謙譲・丁寧・曖昧表現C |
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2023年3月25日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 modal verbs の過去形 could, would, might を用いて、非直接的な奥ゆかしい表現(謙譲表現)や丁寧な物言いをする用例をこれまでに紹介して来ました。そこで本コラムでは、modal expressions の解説シリーズ中に飛び入りさせますが、この様な謙譲表現、更には曖昧表現、丁寧表現、それと関連表現についてについて纏めて解説して行くことにしましょう。これらは互いに重複するところがあります。 日本語を学習中の外国人から、日本語には敬語表現が有りこれを使える様にしないと日本ではまともに勤務にありつけず苦労すると指摘されます。実際、英語には宗教的表現を除き基本的に敬語はありませんがそれでも丁寧表現は存在します。自分の意図をオブラートを被せてソフトに丁寧に伝える表現であり、自分の伝えたい中身や自己主張を曲げるものではありません。この辺の誤解の無きよう。日本語の敬語表現(尊敬語・謙譲語・丁寧語)との性質の違いを考えて見るのも面白いでしょう。その第4回目です。 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。 https://dictionary.cambridge.org/https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/hedges-justhttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/vague-expressions |
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Vague expressions 曖昧表現とは*vague expressions 曖昧表現は前回までに採りあげた hedge と重複するところがありますが、言質を取られないように意図的に予防線を張るとの狭義のhedge を包含する上位概念とも言えるでしょう。*曖昧な言葉は大変広く−特に口語では良く−用いられます。例えば、about, kind of, sort of, that kind of thingと言った言葉や語句を、その事実をぼかして間接的なものとする為にしばしば追加して利用します。*単に意図的に物言いをボカしたい、のシーンだけではなく、言葉が頭に浮かばない、例示の省略 (その他、などの言葉)、意図的な非礼な表現など様々な目的で利用されます。There were about twenty people at the meeting.その会合には20人ぐらいが居ました。It’s kind of cold in here.ここではそれは風邪みたいなもんだ。Did you see lions and giraffes and that kind of thing when you were in South Africa?南アに居た時はライオンやキリンやその手のものを見たかい?*kind of を会話中に口癖の様に多用する native speaker も散見します。各種の Vague expressions 曖昧表現vague expressions when we don’t know the name of somethingモノの名が分からない時の表現これらには、what do you call it?, what’s it called?,なんて呼ぶんでしたっけ? えぇっとなんだっけねit’s a kind of X, it’s a sort of X, it’s a type of X,それは一種の〜、〜みたいなsomething, thing, stuff:何か、物、ブツなどがあります。A: She’s had to have that test, er, what do you call it? Where you have to go into a type of X-ray machine.B: A CAT scan?彼女はその何といったかな、検査を受けなきゃならなかった。一種のX線機器の中に入らきゃならないところだよ。CAT スキャンのこと?She’s got a small dog, a kind of poodle, or something.彼女は一種のプードルか何かみたいな小さい犬を飼っている。What’s that stuff you use when your lips get dry?唇が乾燥する時に使う物は何だっけ?Where’s the thing for cleaning the window?窓を綺麗にするやつはどこだっけ?*英作文時に固有の名詞が頭に出てこない時に、取り敢えず thing, stuff, something を使用して逃げ切る作戦も取れます。語彙は兎も角、英文構造を知っていると判断され点は取れるでしょう。-----------------------------------------------*とてもぞんざいな口語では、ワチャマコーリト、ワチャマコーリムなどと what do you call it/him/her, etc. を発音しますが、けして書き言葉にしてはいけません。教養と品格を疑われますので会話でも使用は避けるべきです。A: Andrew’s just moved in with whatyamacallhim.B: Barry?アンドリューはなんつう名前だったかの奴と共に引っ越してきたよ。バリーかい? |
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Making things sound less factual物事を事実からボカす*ありのままそのものの言葉ではあまりに直截過ぎる時があります。それで意図的に曖昧表現でオブラートする訳です。*about, kind of, sort of, -ish (suffix), stuff, things などの表現があります。*勿論これらの表現は、モノの名前を忘れて出てこない時にも利用出来ます。There’s sort of something I don’t like about her. (more direct: There’s something I don’t like about her.)彼女については好きになれない無い様なところがある。(There’s something I don’t like about her. とかするとより直截)It’s kind of bright in here. (more direct: It’s too bright in here.)ここの中はちょっと明るいわね。(It’s too bright in here とするとより直截)I can’t meet up later. I have too much stuff to do. (具体的な課題についてボカす)僕はあとで集合できないよ。遣ることが有りすぎるんだ。I forget so many things these days.近頃はとても沢山のことを忘れるよ。数字や量、回数をぼかす*事実をオブラートで包む為に特に数字や量、回数の前に曖昧表現を使います。I’ll see you at about 8 tomorrow morning for breakfast. Is that okay? (more direct: I’ll see you at 8 tomorrow morning for breakfast.)朝食の為に明日の朝8時頃に会おう。それでいいかい?(I’ll see you at 8 tomorrow morning for breakfast とするとより直截)We expect to take in or around two years to complete the project. (more direct: We expect to take two years and four months tocomplete the project.)その事業計画を遂行する為に2年前後掛かると思うよ。(We expect to take two years and four months to complete the project.とするとより直截)We’re meeting Veronica at four-ish. (more direct: We’re meeting Veronica at four.)ベロニカに4時ぐらいに合う予定だよ。(We’re meeting Veronica at four. だとより直截)We’ve been living here for more or less five years. (more direct: We’ve been living here for five years and three months.)僕らはここに5年ぐらい住んで居ます。(We’ve been living here for five years and three months. とするとより直截)(つづく) |
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