時間を表す表現 未来D |
||
2022年8月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 時間を表す表現について扱います。時間に関する多様な表現がすぐに脳裏に思い浮かぶまでになると、英語の表現の幅が格段に豊かになると思います。時間の流れの中で生きている我々には、時間に関する様々な表現は寧ろ身に付けるべき必須の表現であるとも言える筈です。現在、過去、未来、期間、特定の時まで、特定の時、timeを使った表現などに分け、解説して行きましょう。膨大な量が有りますので数ヶ月連続しての長丁場となります。未来に纏わる表現の第5回目です。 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/futurehttps://www.merriam-webster.com/dictionary/willhttps://www.merriam-webster.com/dictionary/shallhttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/future-be-going-to-i-am-going-to-workhttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/future-present-continuous-to-talk-about-the-future-i-m-working-tomorrow |
||
参考: to 不定詞を修飾する?副詞節下記の be going to の例文に触れるついでに副詞節 adverb clause (=従節 subordinate caluse)の <to 不定詞修飾用法>についてここで触れておきましょう。She’s going to be a professional dancer when she grows up.彼女は大人になったらプロのダンサーになるつもりです。*明らかな事ですが 時間を表す副詞節 when 以下は is going to be ≒ will be に掛かります。*be going to の意志用法は intend to, be intending to に書き換え可能ですので、これは例えば She intends (or is intending) to be a professional dancer when she grows up. と取り敢えずは機械的に書き換えることが出来ます。*ここに於いて、従節 (=副詞節) は主節の動詞に掛かるとの原則を踏まえれば、文法的には when 以下は intends に掛かることになりますが、元の文章の意味からは when 以下の従節は意味的に<彼女が成長した時に〜になる> 詰まりは to be (to 不定詞)に掛かり、主節動詞の intends には掛かりません。<彼女が成長した時に intend する>訳では無いからです。詰まりこの文章は常識的に意味は通じますが文法的には曖昧性或いは誤謬を含んでいるとの指摘が成立します。*不定詞 to be を明確に修飾したいのであれば、when she grows up の副詞節を in her adulthood などの副詞用法の前置詞句に置き換えて、She intends (or is intending) to be a professional dancer in her adulthood.などと書き換える他はありませんが、 実はこの場合も in her adulthood は intends に掛かると強弁する事は可能です。.即ち、この様な構文のままでは意味の曖昧性を排除できませんが、この事は意味解釈を context 文脈に大きく依存する −修飾語がどの語句に掛かるのかが文法として明示出来ない− との英語表記の弱点の1つであると言う事も出来るでしょう。詰まりは繰り返しになりますが、英語とは修飾表現が文章のどの語句に掛かるのかの構造的曖昧性を抱えた言語なのだ、とクールに再認識するのも賢明です。*実は動詞 intend (この先〜するつもりだ)や want (未来に於いて〜したい)、hope (未来に実現出来るといいなぁ)、plan (〜する計画だ)、aim (〜するのを目指している)、purpose (〜する目的だ)など ー皆直後に to不定詞を取るー は全て一種の未来表現ですので、be going to や will などと同様、それに続く動詞と一体化させた未来表現と見倣し、それ全体に対して when などの副詞節が修飾するのだと考えられなくもありません。動詞とは言っても半分未来を表す法助動詞の性格を持ったものであり、厳密には主動詞 intend などは現時点に於ける希望的心情、意志を表しますが、そこから半分魂が未来に向けて浮上している様な意味合いを持ち、この様に考えると完全に語法的に間違いであるとも強くは言えなくなります。或いは、下記の様に別の文構造(=構文)に書き換えることも可能です。She has an intention that she will be a professional dancer when she grows up.成長した時にはプロのダンサーになると、彼女は意図している。、She hopes that she will be a professional dancer when she grows up.成長した時にはプロのダンサーになると、彼女は希望している。以上の様に書き換えると、she will be a professional dancer when she grows up. が意味的にひとまとまりの関係にあることが明瞭になり、その内容を現時点に於いて intend / hope しているとの構図が明瞭にされます。(最初の文章の that 以下は名詞 intention の同格扱い) |
