入試英文を添削するD |
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2020年2月5日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 普段一般的な英語の文章を多読している塾長からすると、大学入試の英語文に触れてギョッとなることがそこそこあります。入試英文も一つの英語の文章として、公平な観点から見てみようとのコラムの第5回目です。 以下、過去問とはなりますが具体例を挙げながら入試英文を<添削>して参りましょう。最終的には改訂した英文を掲載しますが、そこに至る塾長の考え方、迷い?など思考のプロセスをご覧ください。他ではちょっと見られない企画だろうと思います。 以下参考辞書サイト:https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/ |
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平易な書き換えの要点*A と B は等位にした方がバランスが良さそうです。そこでまずは、不要な positive を削除し、There is general apathy to, if not distrust of, science itself as a search for truth.とします。*しかし、主節と従属節が名詞 science に共通に掛かる構文にはやはり疑問符が拭えず、There is general apathy to science as a search for truth, even if (there is) not distrust of it.と分離させ、従属節にて science as a search for truth を it で代用します。これが一番安全でしょう。但し、対照を表す2つの表現、apathy to と distrust of が離れてしまいます。この対照的修辞表現を接近させつつ、文法的にも疑義を抱かせないだろう記述に改めます。*there is なる記述は、主体が不明確であり、物理的に存在するのか、誰かが保有しているのかの明確性がありません。There is no air in space.→ Air is not present in space.宇宙に空気は無い。→ Space has no air.宇宙は空気を持たない。There is apathy to science.科学に対する冷淡さがある。apathy は物質として存在せず人間の精神にありますので、 We have apathy to science. としたいところですが用例が見付かりませんでした。ちなみに、以下の表現は取り得ます。have (feel) sympathy for同情する、心を寄せるPeople often have no sympathy for the homeless.ホームレスに同情心を持たない人が多い。cf. apathy: Greek apatheia, from a: without + pathos: feeling感情を持たない、何とも思わないapathy = being without feelingそこでThere is apathy to science. を→ We are indifferent to science.我々は科学には冷淡だ。と書き換えます。*ここで省略的な挿入表現を使いたいなら、接続詞 if を使わない単なる副詞句を採用します。*scientific inquiry <科学的探求>の用法から a serch forを an inquiry into に換えます。*itself は無くてもOKでしょう。 |
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これまで5題の入試英文をじっくり見ていきましたが、塾長が展開したのと同じ遣り方で、入試英文を「解読」し、用いられている語句の用法を辞書で(出来れば英英辞典で)調べて知識とする習慣を身につければ、英文の読解力は格段に上がる筈です。更には自分だったらこう書き換えるのだが、と英英翻訳を行うと完璧に近づきます。この様な訓練を重ねると、脳内での和訳変換無しに、最初から目に入る英文の意味のままに読み進められるようになります。平易な英文であれば一晩で数十〜百頁程度は読みこなせる様にはなるでしょう。その様なレベルに到達してのちに、ギョッと感じる英文に出会った場合には英文の方がおかしいとの疑義を自信を持って抱いて良いと思います。まぁ、精読と多読をインターバルで行うと良いと思います。 |
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