英文長文読解 短期集中 個別指導 

否定を表す表現3  beyond   free from  修辞疑問文   

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2024年11月20日






否定構文3



2024年11月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 前回シリーズの前半にて、否定表現を交えた比較構文について説明を加えました。これは特に我々日本人には直感的に意味が掴めないものとなります。西欧語同士は互いに類似した言い回しがあるため、理解に困難は無い筈ですが、日本語にはその様な発想法が無く、何度説明をされ、一端は分かったものの、暫くするとまた混乱してしまう方が多いのではと思います。今回からは、それの一種の延長戦上にある表現として、否定構文の内でも難解な二重否定構文を採りあげて行きます。まぁ、否定語+than を、than を否定語に変えて、否定語+否定語にしたものと似ています。

 殆どが定型的な慣用表現でもあり、また日本語でも、〜無い訳では無い、吝(やぶさか)かでは無い、憎からず思う、などの二重否定表現があり、否定+than の場合よりは、幾らか理解すること自体は容易ではと思います。但し、和訳するに際し好適な訳語を当てるには、文脈を把握することが必要となりますのでなかなか大変です。 その場でまごつかないように、斯かる言い回しには斯かる訳語(の候補)を当てる、と、その定型的な複数候補−要は書き換え公式と呼称しても良いもの−を含めて前もって知っておくことは、比較表現などと同様、非常に大きな強みになります。難解な比較表限と否定表現をきっちり押さえておくと、英語の読解力が確実に数段上に上がる訳です。皆さんには塾長のコラムを通じて是非ともそれらを頭に input  して戴ければと思います。

 当然乍らストレートに物言いすべきところを、ひねて婉曲に告げる表現ですので、学術論文などには皆無の表現ですね。特に難解な<凝り固まった>表現は古典的な文学作品にも頻出し、一頃の大学入試では、この様な持って回った様な英文を和訳せよとの出題が見られ、受験生泣かせでした。この種の出題は、古典的文芸教材を元に古い教育を受けた文系上がりの英語教官が半ば趣味的に出題したものと私は考えて居ます。これが入試に対応せざるを得ない高校での英語教育を歪め、何年英語を勉強 study しても英語が身に付く learn することが出来ない元凶の一つであったろうと考えます。なんとなれば、難解なハズルの様な英文を<解読>させることと、意思疎通の為の正しく明確な英語表現力−自己主張力−を育てる事とは次元が大きく異なるからです。難解な英文を提示する事で自らの地位の保全を図るようなところが、旧来の英語指導者の多く−優れた指導者は勿論存在しましたが−に見られた様には感じています。幸いな事に斯かる古い世代の遣り方は駆逐され、事態は改善されつつあり、近年の入試にはその様な<パズル問題>はだいぶ少なくなって来ていると感じますね。

 これらの表現について過去に断片的に触れたものも纏め一通り触れて行きましょう。このシリーズの第3回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、難解なもの−同格構文、挿入構文、共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に順次触れて行く積もりです。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/double-negatives-and-usage

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/negation_2

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/fail


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第7章 否定構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。






Beautiful  minds  are  free from fear: Robert Grant at TEDxOrangeCoast

TEDx  Talks  2013/10/16 https://youtu.be/1XDpa2HLXV0

Robert E.  Grant  is sharing what makes beautiful mind: any moment free

from fear is  an  opportunity to taste immortality and new possibilities.


ロバート・E・グラントは、美しい心を作るものを分かち合っている。恐怖から

解放されている瞬間は、不滅と新たな可能性を味わう機会となるのだ。


毎度の如くですが、ヒアリングの練習にご利用下さい。





否定語を用いない否定構文1




*否定語を用いる以外に、いろいろな形で否定の意味を表わす文があります。これらの文は形式上は否定文ではありませんが、否定的に和訳すると意味がスンナリ取れる場合が多いです。




前置詞の利用


beyond

 〜を超越している、〜の及ばない

*more than S+V〜に置換出来ます。

*beyond +抽象概念の組み合わせで利用されます。


What he did is beyond my understanding.

= What he did is more than I can understand

彼のしたことは私の理解を(越えている)。

→彼のしたことを理解できない。


What Jock had done was beyond my  comprehension.

 ヨックがしたことは私の理解を超えていた。


Sweden is lovely in summer - cold beyond belief in  winter.

 スウェーデンは夏は素敵だが、冬は想像を絶するほど寒い。


Business computing has changed beyond recognition.

 ビジネスコンピューティングは見違えるほど変わった。


beyond description

= very unusual, impressive, terrible, or extreme.

[emphasis]

 筆舌に尽くしがたいほどに

*良くない事を強調する表現です。ご注意下さい。


His face is weary beyond description.

 彼の顔は筆舌に尽くしがたいほど疲れている。


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above

〜を超越している、〜の及ばない

*beyond が+抽象概念の組み合わせで利用されるのに対し、above は具体的な個々の事象について用いられます。


She is above telling a lie.

= She never tells a lie.