||
同様に、want を用いた以下の様なありふれた口語表現が存在します:What do you want to be when you grow up?大きくなったなら何になりたい(と今望むの)?*この至って普通に話される文章でも、 when 以下は意味的に to be に掛かり want には掛かりませんね。<あなたが成長した時に望む>訳ではなく、<あなたが成長したときに何になる、と今望む>からです。詰まりは when 以下の副詞節は不定詞 to be を修飾する事実上の副詞句的表現扱いと解釈可能です。*文法的に、幾らかより正確にはWhat do you want to be in your adulthood?What do you want to be in the future when you grow up?(大人時代には/大人になる未来には何になり + たい?)とでも記述できますが相手の子供は怪訝な顔をするでしょうね。2番目の when 以下は名詞 future を修飾する形容詞節扱いになります。*when の前の本来あるべき in the future 或いは at a time の文言が判り切っているので省略されたのだ、と解釈する事も可能ですが、となるとwhen 節は矢張り to be に掛かる事実上の副詞句として機能していることになります。或いは、単純にWhat are you going to be when you grow up?大きく成ったら何になるつもりでいるの? としても意味的にほぼ同値であると同時に解釈に曖昧性を排除できます。未来意志表現動詞である want を be going to に置き換えたまでです。*仮に when you grow up を ピンポイントで want に明確に掛けたいのであればWhat will you want to be when you grow up?or What do you think you will want to be when you grow up?大きく成ったら君は何になりたいと(その時に)思うのだろうか? とでも書くことになりそうです。条件節を利用した同様な例としては、2022年5月25日のコラムで採り上げたものですが、Cambridge dictionary の用例に以下が記載されています。They threatened to kill him unless he did as they asked.= They threatened to kill him if he didn't do as they asked.*因みに unless 節では事実に反する事を述べるいわゆる仮定法は取れません。単純な条件(〜しない限りは、〜ではない限りは)のみを記述する表現です。*これは、<言う通りにしないならお前を脅してやるぞ>、ではなく、<言う通りにしないとこの先(=未来に)殺してやるぞ、と脅した>の意味ですので、条件節以下は厳密には不定詞 to kill に掛かります。*お気付きかと思いますが、「もし言う通りにしないなら殺すぞと彼らは彼を脅した」の日本語表現に於いて、when 以下を自ずと或いは自然に to kill に掛ける表現をしています。上記の、「大きくなったなら何になり + たい」の表現も全く同様です。*文意を前から把握していく native に於いては、まず、they threatened 彼らは脅したんだな、プラス、言う事をきかないと彼を殺す、と脅したんだ、の時系列的理解で進み、if or unless 節の中身が自然とその直前の動詞 (to不定詞) に結び付くものとして理解されるのでしょうね。日本語は全く正反対に後ろから文意を把握しますので、その直線性に於いてがゆえに向きは真逆ですが上手く意味が合致し<素直に>理解出来るのでしょう。これも意味用法的に厳密には、= They threatened him saying that they would kill him unless he did as they asked.= They threatened him saying that they would kill him if he didn't do as they asked.もし言う通りにしないのなら殺すぞと彼らは言いながら彼を脅した。或いは、仮定法ではない単純な条件を表す条件節は when 節で置き換えても意味に大差無いことを思いだして!They threatened to kill him at a time when he didn't do as they asked.と書き換えるも良いでしょう。この場合、when 節は名詞 time に掛かる形容詞節になります。英語には仮定を表現出来る適当な副詞句表現がどうも見当たらず、条件節以下を適当な他の副詞句表現に直すのも困難に見え、when 節を利用した次第です。但し、この文例でも at a time が threatened に掛かると強弁することは出来なくはありません。*無理遣り?書き換えるとすれば、They threatened to kill him in the case of his disobedience to their order.彼らの命令に不服従の場合は殺して遣ると彼らは彼を脅した。とでもなるでしょうか?