


He said nothing, and what is worse, laughed at  us.

 彼は一言も発しなかったし、そしてさらに悪いことには、われわれを笑ったのだ。


Hard work, moreover, tends not only to give us rest  for  the  body, but, what is even more important, peace to the mind.

 その上、仕事を熱心にやる事は、肉体に対する休息を人に得るのみならず、さらに重要なことには、精神に平和を与えることにもなり易い。

cf. us はyou の目的格ですが、一般人を指します。


*tend to do = be likely to do 〜する確率/蓋然性が高い、〜し易い

*上の文例で、tend to do を、〜する傾向がある、と訳すとまともな日本語になりません。〜し易い、〜になり易い、などと適宜訳します。




5.疑問文、関係詞節中の挿入


*<後ろにthat-clause を取る主語+動詞>を疑問詞のあとに挿入する表現は日常茶飯に頻用されます。

*この場合挿入語句の前後をカンマで区切りません。

大学入試の整序問題としても頻出します


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疑問文中の挿入


Where do you think he has gone ?

 彼はどこへいってしまったと思いますか。

*Where (do you think) he has gone

= Where has he gone? + do you think  (語順の変化に注意)


How old do you guess that woman is ?

 あの婦人は何歳だと思う?

= How old is that woman? + do you guess

cf. 動詞 guess はぞんざいな語感を与えます。〜じゃね?の casual 表現になります。


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関係詞節中の挿入


The boy who I thought was honest deceived me.

 正直だと思っていた少年が私をだました。

*who (I thought) was honest


Dreams have always fascinated mankind, because  they  open  up to us a realm of our personality which we did not know existed. (J. A. Hadfield)

 夢は常に人類を魅了してきた。なぜなら、夢は私たちの知らない人格の領域を開いてくれるからだ。(J・A・ハドフィールド)

*which (we did not know) existed


I was on my guard against the attack which I knew  might  come from the land, but the sea, from which I thought no danger threatened, had  proved  yet more deadly.' Things which we feared might  do  us  hurt turn out to our advantage, and what we thought would save us proves our  ruin.

(大阪府大)

 私は陸から来るかもしれない攻撃から警戒していたが、危険はないと思っていた海からの攻撃は、さらに致命的であることがわかった。傷つくかもしれないと恐れていたことが、かえって有利になり、助かると思っていたことが破滅を招くのだ。


*which (we did not know) existed.

*from which (I thought) no danger threatened

*which (we feared) might do

*what (we thought) would save



関係代名詞の省略


https://youtu.be/JPvGPDLeVmI

42 Songs You Didn't Know Are Covers

*これは正しくは 42 Songs which (You Didn't Know) Are Covers と関係代名詞の主格 which を残すべきですが、省略されています。


*口語にはこの手の破格的省略が普通に観察されるのが現状です。

*ははぁ〜ん、ここは which が that が省略されているなぁと、瞬時に見抜いて下さい。


*教養が問われる云々は別として、この手の英語を物怖じせずに口から次々と発していくと、海外生活も大丈夫ですし、親しい友人或いは恋人までもがすぐに出来るのは事実です。

*その内に正しい英語も使える様になってしまいます!




6.独立文の挿入


*文法的には関係ない独立した文が他の文にそのまま挿入されることがあります。

*前後を区切るためにコンマのほか、ダッシュ、括弧も用いられます。

本来なら、適当な接続詞や関係詞を用いるべきですが、そこまでは明示しないで補足的な文言を加える表現と言えるでしょう

*文の挿入により、冗長な陳述になり、例えば文学的な含みや間を与える事は出来ても明快さが犠牲になります。

*それ故、個々の文の論理的関係、繋り具合の明快さを至上とする学術論文にはこの形式は全く見かけません。

*塾長としてもこの様な表現は時代掛かったものに感じますし、分詞構文同様に読み手側に<接続詞>の類推を強いる<面倒臭い文章>ゆえ、積極的な利用はお勧めしません。


All the uncommon books that I have, they are  to  be  sure not many, will be available to you.

 私の珍本は、ほんの少ししかありませんが、みんな自由に読んでくたさい。

cf. to be sure = without doubt; certainly 確かに


I came up to London without a moment's delay  (it  was  last harvest time) and I saw my uncle's companion.

 私は遅滞なくロンドンに来て (それはこの前の秋だったが) 叔父の友人に会った。


Mr. Allen was a bit tired of driving-his wife  didn't  drive  at all-and so they decided to have a day's rest in Switzerland.

 アレン氏は運転に少し疲れていた−妻はまったく運転しない−ので、スイスで1日休養することにした。


Paradox though it may seem一and paradoxes are  always  things-it is none the less true that Life imitates art far more than Art imitates life.  (O.  Wilde)

 逆説に見えるかもしれないが、逆説は常に存在するものであり、芸術が人生を模倣するよりも、人生が芸術を模倣することの方がはるかに多いことは、何ら劣らず真実である。(O.ワイルド)


He once said that if you wanted to be a great  musician  you  had to be born poor. He said that there was something - he admitted he didn't know  exactly what it was - but he said there was  something  buried  in the soul by poverty - something mystic, something beautiful, something that  developed feeling and force and sympathy and  tenderness.  (D. Carnegie)

 彼はかつて、偉大な音楽家になりたければ貧しく生まれなければならないと言った。何か--それが何なのか正確にはわからないと彼は認めたが--貧しさによって魂に埋もれるもの、神秘的なもの、美しいもの、感情や力、共感や優しさを育むものがあると彼は言った。(D.カーネギー)




 今回で挿入構文の解説は終わりますが、構文と呼称するよりは寧ろ単なる1つの表現方法とも言えますね。皆様の知識の復習がてら各回短めのコラムに仕立てました。この先もまた、また〜り、がつんと進めましょう!








