英文長文読解 短期集中 個別指導 

KVC Tokyo  英語塾

                               





















































































































































































塾長のコラム 2019年6月15日  『主語の概念 A 膠着語と屈折語T』






主語の概念 A 膠着語と屈折語


2019年6月15日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 言語形態論では、日本語は膠着語 agglutinative language、一方インドヨーロッパ語族に含まれる欧米語は屈折語 inflected langage に分類されます。皆さんはこれらの専門用語を耳にしたことがあるかもしれませんが、厳めしい語感が感じられ逃げ出したくなった方もいるだろうと想像します。膠着とはニカワ(動物の骨や蹄、皮を煮詰めて作る糊)で貼り付けるとの意味ですが、日本語だと膠着状態の熟語もあり語感が良くありません。単語なる<部品>同士が糊でくっつく程度の軽い意味として、例えば<接着言語>などに改称したらどうでしょうか?まぁ、各々独立した単語に、<てにをは>を糊として使って動詞などの叙述語などに<貼り合わせる>ことで意味表現化する言語ですね。一方屈折は、何も言葉がジグザグ凸凹に折れ曲がる訳では無く、活用するとの意味ですので、誤解を招くと言うか意味不明な屈折の日本語訳は止め、只の活用言語と呼べば宜しい様にも思います。単語がゴムの棒であれば、手で握りしめた基部(語幹)は変化せずとも、その先(活用語尾)が左に右にとブレて折れ曲がる、との連想から西洋ではこの語を当てたのかも知れません。こっちは、単語(多くはその語尾)が活用することで意味表現を行う言語です。<てにをは>自体を単語の中に含む言語体系と考えれば良いでしょう。fusional langage (融合言語とでも訳しますか)との別名もありますが、<てにをは>を取り込んで単語が融合したとの意味ですね。但し、これら膠着語、屈折語の区別は厳密なものではありません。実際、英語自体は動詞活用が単純化すると共に前置詞(一種の<てにをは>)使用の比重が高まり、膠着語化の程度が進んで来ているのは確かに感じます。インドヨーロッパ語族で有りながらも、活用を簡略化し、膠着語の性質を纏うことで、事実上の共通語として普及したとも言えそうです。とは言っても英語を第一言語とする話者圏自体は英国本国並びにその旧植民地に留まってはいますが。

 余談ですが、フィンランドのバルト海を挟んでの対岸にあるエストニアでは、フィンランド語と同じ膠着語とされるエストニア語(フィンランド語に近い)が話されますが、ドイツ語などの影響で、次第に屈折語化が進行しているとのことです。言語交替(げんごこうたい)の1例ですが、英語とは真逆の進化方向ですね。



以下、本コラム執筆の参考サイト:


https://ja.wikipedia.org/wiki/膠着語

https://en.wikipedia.org/wiki/Agglutinative_language

<接着言語>の訳で分かり易くて良いのではと考えます。


cf. glue の語源

https://www.etymonline.com/word/glue

"to stick together 互いにくっつくもの、糊、 clay 粘土も同根




https://ja.wikipedia.org/wiki/屈折語

<活用言語>の訳で分かり易くて良いのではと考えます。


https://en.wikipedia.org/wiki/Fusional_language

別名inflected langage

<融合言語>の訳で分かり易くて良いのではと考えます。


cf. inflect の語源

https://www.etymonline.com/word/inflect

inflect (v.)

early 15c., "to bend inward," from Latin inflectere (past participle inflexus) "to bend in, bow, curve," figuratively, "to change, alter, influence,"  from in- "in" (see in- (1)) + flectere "to bend" (see flexible). Grammatical sense "to vary by change of form" (especially at  the end of a word)  is  from 1660s. Related: Inflected; inflecting.


 内側に向かって折れ曲がるが原義。形式(特に単語の語尾)を変化させるとの文法上の意味は1660年に使用が始まる。


*詰まりは文法上の意味は最初から活用の意味であり、おそらく、当時は適当な言葉見当たらないので1660 年になり inflect の語を当てたのでしょう。

他方フランス語では flexion の語を当てます。

https://fr.wiktionary.org/wiki/flexion

(Grammaire) Modification de la forme d’un mot par rapport a ce qui est  considere comme sa forme de base, par la conjugaison et la declinaison.




https://ja.wikipedia.org/wiki/エストニア語


https://ja.wikipedia.org/wiki/言語交替








The Finnish Language Langfocus 2016/05/20 に公開

This video is a mini-documentary about the Finnish Language. First I investigate

the history of the Finnish language before dissecting some of its important  features.

https://youtu.be/D-uWYvlyeBc


毎度のポールの言語解説動画です。フィンランド語は膠着語で、a, the の冠詞も、

名詞の性も無く、また動詞の未来形がない点で日本語に似ています。フィンランド

人は英語を流暢に話しますが、長らくスウェーデンに支配され、印欧語に馴れ親

しんできた歴史的背景がありそうです。その点は良かれ悪しかれ<極東のガラパ

ゴス島>在住で、独自文化を高度に発達・洗練させてきた日本人とは大違いです。





https://8020japanese.com/wp-content/uploads/jp-sentence-structure/En-vs-Jp-structure.jpg