 彼女は嘘をつくような次元を超越している

→彼女は決して嘘をつくような人ではない


He is above deceiving his friends.

 彼は友を欺きなどしない。

= He never deceives his friends.


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free from

 〜がない。免れている

The plan is free from danger.

 その計画には全く危険がない。


His composition is free from mistakes, while  hers  is  far  from satisfactory.

 彼の作文には誤りはないが、一方、彼女のはとても満足とはいえない。


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far (enough) from

 全く〜ない、それどころか


She is far from (being) satisfied with the result.

 彼女はその結果には全く満足していない。(大いに不満だ)


His stoty is far from true.

 彼の語りは真実からはほど遠い。(=大嘘だ)


No young man ever thinks he shall die. He may  believe  that  others will, or assent to the doctrine that "All men are immortal" as an abstratidea,  but he is far enough from bringing it home to himself  individually.

 自分が死ぬと考える若者は一人もいない。他人が死ぬと信じたり、「すべての人は不滅である」という教義を抽象的な考えとして受け入れることはあっても、自分自身のものと真剣に考える者はない。


cf. bring something home to

= to make someone fully aware of how serious  or  important  something such as a problem, danger, or situation is

 問題、危険、状況などがどれほど深刻で重要なものであるかを、十分に認識させる


This new TV advert really brings home to people  how  badly  some children are treated.

 この新しいテレビ広告は、一部の子供たちがいかにひどい扱いを受けているかを人々に知らしめるものだ。






What  is a Rhetorical Question (Examples):

What  are  the Different Types of Rhetorical Questions?

Twinkl  Teaches  KS2   2021/08/02 https://youtu.be/dvM6fUxd38I

https://www.twinkl.co.uk/l/17r4d6


rhetorical  questions  修辞疑問文とは通常の疑問文が相手からの解答を得るもの

であるのに対し、自己完結的で相手からの内容を伴う返事は原則不必要です。

全て自らの主張を強化し、相手を説得する為の修辞となります。


hypophora は疑問を提示し、相手が 短く yes, no をいわざるを得ない疑問形であり、

相手の返答を持って質問内容を強化するものです。例:どう?私のわんちゃん可愛いでしょう?

erotesis はこれに似ており、更に質問内容を相手に印象づけ、説得、強化するもの

です。例:環境問題が大切なのはご存知ですか?

epiplexis は聴き手に嫌な感情を引き起こすもので、別の方途があることを伝えます。

例: お前そんなことをして恥ずかしくないのか?

ratiocinatio は聴き手にどう感じるのかを尋ね、話題に引き込むものです。

例:私は一日中ご飯を食べてるけど過食症かしら?


質問と逆の事(反語)を主張する用法は、erotesis の一派生の様に見えます。


弁舌の立つ人士、或いは詐欺師、営業マンとは、この様な<引き込み+説得法>

を自ずと体得している人のことを言うのでしょうね。





完了形不定詞の利用


*intended, hoped, wanted, expected + 完了形の不定詞 (to + have +過去分詞) で、〜するつもりであった(ができなかった)、の意味となります。


I intended to have finished my work sooner.

 私はもっと早く仕事を完成するつもりだった(のにしなかった)。

= I intended to finish my work sooner, but couldn't.


I hoped to have succeeded this time.

 私は今度は成功するつもりであったのだが(成功しなかった)。



*ought to, should, might + 完了形の不定詞で、 実行しなかった過去のことに対する非難や反省、悔やみの気持ちを表わします。


You ought to have been more careful.

君はもっと注意すべきだったのに。

= It's a pity that you were not careful.


You might have let us know beforehand.

前もってお知らせ下さってもよかったでしょうに。





反語(修辞疑問)の利用


*単なる疑問文なのか反語なのかは文脈 context で判断します。


What is the use of demanding an explanation  from  them?

 彼らに説明を求めて何の役に立つだろうか (いや何の役にも立ちはしない)

→彼らに説明を求めても無駄だ

=It is no use/ good demanding an explanation  from  them.


What's the use of talking?

 話したところで何になる?

→話すだけ無駄だ。

= It's no use talking.


Who knows what will become of the world?

 この世界がどうなるかなんて誰が知っていようか (いや誰も知らない)。

= No one knows what will become of the world.


How can I ever thank you?

 どうしたらあなたに感謝の気持ちを表せるだろう(いやできない)。

→お礼の申し上げようもありません

=I don’t know how to thank you.

=I cannot thank you enough.


Who will believe such an absurd rumor?

 誰がそんな馬鹿げた噂を信じるだろうか(いや誰も信じない)。


Can I ever forget her kindness?

 彼女の親切を忘れることができようか(いやできない)。

= I can never forget her kindness.


Does it matter?

それは重要だろうか(いや重要ではない) 。

→そんなことかまうもんか。


Who is there but commits errors?

 間違いをしないような人はいるであろうか、いやいない。

=There is no one that does not commit errors.)


What need was there for him to go out at that  time?

 そのときに彼が外出するようなどんな必要があったのか。(いやそんな必要はなかった)

=There was no need for him to go out at that time.)