挿入を表す表現2



2025年1月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回からは挿入構文について解説していきますが、前回の同格構文と同様に、構文と言うよりは1つの表現用法と考えた方がピタリと来ますね。挿入とは要するに、元の完成された文、即ち、完全文に対し、付加的な情報を割り込ませる表現形式となりますが、逆に言えば、それらの要素を取り除いても完全文として存在し得る場合、挿入がある、と判断可能です。割り込みがある為に、文意が取りにくく成っている場合もありますが、その様な場合には、ははぁ〜ん、これは挿入表現かも知れないと判断し、括弧を利用して括ってみて下さい。括弧を用いて視覚的に判別することで格段に文意を把握することが容易になる筈です。これは日本語とは異なりアルファベットの羅列に終始する英文構造を少しでも視覚的に要素判別する方法として大きな力になります。この様な視点も併せ解説していきます。このシリーズの第2回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/parenthesis?q=Parenthesis


https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/by-the-way

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/of-course

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/for-instance

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/in-fact

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/after-all


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第2章挿入構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




挿入構文 Parenthesis 2




*文の途中または終わりに、文法的には特に関係はないが、説明、批評、注釈などを加える語句を差し挟むことを挿入 (Parenthesis) と言います。

*通例、コンマ、ダッシュ、括弧などで挿入語句を区切ります。




3  句の挿入


*成句、不定詞、分詞が副詞句として挿入されることがあります。

*不定詞、分詞構文で定型句化している表現は多くありますが、各々独立不定詞、独立分詞構文と呼称されます。

*独立不定詞、独立分詞構文に関しては以下に始まるシリーズにて詳述しています。

    https://www.kensvetblog.net/column/202009/20200920/

*ここでは極く一部を紹介するに留まります。


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慣用句の挿入


by the way

=incidentally ところで、ついでながら  今思いついたことを語る時に用います。口語です。

*その道の傍に、の文字通りの意味も取り得ます


Which he examined rather too closely for my  comfort,  by  the  way.

 ところで、彼は私の慰めのために、それをかなり綿密に検査して呉れた。

*which は前文内容を表す代名詞(=今述べた事)です。examined の目的語ですが倒置されています。


The name Latifah, by the way, means 'delicate'.

 ところで、ラティファという名前は 『繊細な』いう意味だ。


of course

 勿論、言うまでも無いが (口語

*強調表現です。

*日本語と全く同様の語感です。肯定にも否定にも用います。


Of course there were lots of other interesting  things  at  the exhibition.

 もちろん、展示会には他にも興味深いものがたくさんあった。


'I have read about you in the newspapers of  course,'  Charlie said.

 「もちろん新聞で君のことは読んだよ」とチャーリーは言った。


You're not really seriously considering this thing,  are  you?' 'No, of course not.'

 まさか本気で考えているんじゃないだろうな? いや、もちろん違うよ。


for instance, for example

= e.g. (exempli gratia の短縮形) 例えば = as an  example


If you were to go to Italy, for instance, you  would  get  a  different perspective on our culture

 君が例えばイタリアに行けば、私たちの文化について違った見方ができるだろう


in fact

= in reality, in truth

 2つの意味用法があります:


1.You use in fact, in actual fact, or in point of  fact  to  indicate that you are giving more detailed information about what you have just said.

 in fact、in actual fact、in point of fact などを使って、今言ったことについてより詳しい情報を提供することを示します。

 そして実際 = indeed


We've had a pretty bad time while you were  away.  In  fact, we very nearly split up this time.

 あなたがいない間、私たちはかなりひどい時間を過ごしてきた。実際、私たちは今回、危うく別れるところだった。

=  We've had a pretty bad time while you were  away.  In  fact, we very nearly split up this time.


He apologized as soon as he realized what he  had  done.  Indeed he wrote a nice little note to me.

 彼は自分のしたことに気づいてすぐに謝った。実際、彼は私に素敵なメモを書いてくれた。



2.You use in fact, in actual fact, or in point of fact  to  introduce or draw attention to a comment that modifies, contradicts, or contrasts with aprevious statement.

 in fact, in actual fact, または in point of fact を使って、前の文を修正、矛盾、または対照するコメントを紹介したり、注意を引いたりします。

 ところが実際は、実際には =but in fact として通例用いられます

=

That sounds rather simple, but in fact it's very difficult.

 これは簡単なようで、実はとても難しい。


They complained that they had been trapped inside  the  police  station, but in fact most were seen escaping over the adjacent roofs to safety innearby buildings.

 彼らは警察署内に閉じ込められたと訴えたが、実際にはほとんどの人が隣の屋根を越えて近くの建物の安全な場所に逃げ込んだのが目撃されている。


cf.  actually, as  a  matter  of  fact

*上記の in fact と同様に、対立的な2つの意味、@そして実際のところ〜だ、A(前言に反して)でも実際は〜だ、を持ちます。

*and と but の対立的な意味合いですね。

*口語だと後者の意味での利用が多い様に見えますが、前者の意味で利用しても何ら誤りではありません。

*曖昧性を持つ語ゆえ、formal な場では使用は控えた方が良いでしょう。

使うにしても、<でも本当は>の意味では、but, however などを添えて使うのが良いでしょう

*自分が使う場合には、and, but を前に添えて使い、また目にした文中の語には文脈から判断して and, but のいずれかを添えて意味を鮮明にすると良いでしょう。



after all

=despite what has occurred or been assumed  previously;  nevertheless

以前に起きた事、想定していた事にもかかわらず、(あれこれ言っても、考えても)結局のところ


I thought you might know somebody. After all,  you're  the  man with connections.

 あなたが誰か知っているかもしれないと思ってね。結局のところ、あなたはコネクションのある人だから。


I came out here on the chance of finding you at  home  after  all.

 なんだかんだ言っても、私はあなたが家にいるのをたまたま見掛けてここに来たのです。

=

I just happened to see you at home and came  here  after  all.




to 不定詞定型句の挿入


*慣用的に用いられますが、独立不定詞と呼称されます。


*独立不定詞、独立分詞構文に関しては以下に始まるシリーズにて詳述しています。

    https://www.kensvetblog.net/column/202009/20200920/


to be exact

 正確に言うと


It happened, to be exact, at five minutes  past  the  hour  of eight.

 正確にいうと、それは8時を5分まわったときに起こった。


to be sure

 確かに = without doubt; certainly


And that's a difficult task to be sure; but it  has  to  be  done.