これまでにも when 節や if 節が その直前の動詞 (動詞 A+ to不定詞 Bの内の 動詞 B) に掛かり主節の動詞 Aに掛からない例を採り上げてきましたが(例えば、https://www.kensvetblog.net/column/202205/20220525/ 塾長のコラム 2022年5月25日 仮定・条件を表す表現B)、これは意味的に B+副詞節 = B+副詞句 が一体構造となり、それ全体に対して動詞 Aが支配を及ぼすと解釈出来ると説明してきました。言わば動詞 Aが法助動詞的色彩を半ば帯びる表現とも言えるでしょう。例えばひょっとするとその内 want が 通常の動詞と法助動詞両者の性格を持つ need などと同様に want not などの用法を確立し法助動詞化することもあり得るかもしれませんね。この様な過程を経て法助動詞が歴史的に生じたのかもしれません。意味を明確にしたいのであれば、主節の動詞 A が後ろに that 節を取れる場合は B+副詞節部分を that 節に押し込み分離させて意味を明確にすることが可能ですが、それが出来ない場合は動詞 A を名詞に変化させてそれの同格としてthat 以下を記述する、at a time 等の文言を挿入して考える、その他の工夫が必要になります。*逆に、意味の取れない副詞節を持つ文章に出会った時は、それが直前の動詞 (to不定詞など)を意味的に修飾する文言かも知れないと判断してみて下さい。*なぁんだ、つべこべ言わずに英語の語順通りに言葉を次々と時系列的にリンクさせながら脳内解釈して行く、或いは頭に思いつくままに英語を喋って繋げていけば、 例えば to 不定詞を使った簡易な表現で意味が十分通じてる(通じさせられる)ぢゃあねぇか、と再認識して戴けたかと思います・・・。informal な英会話表現では大方この発想で足りますし、この手の表現で実際溢れてもいます。但し、1つの文にて明確な1意を述べることが肝要である formal な文中に於いては、曖昧さを避ける観点から相手側にスキを与える様な表現は止めるべきでしょう。これでは契約文書1つ作成出来ません。意味合いを簡潔明快に且つ一意とする為に文章を推敲すべきは当然です。 |
||
ここに至って或る学説を唱える文献を目にしました。Van linden, An. 2010. The rise of the to-infinitive: Evidence from adjectival complementation. English Language and Linguistics 4 (1): 19-51.ですが、to-不定詞は従来、原型不定詞(辞書に載っている動詞の形)に取って変わったとの説が多く提出されて来ましたが、Los, Bettelou. 2005. The rise of the to-infinitive. Oxford: Oxford University Press. Middle English Dictionary: http://ets.umdl.umich.edu/m/med/(Accessed 20 October 2006.).が提唱する、to-不定詞は叙述用法のthat 節から置き換わったものとの考えについて検証し、支持しています。By presenting a clear description of the various s yntactic environments and the expressive devices that compete in them, she has been able to show that the to-infinitive did not replace the bare infinitive, but rather the subjunctive that-clause (Los 2005: ch.2-7). Regarding the to- infinitive complementing adjectives in the mandative construction, we will see that it also took over from the subjunctive that-clause. (Introduction, p.2 より)上に、動詞 Aが、それ以下の動詞 B+修飾句全体を包括するとの私の考えを述べましたが、これは動詞 Aが、<動詞 B+修飾句>を that 節に括って叙述するとの見解に非常に近く、I want to be a doctor when I grow up. もI want that I wil be a doctor when I grow up. (註: 動詞 want にはこの形は取れません)即ち to-不定詞以下を叙述される内容として理解し、それに対して<私は希望する>との表明を行うものと理解すれば when 以下を利用しても間違いとは言えないことがスンナリと理解は可能です。They threatened to kill him unless he did as they asked.の文もThey threatened that they will kill him unless he did as they asked. (註: 動詞 threaten にこの形は取れません)の that 節以下が to不定詞複合体化したものと考えれば理解は容易でしょう。-----------------------------------------塾長は哺乳動物学が専門であり、言語学には一介の素人に過ぎませんが、疑問を探求すれば新たな発見もあるものだと感じています。皆さんも目の前に控える知の大海に船出されては如何でしょうか? |
||