In: https://8020japanese.com/japanese-sentence-structure/


英語と日本語の構造的違いを示す図。英語では各種の前置詞を使う点で、日本語の助詞

(後置詞と呼べなくも無い、糊に相当)の利用と似ていて膠着語化が進んで来ている様に

見えます。日本語ではいわゆる主語でさえ、動詞(これは文末に置かれる)を修飾し取り巻

く要素の1つに過ぎません。ラテン語の場合は、左の図で、Subject と前置詞の2つを動詞

Verb 1つの中に押し込んで1つにしたような形態の言語(その分活用は複雑化する)と考

えれば分かり易いのではと思います。言語形態的には、上の左右の図にて、あとは動詞

の時制、詰まりは現在過去未来のあり方を考えれば基本的な理解は終わりそうです。


この様な言語構造の違い(言語形態論)から、どうして英語が世界に普及したのか、

その理由を考究するのもいっぱしの論文になりそうですね。






 面白い記事がみつかりましたのでご紹介しましょう。英語話者向けに日本語の特徴を説明するものですが、大変優れた内容だと思います。



https://8020japanese.com/japanese-sentence-structure/

Japanese Sentence Structure: The Ultimate Beginner’s Guide


English vs Japanese sentence structure


Most people find Japanese sentence structure to be difficult and  confusing.

This is completely understandable considering how fundamentally  different it is to other languages, but the truth is that Japanese  grammar is  actually incredibly logical ? it just needs to be looked  at  from the right angle.


Usually, the basic structure of Japanese sentences is considered  to be SOV ? subject-object-verb (eg. I sushi eat). This description  makes it  easier to compare with English, for example, which  follows an SVO structure, but the truth is, this comparison is  mostly meaningless because  the  two languages function in  completely different ways. The SOV label is also wrong  sometimes, as it is not uncommon in Japanese to see  sentences   with the object appearing before the subject. No wonder it seems  so confusing…


Instead of trying to fit a Japanese-shaped peg into an  English-shaped hole, let’s start again.


Firstly, in English, the main pieces of a sentence go in a specific  order. The person doing the action (the subject, eg. I)  is first,  followed by the  word that describes the action (the verb, eg. eat),  then the thing that the action is done to (the object, eg. sushi). In  English, it is the word  order  that tells us who did what.

Japanese sentences are structured around grammatical markers  called ‘particles’. Each particle indicates how the word before it  relates to  other  words in the sentence, usually to the verb. The  verb appears last, but the order of the other words can vary  because it is the particles,  not  word order, that tell us who did  what.


For example, a basic sentence might have a topic (which is often  the same as the subject) followed by the particle ‘wa’, then an  object with  the  particle ‘wo’, and finally the verb. This basic  word ordering is why Japanese is often considered an SOV  language, but as long as the right  particles are used with the right  words, the actual order of the words can be changed.

 

(和訳は次回Bに続く)






日本語とトルコ語の凄い類似 - パート 1

2020/07/31 vacationintheuniverse

https://youtu.be/FRMhkqovbwY


日本語とトルコ語は文章の造り型が驚くほど類似していますが、1つの説では、トルコ−中央アジア

−モンゴル−朝鮮半島−日本語は一連の語族にあると(アルタイ語族)されます。尤も、トルコから中

央アジアに掛けてのテュルク系言語同士はある程度までは意思疎通が可能ですが、他同士は構成

される単語1つ1つに共通点がない程までに分断、孤立化しています。文法のタネは同根だが、拡

散して後、互いに交流無く封印されて時間が経過した可能性があります。日本語と琉球語は異なる

言語として分離する直前の状態でしょうか?塾長は沖縄返還後2年後に旅行しましたが、現地の人

同士の会話が全く理解出来ませんでした。




Altaic: Rise and Fall of a Linguistic Hypothesis

2019/09/29 NativLang

Languages throughout Asia are startlingly similar, but are they all part of one huge

family? Thus began the biggest fight in the history of historical linguistics.

https://youtu.be/z0zkHH6ZOEk


アルタイ語族として纏まるかについては、共通祖先を持つのでは無く互いに横方向で影響しあった結果だとする説も提出されています。言語間の類似性、系統性を探るに当たり、単語の共通性を比較しようとの方法が従来採られて来ましたが、どうしても恣意的な言葉の選択とこじつけた解釈になりがちであり、塾長もこの様な方法論が常に成立するとは考えて居ません。この動画に寄せられたコメントに、Weilong Guan

I'm a Manchu from Beijing, I speak a little Manchu and a little Mongol, when I learned Turkish in Istanbul I found the grammar and vocab surprisingly matching (excluding Islamicborrowings in Turkish and Tibetan Buddhist borrowings in Manchu/Mongol). All those suffixes and conjugations are nearly the same.

Other than that my grandpa (Manchu) and grandma (Mongolian) could communicate with each other speaking their native languages (plus Chinese and Tibetan)  とありましたが、文法構造面で強固な類似性が互いにあると見られ、個々の単語の近似性よりはこちらの方を重視して語族を捉えるべきと考えますが如何でしょうか?








 日本語話者の一人である塾長からすると、助詞なる便利な接着剤で単語(活用型が少ない)同士を貼り合わせて意思表示を行う日本語の方がラクな様に感じます。まぁ、日本語学習はひらがなとカタカナの世界に留まる限りでは易しい模様ですが、漢字習得の面となると欧米語話者の前には一気に壁が立ちふさがりますね。