それは確かに難しい仕事だが、やらなければならない。


so to speak

 言わば、言うなれば = that is to say


I ought not to tell you but I will, since you're  in  the  family,  so to speak.

 言うべきではないが、でもいわば家族のようなものだから言っておこう。


The five countries have now all passed, so to  speak,  their  entry test.

 これで5カ国はすべて、言うなれば入団テストに合格した。


to begin with

 

1.まず第一に、そもそも (言いたい事の最初のものを紹介する時に使う)= to start with, in the first place, firstly

'What do scientists think about that?'?'Well, to  begin  with,  they  doubt it's going to work.'

 「科学者たちはそれについてどう考えているのか」 「まあ、そもそも、うまくいくのかどうか疑っている。」


2.初期段階では、最初は at first 

It was great to begin with but now it's difficult.

 最初は良かったけど、今は難しい。



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一般的な副詞句の導入


A foreign language dictionary,instead of providing  synonyms  in the same language, of course,gives corresponding words and phrases in aforeign  language and, ordinarily, some examples to show  how  the  word defined can be used in sentences. (K. Croft)

 外国語辞書は、もちろん、同じ言語の同義語を提供する代わりに、外国語で対応する単語やフレーズを提供し、そして通常、定義された単語が文中でどのように使われるかを示す例文をいくつか提供する。(K.クロフト)


It was troublesome,in the event that certainly  feasible,  to  warm up to him.

= It was troublesome to warm up to him, which was  in  the  event that certainly feasible.

 実際のところ最後はそうは出来たものの、彼と打ち解けるのは厄介なことだった。

=

It was troublesome to warm up to him, although I  was able  to do so  in  the end.


* in the event = in the end, as it happened, as it  turned  out 結局の所、実際そうだったのだが

*feasible = can be done, made, or achieved 実現可能な  (医学部入試頻出語です)

 cf. フランス語の faire = to do, make の語感 + possible = that can be done, convenient 為し得る、便利な


He thought,and that very wisely, that it was  best  to  be silent.

 彼は思った、しかもとても賢明に思った、だまっているのが最良だと。

= He thought, and very wisely, that it was best to  be  silent.

= He thought that it was best to be silent, which  was  very  wise.


*and that  しかもその上

*このthat は "used emphatically, instead of  repeating  a  previous word or phrase" (OED 2nd.ed.) 、前言を繰り返さずに言いたい事を強調する為に用いる thatになります。

*詰まり、He thought,and that very wisely, = He  thought,  and he thought very wisely  

*and =しかも、の意味を持ちますので、that は無視して掛かると却って意味が分かります。

*英和辞典や学参などには記述が普通にありますが、この意味合いの and that の用法は今では一般的ではなくなり、死語化しつつあることにご留意下さい。

*後ろにthat-clause を従える文にて、斯かる紛らわしい and that を重ねて使う自体、学習者を無駄に惑わすだけの悪文の類いでしょうね。


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分詞構文(副詞句)の挿入


The producer,having considered the play, and  decided  to  undertake the job of producing it, has no further concern with its literary merits or itsdoctrin, ifany、(G.B. Shaw)

 プロデューサーは、戯曲を検討し、それをプロデュースする仕事を引き受けると決めた以上、その文学的な長所や教義にそれ以上の関心はない。

*having considered the play, and (having) decided  to  undertake the job of producing it

理由を表す分詞構文(節とは扱われず副詞句扱いです)が挿入されています。


It is,all things considered, because of his lack of  regard.

 それはあらゆることを考慮しても、彼の見識のなさが原因だ。

*all things (being) considered = when all things  are  considered








挿入を表す表現1



2025年1月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回からは挿入構文について解説していきますが、前回の同格構文と同様に、構文と言うよりは1つの表現用法と考えた方がピタリと来ますね。挿入とは要するに、元の完成された文、即ち、完全文に対し、付加的な情報を割り込ませる表現形式となりますが、逆に言えば、それらの要素を取り除いても完全文として存在し得る場合、挿入がある、と判断可能です。割り込みがある為に、文意が取りにくく成っている場合もありますが、その様な場合には、ははぁ〜ん、これは挿入表現かも知れないと判断し、括弧を利用して括ってみて下さい。括弧を用いて視覚的に判別することで格段に文意を把握することが容易になる筈です。これは日本語とは異なりアルファベットの羅列に終始する英文構造を少しでも視覚的に要素判別する方法として大きな力になります。この様な視点も併せ解説していきます。このシリーズの第1回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/parenthesis

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/notwithstanding

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/nonetheless

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/therefore

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/hence

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/indeed

https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/perhaps


https://en.wikipedia.org/wiki/Hamlet


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第2章挿入構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




挿入構文 Parenthesis




*文の途中または終わりに、文法的には特に関係はないが説明、批評、注釈などを加える語句即ち extra-information を差し挟むことを挿入 (Parenthesis) と言います。

*通例、コンマ、ダッシュ、括弧などで挿入語句を区切ります。




1.同格文言の挿入


*名詞 (名詞相当語句) が同格として挿入される場合ですが、身分や職名などを表わす語句が挿入される時には冠詞を省くのが普通です。

*定冠詞 theがついている場合は「例の、あの」というような感じを表わします。

*<固有名詞+無冠詞の身分>の組み合わせが多いです。


Hamlet,  heir  to  the  king,  was  suspicious of his uncle.

 王位継承者であるハムレッ卜は叔父を疑った。(the heir の the が略されている)

= Hamlet, beneficiary of the lord, was dubious of  his  uncle.


Mr. Brown, chairman of the committee, went to  New  York.

 委員会の議長であるブラウン氏はニューヨークへ行った。(the  chairman の the が略されている)

= Mr. Brown, administrator of the council, went to  New  York.


Johnson, ex-President of the U.S.A., made a fireside  speech  last Sunday.    

 アメリカ合衆国前大統領ジョンソン氏は日曜日に炉辺談話をした。 (the ex-President の the が略されている)

= Johnson, ex-Leader of the U.S.A., made a fireside  discourse  last Sunday.




