入試和文英訳B 2020大阪大学T |
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2020年5月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 和文英訳の問題を<解読>してみよう、のコラムの第3回目です。今回と次回の2度に分けて阪大の問題にトライします。 基本的なアプローチとしては、和文英訳とは与えられた日本語の表現を論理的に考え直し、高校卒業程度の英語のフレーズを利用して易しく置き換える、との操作になります。即ち、実は日本語の出題文の方を添削する作業になります。出題側も、高校卒業程度の語彙レベルでの解答以上のもの、例えば文章の風格など、は期待していませんので、自分の知り得る平易な単語、フレーズ、構文を引っ張り出して兎に角解答を埋めることが大切であり、それでそこそこの点数は取れる筈です。入試英文添削の時と同じく、完成形?に至る塾長の考え、迷いなど思考のプロセスをご覧ください。他ではちょっと見られない企画だろうと思います。 以下、参考サイト:https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/ |
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(A)過去の哲学者がどの様な問題に向き合い、どのように考えたかを知る事は、とりもなおさず、私たち自身が、当時の人間と同じような過ちを再び繰り返すことのないよう、高い費用を払って得た教訓を学ばせてもらうという側面があります。(阪大2020年前期 外国語学部以外)【和訳の基本戦略】*日本語に特に勿体ぶった修辞語句を加えたり衒学趣味的に漢語を用いたりはしておらず、極めて普通の日本語です。但し、逐語的に英訳すれば奇妙な英文となりますので、最初に行うべき事は、論理的表現且つ平易な日本語に置換する操作となります。*TVなどで通行人に街頭インタビューしている時に気が付くことですが、頭に思いつくままにダラダラと考えを述べ、次の言葉、語句を追加している内に主題と述語の明確な対応が外れて来てしまう例が頻繁に見受けられます。述語が饅頭の餡だとすると、主題(主語)やその他の要素を順序構わず回りに幾らでも付け足して饅頭の皮として被せて仕上げるのが日本語の特徴でもあり、口語的にはその様な会話の流れであっても最後に<何か適当な>〆の述語を持って来ればすべてヨシとなります。この作法で問題無く相手に通じて相手も納得してしまいます。阿吽の呼吸での曖昧性を許容してしまう言語とも言えそうです。或る意味、日本語は話すのは簡単だと言われる所以です。これを明確性を持つ文章に仕上げる際に教養の差が強く出る言語とも言えそうです。これに関しては、昨年6月15日附の塾長コラム、『主語の概念 A 膠着語と屈折語』 https://www.kensvetblog.net/column/201906/20190615/ の項を是非ご参照下さい。*上の阪大の和文を見て、これは会話文そのままの発想だ、と感じました。「Aであることを知る事」は、「Bである」ことを学ばせてもらう側面がある、ですが、感覚的には理解出来て思わず頷いてしまいますが、どこが主語(主題)でそれに対応する述語がどれなのか、文章の構造がどうなっているのか、その意味内容としては今ひとつ明確性に欠けるところがあります。まぁ、立派な悪文です。詰まりは、英訳する前に明確性の高い日本語に rewrite しないと訳せません。(A)の文をカッコで括ると、{(過去の哲学者がどの様な問題に向き合い、どのように考えた)かを知る事}は、とりもなおさず、{私たち自身が、(当時の人間と同じような過ちを再び繰り返すことのないよう、<彼らが>高い費用を払って得た教訓)を学ばせてもらう}という側面があります。とでもなりましょうか。複雑な入れ子構造です。高い費用を払ったのはどうも当時の人々の様ですね。この阪大の問題は日本語を改訂する問題、との比重が非常に高い様に見受けられます。この改訂作業をさっさかこなす、或いは自分の中で把握した大意の通りに英語を仕上げてしまう、のが基本政略となります。【和文の大意】*和文が入れ子構造になっており、判ったような分からない様な構造の悪文ですが、簡単に言うならば、<哲学書を読めば先人と同じ間違いせんための教訓をタダで得られてええで(大阪弁もどき?)>、ですね。【英語化し易い和文への変換】*複雑な構造の文章に加え、明確性の低い述語<という側面があります>と表記しています。<脳内日本語−日本語変換>で熱が出そうになります。文意を理解したのちに和文を分解して前後を入れ替えたり繋ぎ換えたりしてみます。*英語風な表現に変換すると「過去の哲学者がどの様な問題を扱い、それをどのように考えたかを知るならば(知る時)、当時の人たちが痛みを伴って得た、そして同じ過ちを犯すことから我々を遠ざけて呉れる教訓、を正に得ることが出来る。それは哲学書を読むことのもう一つの利点である。」「過去の哲学者がどの様な問題を扱い、それをどのように考えたかを知る事には、当時の人たちが痛みを伴い得た、そして同じ過ちを犯すことから我々を遠ざけて呉れる教訓、を我々に与え得る別の利点がある。」「哲学者が扱った過去のテーマとその考察を調べることに拠り、また我々は1つの教訓を学ぶ為のコストを正に理解出来るし当時の人々が犯したのと同じ過ちを避けることが出来る。」*<哲学者>は<哲学>としても良いでしょう。【英文化の要点】おさらいとなりますが、*大意を掴んだ平易な英文をまず作り、今度は日本語の文意に正確に近づけるべく、英語の表現を練っていきます。流れとしては、@和文の修辞をはぎ取り論理的且つ平易な文章に直すA自分の知っている平易な英語にさっとひとまず英訳(これでそこそこの配点は得られる)B和文原文のもつ意味合いに修整、推敲(時間的余裕があれば)となります。*基本は英語の授業中に出て来たような表現、易しい単語、語句などを上手く利用して英語を組み立てる戦略です。 |
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