2.語の挿入


*挿入される語は  however のほかに  therefore,  indeed,  though,  moreover,  perhaps などの副詞が大部分になります。

*これらの語は、文中に挿入せずとも、文頭、文末にも基本的に置く事が出来ますが、語ごとに置かれるべき場所が慣用的にほぼ定まって居ます

*ここでは極く一部を紹介するに留まります。


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逆接、譲歩


however

 しかし、しかしながら

*文頭、文中、文尾のいずれにも置けます。

*塾長の高校在学中に、however は文の途中に置くのが正しいと習ったのですが、その様な事はありません。

*formal な文でも普通に文頭に置いて使われますが、文尾に置くのは formal 文中ではほぼ見られませんね。


Higher sales have not helped profits,however.

 しかし、売上が上がったからといって、利益が上がったわけではない。


They do not understand why you think it that way. You can, however,  make them understand your reasons for thinking so.

 彼らには,君がなぜそう考えるのかわからない。しかし、あなたはそう考える理由を彼らに理解させることができます。



notwithstanding

nonetheless

 〜にも関わらず、とは言え

*文頭、文中、文尾のいずれにも置けます。


This was not a simple choice. It is,notwithstanding, a  choice  that we feel is directed by our obligation.

 これは単純な選択ではない。とはいえ、私たちの義務による選択であることは間違いない。


A portion of the food crops fizzled.Notwithstanding, the  cotton  did very well.

 食用作物の一部は頓挫した。それにもかかわらず、綿花は非常にうまくいった。


It was only a small donation, but it was gratefully  received  nonetheless.

 わずかな寄付金だったが、それでもありがたく受け取った。


Today, the paying of a dowry is illegal, but the practice  continues  nonethelessin some areas.

 今日、持参金の支払いは違法だが、それでも一部の地域では慣習が続いている。



though

〜にも関わらず、もっとも

*though を文末に置くのは口語表現です。

*though を文頭に置くと、〜にも関わらずの意味の接続詞にもなりますが、これには副詞の場合も見られます。

*他方、although は より formal であり、文頭のみに置きます。


I am sorry about our quarrel; you started it, though.

 喧嘩をしたのは残念に思う。もっとも、君が先に手を出したのだが。


He felt a little guilty about being overpaid, though  he  wasn't  about to give it back.

 彼は過払い金があることに少し罪悪感を感じていたが、尤もそれを返すつもりはなかった。



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理由


therefore

hence

 それゆえ

*文頭、文中に置けます。

*理由を表す語ですので文尾には置きません。



The children will be walking to the cathedral and therefore  will  need  to wear suitable footwear and a sun hat or raincoat, depending on the  weather.

 子どもたちはカテドラルまで歩きますので、天候に応じて適切な履物、日よけ帽子またはレインコートを着用する必要があります。


Several members have not replied for over three years  and  their  names have therefore been removed from the mailing list.

 何人かのメンバーは3年以上返信がないため、メーリングリストから名前が削除された。


Hence, such an arrangement permits the handling of  a  group  of  pupils psychologically similar, who form a homogeneous social group.

 したがって、このような配置は、心理的に似た生徒のグループを扱うことを可能にし、彼らは均質な社会集団を形成する。


It is not a central aspect of perception and hence  need  not  have  such a primary role in psychological inquiry.

 それは知覚の中心的な側面ではないので、心理学的探究においてそのような主要な役割を持つ必要はない。


Peter's leaving at the end of this week - hence his  anxiety  to  get his work finished.

 ピーターは今週いっぱいで退社する。- それゆえ、彼は仕事を終わらせることに不安を感じている。

*hence + 名詞(句)で、前言ゆえの帰結を表します。hence はこの用法が頻用されます。

*hence 以下が寸足らずな表現になり我々日本人には奇異に感じられますが、適宜SV仕立てで文章化して理解します。

Peter is leaving at the end of this week; hence, his anxiety is mounting to get his work finished.


in this manner


Things are coming up. It is important, in this manner,  that  we ought to act immediately.

 物事が近づいている。斯くして、すぐに行動することが重要だ。

*in this manner = in this way (こんな遣り方で)の意味であることが大半ですが、ここでは<〜なので>、と in this sense, hence に近い意味合いです。


*way, manner などの物事の遣り方 how が、reason 理由の why に転じていることになりますが、how と why の混用、混乱が特に口語表現では見られる様に感じています。formal な英語の記述に於いては駄目出しを喰らうのではと思います。

*物事を如何に行うかは何かの理由に基づいてそうするわけですので、手段≒理由となるのは理解出来なくもありませんが。


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強調


indeed

for sure

 確かに、本当に、直前に言ったことに賛成する表現

= certainly


Later, he admitted that the payments had indeed  been  made.

 その後、彼は実際に支払いが行われたことを認めた。


We have nothing against diversity; indeed, we want  more  of  it.

 私たちは多様性に反対しているわけではない。


The engine began to sound very loud indeed.

 エンジンの音が確かに大きくなった。


It's going to be a good day, for sure

 今日は確かにいい日になりそうだ。


She is indeed a kind girl.

 彼女は本当に親切な子だ。


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蓋然性


perhaps


He was not perhaps physically the strongest in the  class.

 彼はクラスで一番体力があったわけではない。



Perhaps, in time, the message will get through.

 おそらく、やがてそのメッセージは正しく伝わるだろう。


cf. get though a task で困難な仕事をやり抜ける、全うするの意味ですが、get throght to someone だと to succeed in making  understand 相手に理解させることに成功する、の意味になります。まぁ、思いが伝わる、説得する、の意味ですね。転じて電話が通じるの意味にも使われます。


An old friend might well be able to get through to her  and  help  her.

 旧友であれば、彼女を説得して助けてくれるかもしれない。

=

An old friend might be able to convince her and  then  help  her.


I've been calling but I can't get through to him.

 ずっと電話しているけど彼には電話が繋がらないんだ。








同格を表す表現3



2025年1月5日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 前回シリーズまでにて、否定表現を交えた比較構文、否定構文について説明を加えましたが、今回からはそれらに比べると我々日本人にはだいぶ扱い易い同格構文について解説を加えて行きます。構文と言うよりは単なる一つの表現用法と呼称した方が寧ろ適切かもしれません。まぁ、難解なものが連続しましたので皆様にはちょっとリラックスして戴こうとの思いもあります。同格とは要するに、2つの名詞或いは名詞相当句をカンマ、コロン、ダッシュ、of  などを挟んで並列し、後ろの表現にて意味をより明確に或いはより具体的に述べる用法になります。少し注意を払えば、ああ、ここは前言を言い換えている、同格表現だなとすぐに分かる様になります。これは意味内容からの判断もありますし、後ろに続くものが独立した文章では無く名詞句であると考えざるを得ないことを根拠にそう判断するに至る場合もあります。勿論、明確に、< or, thatis, that is to say, in other words> などと言葉に拠って明言する用法もあり、これらも併せて解説していきます。このシリーズの第3回目、最終回となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−挿入構文、共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/apposition

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/punctuation


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第1章同格構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




同格構文−文字を用いる同格構文




*文字表現の前後のものが同じであることを示す表現になります。

*詰まりは利用される文言は、=イコール、等号に等しいことになりますね。

*但し、思考の流れとしては、分かり難いものから容易なものへと進みます。




1. of の利用


*前置詞 of には様々な意味が有りますが、of の前後を比較して、似ている様な事が述べられて居る場合に、同格用法だと判断する形になりますね。

*〜なる、と訳すとスンナリ来ます。


the city of Naples

 ナポリなる街


a speech on the subject of archaeology

 考古学(なるテーマ)についての講演


the virtue of temperance, the country of (= which is)  Japan,  all  three of us ( = all three who are we)

 「節制なる徳」、「日本なる国」、「われわれ三人」


She is an angel of a woman ( = an angelic or  ange-like  woman).

 彼女は天使のような女性である。


She broke suddenly into the most terrible passion  of  tears.

 彼女は突然とてもはげしく泣き出した。


That fool of a doctor  (= That foolish doctor) told  me  to  make my will.

 うちのばか医者めが俺に遣言書を書けといいおった。


The invention of writing was the  greatest movement by  which  mankind rose from barbarism to civilization.

 文字を書くという発明は人類が野蛮状態から文明へとそのおかげで向上した最大の活動であった。


Of the elements which contribute to the English  habit  of  tolerance geography is one.

 英国人の忍耐の習慣に貢献している要素のうち地理がその1つである。


In the British Parliament, there developed an  important  habit  of arranging with the Lower House the business of obtaining money.

 英国の議会では金を調達するという仕事を下院と取り決めるという重要な慣行が発達してきた。


The summer continued hot and dry, a condition  which  gave  rise to the danger of forest fires.

 その夏は暑くて雨がなく,山火事の危険を生む状態だった。



I'd heard from my fool of a husband, who came  running  to  me with the news as if it were something I'd jump for joy about, that you'd abandonedhim.   (J. Wain)

 まるで私が喜んで飛びあがるようなものであるかのようにそのニュ-スを知らせに駆け込んで来た私のばかな亭主から、あなたが彼を捨てたということを聞いたんです。


*和訳するとややこしいですので、<英文の語順通りに>次々とイメージを思い描きながら<短くぶった切って>理解するのが一番です。

→ I'd heard from my fool of a husband. / He came  running  to  me  with the news that you'd abandoned him. / It was as if it were something I'djump for joy about.

 私の馬鹿亭主から聞いたんですよ。あなたに捨てられたんだと私の許に駆け込んで来たんです。私が喜んで飛びあがるとばかりでしたよ。


*一部の英語指導者が提唱するスラッシュリーディング法を越え、完全に独立した文に前から切り離していく遣り方です。

*<独立切り離し法>とでも名付ましょうか。

*主文の後ろにズラズラ付け加えられる英語の文言を漢文の返り点の様に読み返して和訳するのは、言語構造が全く異なる日本語話者にとっては苦行でしか有りませんし、更にそのように忠実に訳したとて肝心の読み手側が意味が取れなくなり無意味にさえなります。

*時間との闘いである同時通訳者はこの遣り方で進めます。

*この訳文で満点が取れます。第一、どうせ大した事も語られていない!内容です。




2. 名詞+名詞節


*日常普通に目にする用法ですね。


名詞 + that-clause

*関係代名詞 that との区別は、that 以下が完全文になっているかどうかです。

*完全文なら同格と判定出来ます。


Can you produce an evidence that the rifle was  yours?

 その銃が君のだったという証拠が出せるか?


cf. produce  

produce evidence or an argument 証拠を出す、証拠として示す = to show, provide


He reminds me twenty times a day without knowing  it  of  these two facts, that he has not his father and that he has to live his own life. (P.  Buck)

  彼はこの二つの事実、すなわち彼には父親がなく彼自身で生活をしなければならないということを、1日に20回も知らず知らずに私に思い出させるのである。


I have received confidential information that a  document  of great importance has been stolen.

 私は非常に重要な文書が盗まれたという極秘の情報を受けています。



名詞 + wh-clause

There arose a question whether we should do it  or  not.

 われわれがそれをすべきかどうかという疑問が生じた。



名詞節+名詞節

Scott felt, what every sensitive nature should feel,  that  poverty  is a much lighter burden to bear an debt,  (S. Smiles)

 スコットは−これは物分かりの良い人間人ならだれでも感じることであるが−貧乏している方が借金するよりもずっと気が楽だと感じた。


cf. sensitive = thoughtful, understanding 物わかりの良い、察しの良い

cf. be sensitive about 〜にくよくよする


*wh-clause と that-clause が同格内容のものとして併記されています。

*共に動詞 felt の直接目的語です。

*should = would





3.to 不定詞の利用


*極く普通に多用される表現です。


I'll let you have a choice, -to buy a house, to  lease  a  house, or to build a house.

 君は家を買うか、借りるか、建てるか、の三つのうち一つ選べ。


*これは choose to do の動詞 choose を名詞化し、そのまま to 不定詞を続ける用法です。

*to 不定詞以下で choice の具体的内容、中身を明示します。真の意味での同格関係では無く、補足説明を加える表現と呼ぶべきでしょう。

*名詞を形容するので形容詞用法になります。


*choose to do の場合は不定詞の副詞用法(名詞用法と考える立場もあります)ですが、choice to do では形容詞用法に切り替わる訳ですね。


a right to do 〜する権利、なども同格用法と言えます。どう言う権利であるのか、その権利の中身を説明します。


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*因みに to 不定の形容詞用法は、1.名詞が to 不定詞の主語となるケース、2.目的語となるケース、そして3.同格を表すケースの3通りがあります。


Neil Armstrong, an American astronaut, wasthe first person to walkon the moon.

  (the first person walks  = SV の関係となっている) 


There are lots ofthings to do.

   (do things = thingsは do の目的語になっている)


I'll let you have achoice to buy a house.

  (to 不定詞は a chice の内容を説明している)


cf. I have somewhere to be tomorrow.

明日は行くところがあるんだ。(頻用される表現です)

これは本来は

→ I have some place where to be tomorrow.

=  I have some place where I shoud  be tomorrow.

 とした方が良さそうに見えます。

*ここの to be は somewhere ( = an unspecified or uncertain place) なる名詞に掛かる to 不定詞の形容詞用法だと説明する native の動画を見たのですが、somewhere を名詞に利用するのは方言掛かった表現の模様です。通常はsomewhere は副詞 (或る場所に、ちょっと或る場所に) として用いる語です。

*英米共に、地方では特殊な文法用法や語法が見られることがあります。古い時代の表現がそのまま使われていることも多々あります。

*まぁ、標準からは外れた表現ですので、意味は理解出来ても自分から使うのは避けるべきですね。




4.i.e.,   that  is,   that  is  to  say,  or,   in  other  words

*記号や of, clause, to 不定詞を使う表現と異なり、同格であることを文言を用いて明確に述べる表現形態です。


*文学的な含みを持たせたい、などの場合除き、これらの文字表現を用いて明快に述べる、記述することを塾長はまずお勧めします。


*文学作品などに接したときに備えて一通り知っておくべき修辞的表現形態と、自らが日常的に人様から敬意を持って見られる英文を作る、語る場合の formalで明快な表現、とを鋭く分けて学習することが、これからの英語学習に特に必要になる筈です。

*他方、これらに対し、casual で informalな、ぞんざい口語英文を語る、作る事は、また別の次元の英語習得−巷の英会話スクールの守備範囲−になりますね。


*どうも大方の日本人はこれらの英語の間の区別が殆ど付いていない様に見受けられます。

*例えば formal な場で informal な語彙や用法を用いると、知性や教養をまず疑われますので混用などは厳に避けた方が良いでしょう。


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that  is  (to  say)

that's  to  say

[formal]

in other words; more explicitly

 言い換えれば; より明確に

that is what is meant

 つまりそういうことだ


You use that is to say or that's to say to indicate that  you  are  about to express the same idea more clearly or precisely.

 that is to sayやthat's to sayを使って、同じ考えをより明確に、または正確に表現しようとしていることを示す。


All the B Vitamins work synergistically. That is to say,  they  are  more potent when taken together than when used separately.

 すべてのビタミンB群は相乗的に働く。つまり、別々に使うよりも一緒に摂ったほうがより強力に作用する。


I believe his account of the story, that is to say, I  have  no  reason to doubt it.

 私は彼の話を信じている。つまり、それを疑う理由がないのだ。


In fact, I could put you in touch with some of Dodo's  old  customers - that is to say, followers - who would be only too happy... `

 実際、ドドの昔の顧客、つまり信奉者たちに連絡を取れば、きっと喜んでくれるだろう......。`


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in  other  words

 他の言葉でいうと

expressing the same idea but differently

 同じ考えを違う形で表現する


You say in other words in order to introduce a  different,  and  usually simpler, explanation or interpretation of something that has just been said.

通常、直前に述べた事を、より簡単な、別の説明や解釈を紹介するために、他の言葉で言う。


The mobile library services have been reorganised -  in  other  words, they visit fewer places.

 移動図書館サービスは再編成された。つまり、訪問する場所が減るのだ。


We're all the same, in other words; national differences  count  for nothing in these psychic regions.

 言い換えれば、私たちは皆同じなのだ。この精神領域では、国の違いなど何の意味もない。


Delegates, in other words, were beginning to cluster  together  in groups, often groups around someone.

 言い換えれば、代議員たちはグループ、しばしば誰かを中心としたグループにまとまり始めていた。


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i.e.

id  est (イドゥ・エスト)

=that is (to say)

 即ち


*formal な文、学術論文などで極めて頻用される表現です。


i.e. is used to introduce a word or sentence which  makes  what  you have just said clearer or gives details.

 i.e.は、今言ったことをより明確にしたり、詳細を示したりする単語や文章を紹介するときに使う。

...

...strategic points - i.e. airports or military bases.

 戦略的地点、すなわち空港や軍事基地など。


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or


1. introducing a synonymous word or phrase

 同義語や同義句を導入するのに用います


botany, or the science of plants

 植物学即ち植物の科学



2. You use or to introduce a comment which  corrects  or  modifies what you have just said.

 今言ったことを訂正したり、修正したりするような意見を述べるときに使う。


The man was a fool, he thought, or at least  incompetent.

 この男は馬鹿だ、いや少なくとも無能だ、と彼は思った。


There was nothing more he wanted, or so he  thought.

 ガレがそれ以上望むものはなかった、いや彼はそう思った。


That was sporting of him. Or should I say cowardly.

 彼はスポーツマンだった。いや臆病と言うべきか。


She was aware of tension between them. Or had it  been  there  from the beginning?

 彼女は2人の間に緊張があることに気づいていた。それとも最初からそうだったのだろうか?



3. You use or to introduce something which is  evidence  for  the truth of a statement you have just made.

 あなたは、今言ったことが真実であることの証拠となる何かを紹介するために、"or"を使います。


He must have thought Jane was worth it or he  wouldn't  have  wasted time on her, I suppose.

 彼はジェーンにそれだけの価値があると思ったに違いない。でなければ、ジェーンのために時間を浪費することはなかっただろう。

=

He must have thought Jane was worth it. Otherwise,  he  would  not have wasted his time on Jane.




 今回で同格構文の解説は終わりますが、構文と呼称するよりは寧ろ単なる1つの表現方法とも言えますね。一通り覚えて下さい。皆様の知識の復習がてらコラムに仕立てました。この先もまた、また〜り、がつんと進めましょう!








同格を表す表現2



2025年1月1日

 皆様、新年明けましておめでとうございます。KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 前回シリーズまでにて、否定表現を交えた比較構文、否定構文について説明を加えましたが、今回からはそれらに比べると我々日本人にはだいぶ扱い易い同格構文について解説を加えて行きます。構文と言うよりは単なる一つの表現用法と呼称した方が寧ろ適切かもしれません。まぁ、難解なものが連続しましたので皆様にはちょっとリラックスして戴こうとの思いもあります。同格とは要するに、2つの名詞或いは名詞相当句をコンマ、コロン、ダッシュ、of  などを挟んで並列し、後ろの表現にて意味をより明確に或いはより具体的に述べる用法になります。少し注意を払えば、ああ、ここは前言を言い換えている、同格表現だなとすぐに分かる様になります。これは意味内容からの判断もありますし、後ろに続くものが独立した文章では無く名詞句であると考えざるを得ないことを根拠にそう判断するに至る場合もあります。勿論、明確に、< or, thatis, that is to say, in other words> などと言葉に拠って明言する用法もあり、これらも併せて解説していきます。このシリーズの第2回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−挿入構文、共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/apposition

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/punctuation


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第1章同格構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。




同格構文−記号を用いる同格構文2




2.同格表現−ダッシュの利用


*同格 apposition としてはコンマを利用する場合が一般的ですが、ダッシュ dash を使うと、dramatic な強調効果を与える事が出来ます。

*即ちダッシュを利用する場合は、一呼吸置いて構える様な、力を入れた感情的表現になりますね。

*含みを持たせ勿体を付ける効果もあります。

*ダッシュはインフォーマルな文章でよく使われます。コンマやセミコロンと同様の使い方ができます。同格、補足説明の用途です。

*感情的な効果を意図する表現ゆえ、自然科学の学術論文の文章中にダッシュは通常は用いません。

*思わせぶりの付け足しの補足説明などせず、必要な情報は最初からきっちりと明瞭に述べるのが学術論文だからです。


This laboratory - the largest one in the world - employs  thousands  of able scientists.

  この研究所は世界最大のものだが、数千人の有能な科学者を採用してぃる。

  (This  laboratory =  the  largest one in the world )


He placed his hat - a dark grey Homburg - upon his  knees.

 彼は帽子−濃いねずみ色のホンバ−グ−を膝に置いた。


Health, friends, position, -  all are gone.

 健康、友人、地位−すべてが失くなってしまった。


Her voice is soft and beautiful - an excellent thing  in  woman.

 彼女の声はやわらかで美しいが、それは女性にとってはすばらしいことである.


I have given up my favorite pastime - reading, and  now  have  very  pleasant work, preparing boys for college.

 私は読書という気に入りの趣味を捨てました。そして今は少年たちに大学へ入る準備をさせるという大変楽しい仕事をしています。


When they are successful, many men and women forget  prudence,  moderation, and kindness - qualities which were instrumental in their success.  (A. Maurois)

 成功すると、男性でも女性でも慎重さ、節度、親切--すなわち彼らの成功の助けであった美点を忘れる人が多い。

There are many prejudices against the Middle Ages;  the  name  itself  means the interval of darkness between the ruin of the ancient classical  culture and the modern revival of learning - a time  supposed  to be full of ignorance, superstition and bad taste, an object of loathing to well-educated persons. (W.P. Ker)

  中世紀に対して幾多の偏見がある。中世紀という名前自体、古代の古典文化の衰亡と近代の学問復興の間の暗黒の時期、すなわち無知、迷信、悪趣味に満ちていたと考えられる時代、そして十分教育を受けた人々には嫌悪の対象でもある時代、の意味になっている。



*以下は名詞或いは名詞相当句ではない文言にダッシュを利用しており、同格の定義に外れます。

*文言、セリフに劇的効果を与えんとの意図でしょう。


Our teacher - who often gets cross when we're late -  wasn't  cross at all. No one could believe it!

 私たちの先生は、遅刻するとよく怒るのですが、(今回は)全然怒られませんでした。誰もそれを信じられませんでした!


Just wanted to thank you for a lovely evening - we  really  enjoyed it.

 素晴らしい今夕に対して有り難うと言いたかったです。本当に楽しかったですよ。


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*ここで括弧、スラッシュ、ハイフンの用法について学んでおきましょう。


cf. 括弧の利用法


*括弧はダッシュと同じような働きをします。括弧は多くの場合、本質的でない追加的な情報を追加します:


Thriplow (pronounced ‘Triplow’) is a small village  in  the  eastern part of England.

 Thriplow (発音は「トリプロウ」)はイングランド東部の小さな村です。


*学術論文では、日付やページ番号を括弧で囲みます。

*学術論文の中身の文章中に括弧は通常は用いません。


Heaton (1978) gives a convincing explanation of  how  hurricanes  are formed (pages 27-32).

   Heaton (1978)はハリケーンがどのように形成されるかについて説得力のある説明をしている (27-32ページ)。



cf. スラッシュの利用


*インターネットのアドレスや、学術的な参考文献の中で、スラッシュを使うこともあります。


You can find the figures you need on www.bbc.co.uk/finance

 www.bbc.co.uk/finance にて、必要な図を見つけることができる。


Binks (1995/1997) has already researched this  aspect  of  Roman history.

  ビンクス(1995/1997)はローマ史のこの側面をすでに研究している。


*話は外れますが、英文の読み方の1つとして参考書やyoutube 動画等にてスラッュリーディング法を勧めるものが有ります。

*英文を語句の纏まり事にスラッシュで区切り、視覚的にも、文型や修飾関係或いは文言の独立性を明確に出来る利点は確かにあると感じます。

*英語は各文字列が均等な関係で配列しているのでは無く、言葉の纏まりのブロックで組み立てられて機能しますので、実は native が文を読む時には意識もせずにスラッシュで言葉の固まりを区切っているとも言えます。

*実は発話する時に、言葉のブロック毎に僅かな区切りが置かれていることに気が付くでしょう。

*多数のスラッシュを用いると却って煩雑になりますので、文構造を把握する力が付いてきたら、分かり難い修飾関係のみ括弧で括る方法などに移行すると良いでしょう。

*塾長はスラッシュリーディング法は一度も使ったことはありませんし、生徒にトライさせてみたこともありません。


cf. ハイフンの利用


the symbol -, used to join two words together, or  to  show  that a word has been divided into two parts at the end of one line and the beginningof the next:

*ハイフンは、2つの単語を結合したり、1つの行の終わりと次の行の始まりで単語が2つの部分に分かれていることを示すために使用されます。

*ダッシュとの混同は避けて下さい。


There are hyphens in "well-to-do".

 well-to-do "にはハイフンがある。




3.同格表現−コロンの利用


*コロンは、イコール= 記号を左右から圧縮した形になりますが、基本的にその前後で同じ内容を表す記号です。

*しかしながらコロンの使用は、英語の apposition 同格としては必ずしも文法的には扱われません。

*即ちコロンを利用する場合は、真の意味での同格(格が等しい)では無く、補足的説明なる下位の概念扱いなのでしょう。

*国内の英語参考書では同格用法としてのコロン利用の記述が見られますし、実際同格用法の一種として利用されると理解して不都合はありません。


*コロンは必ず完全文の後に使われます。コロンのあとでその(一部の)中身を言い換えます。

*全ての用法は、コロン以下に最初の文章の(一部の)補足説明、具体的な中身を提示する用法になります。


*this is because, for example, in other words などを1つの記号で示す事の出来る便利な用法です。



1.コロン(:)は次に例示する語をリストアップする際に用いられます。(例示のコロン)


There are three main reasons for the success of  the  government:  economic, social and political.

 政府の成功には3つの主な理由がある:経済、社会、政治。



2.また、サブタイトル(副題)を示すときや、トピックの細分内容を示すときにもコロンを使用します。(副題のコロン)


Life in Provence: A Personal View

   プロヴァンスでの生活: 個人的な見解


The Senator spoke on the subject: '' International  Trade  and  the World Market,'.

 上院議員は「国際貿易と世界市場」という演題で演説をした。



3.2つ目の文が1つ目の文を追加的に説明したり、正当性を補強する場合によく使われます。(追加説明、主張正当化・補強のコロン)


Try to keep your flat clean and tidy: it will sell more  easily.

 アパートをきれいに整理整頓するように心がけましょう。そうすればもっと簡単に売れます。


As for the old women, they sat there on their  yellowed  and  bony haunches. They were all beyond the bitter pain and ecstasy of youth - its    frenzy, its hop, its sinew of bright blood and agony: they  were  beyond the pain and fear of anything save age and death.  (T. Wolfe)

 老婆たちといえば,彼女らはそこで黄ばんだ骨ばった腰をおろしていた。皆,青春のはげしい苦痛と法悦--すなわち青春の狂気,希望,若々しい情熱と苦悩を結びつけている「腱」とも言えるもの--をすっかり越えていた。つまり彼女らは老年と死以外の何の苦痛も恐怖も及ばないところにいたのである。


It may help to solve one of mankind's most urgent  problems : how to increase food production.

 それは人類の最も急を要する問題、すなわちいかに食料を増産するか、を解決する助けとなるであろう。


Drake had only one hope: to live long enough to sat  at  least  once on an English ship across the sea.

  ドレイクはただ一つの望みをもっていた。すなわち生きている間に少なくとも一度、英国の船で海を渡りたいという望みを--。


Broadly speaking, human beings may be divided into three  classes: those who are toiled to death, those who are worried to death, and those、whoare bored to death. (W.S,Churchill)

 おおざっぱに言えば人間は三つの種類に分けることができるでしょう。すなわち、苦労して働いて死ぬ人、悩みつづけて死ぬ人、そして退屈しきって死ぬ人です.


But reading and book love in all their forms suffer  from  one  serious defect: they are too nearly akin to the ordinary daily round of the brain    worker to give that element of change and contrast  essential  to real  relief.  (W.S. Churchill)

  しかしあらゆる形の読書と本を愛することは一つの重大な欠点を持っているのです。 つまりそれらは頭脳労働者の普通の日常の仕事にあまりに似ているので,ほんとうの息抜きにとって必要な変化とか対照ということを与えることができないのです。


4.発言を引用するときに用います。(引用のコロン)


Toni Morrison relates language to power; "Definitions  belong  to definers, not the beloved."

 トニ・モリスンは言語と権力を結びつけている。"定義は定義者のものであり、愛する者のものではない"。



5.直接話法の導入時にコロンを使うことがあります。(直接話法のコロン)


Then he said: ‘I really cannot help you in any way.’

 それから彼は言った:「私は本当に何もお手伝いできません」。



cf. colon は解剖学用語で結腸を意味します。


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*ここでセミコロンの用法について学んでおきましょう。


cf. セミコロンの利用


*2つの主節を区切るには、フルストップ(=ピリオド)の代わりにセミコロンを使います。このような場合、節は意味に於いては関連するものの、文法的には分離しています。

*コロンの様に、前の文に対して直接に情報を追加する、説明するなどの機能は持ちません。

前後の文が独立している訳ですが、意味的には軽度に関連している場合にセミコロンを使います。


Spanish is spoken throughout South America; in  Brazil  the  main language is Portuguese.

 スペイン語は南米全土で話されているが、ブラジルではポルトガル語が主流である。


*セミコロンは現代英語ではあまり使われず、ピリオドで切ったり、コンマを使う方が一般的です。


*複数の例示各々の要素を明確に分離して示す為にセミコロンを各要素の区切りとして使います。この用途では一般の文書、また学術論文等でも頻用されます。