否定構文9 |
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2024年12月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 前回シリーズの前半にて、否定表現を交えた比較構文について説明を加えました。これは特に我々日本人には直感的に意味が掴めないものとなります。西欧語同士は互いに類似した言い回しがあるため、理解に困難は無い筈ですが、日本語にはその様な発想法が無く、何度説明をされ、一端は分かったものの、暫くするとまた混乱してしまう方が多いのではと思います。今回からは、それの一種の延長戦上にある表現として、否定構文の内でも難解な二重否定構文を採りあげて行きます。まぁ、否定語+than を、than を否定語に変えて、否定語+否定語にしたものと似ています。 殆どが定型的な慣用表現でもあり、また日本語でも、〜無い訳では無い、吝(やぶさか)かでは無い、憎からず思う、などの二重否定表現があり、否定+than の場合よりは、幾らか理解すること自体は容易ではと思います。但し、和訳するに際し好適な訳語を当てるには、文脈を把握することが必要となりますのでなかなか大変です。 その場でまごつかないように、斯かる言い回しには斯かる訳語(の候補)を当てる、と、その定型的な複数候補−要は書き換え公式と呼称しても良いもの−を含めて前もって知っておくことは、比較表現などと同様、非常に大きな強みになります。難解な比較表限と否定表現をきっちり押さえておくと、英語の読解力が確実に数段上に上がる訳です。皆さんには塾長のコラムを通じて是非ともそれらを頭に input して戴ければと思います。 当然乍らストレートに物言いすべきところを、ひねて婉曲に告げる表現ですので、学術論文などには皆無の表現ですね。特に難解な<凝り固まった>表現は古典的な文学作品にも頻出し、一頃の大学入試では、この様な持って回った様な英文を和訳せよとの出題が見られ、受験生泣かせでした。この種の出題は、古典的文芸教材を元に古い教育を受けた文系上がりの英語教官が半ば趣味的に出題したものと私は考えて居ます。これが入試に対応せざるを得ない高校での英語教育を歪め、何年英語を勉強 study しても英語が身に付く learn することが出来ない元凶の一つであったろうと考えます。なんとなれば、難解なハズルの様な英文を<解読>させることと、意思疎通の為の正しく明確な英語表現力−自己主張力−を育てる事とは次元が大きく異なるからです。難解な英文を提示する事で自らの地位の保全を図るようなところが、旧来の英語指導者の多く−優れた指導者は勿論存在しましたが−に見られた様には感じています。幸いな事に斯かる古い世代の遣り方は駆逐され、事態は改善されつつあり、近年の入試にはその様な<パズル問題>はだいぶ少なくなって来ていると感じますね。 これらの表現について過去に断片的に述べたものも纏め一通り触れて行きましょう。このシリーズの第9回目、最終回となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、やや難解なもの−同格構文、挿入構文、共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に順次触れて行く積もりです。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。 https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/double-negatives-and-usagehttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/negation_2https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/in-no-wayhttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/sense?q=in+no+sense『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第7章 否定構文ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。 |
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その他の否定表現4−部分否定2*以下4つの表現は意味的にはほぼ同じです。not altogether引っくるめて〜だと言う訳では無いWe were not altogether sure that the comet would miss the Earth.私たちはその彗星が地球を外れることに完全に確信があったわけではない。I'm not altogether happy about the decision.私はその決定に完全に満足しているわけではない。It is not altogether surprising.それは完全に驚くべきものということではない。The experience was not altogether unpleasant.その経験は完全に不快だったわけではない。----------------------------------------not entirely丸ごと〜だと言う訳では無いThe project was not entirely successful.そのプロジェクトは完全に成功したわけではない。I'm not entirely sure about the details.私は詳細について完全には確信がない。The solution is not entirely satisfactory.その解決策は完全には満足のいくものではない。His explanation was not entirely convincing.彼の説明は完全に納得のいくものではなかった。The movie was not entirely what I expected.その映画は私が期待していたものと完全に一致するわけではなかった。She was not entirely honest about her past.彼女は自分の過去について完全に正直だったわけではない。I'm not entirely comfortable with the idea.私はその考えに完全に納得しているわけではない。His actions were not entirely without merit.彼の行動が全く価値がないというわけではない。----------------------------------------not completely完全に〜だと言う訳では無いThe project was not completely finished by the deadline.プロジェクトは期限までに完全には終わっていなかった。I'm not completely satisfied with the results.私は結果に完全には満足していない。The problem is not completely solved yet.その問題はまだ完全には解決されていない。She was not completely honest about her past.彼女は自分の過去について完全に正直だったわけではない。I'm not completely sure about the details of the plan.私はその計画の詳細について完全には確信がない。The movie was not completely what I expected.その映画は私が期待していたものと完全に一致するわけではなかった----------------------------------------not wholly丸ごとに〜だと言う訳では無いThe statement is not wholly true.その陳述は完全に真実というわけではない。The project was not wholly successful.そのプロジェクトは完全には成功しなかった。I'm not wholly convinced by his argument.私は彼の議論に完全には納得していない。The solution is not wholly satisfactory.その解決策は完全に満足のいくものではない。The results were not wholly unexpected.結果は完全に予想外というわけではなかった。She was not wholly honest about her intentions.彼女は自分の意図について完全に正直だったわけではない。The new policy is not wholly different from the old one.新しい方針は古い方針と完全に異なるわけではない。 |
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not quite完全に〜だと言う訳では無い、あまり〜ではない= not completely*日本人には馴染みがないかもしれませんが、日常的に頻用される語です。The answer is not quite correct.その答えは完全に正しいわけではない。I'm not quite ready to leave yet.私はまだ完全には出発の準備ができていない。The movie was not quite what I expected.その映画は私が期待していたものとは少し違っていた。She's not quite old enough to drive.彼女はまだ運転できる年齢には達していない。I'm not quite sure how to solve this problem.私はこの問題をどう解決すべきか、完全にはわかっていない。The room is not quite big enough for all of us.その部屋は私たち全員には少し狭すぎる。The project is not quite finished yet.そのプロジェクトはまだ完全には終わっていない。I don't quite understand what you mean.あなたの言っていることがあまり理解できない。He's not quite as tall as his brother.彼は完全に兄と同じ身長だと言う訳では無い。→(正確な訳) 彼の背は兄より幾らか低い。cf. He's not as tall as his brother.= He's not so tall as his brother.彼は兄ほどの背ではない。= His brother is taller than he.注意:not as.. as. で、等しいことを not を用いて数学的に単に否定する表現では無く、劣っていることを示す慣用表現です。*語源的に as = so ですので、not...as...as の表現が間違いだとも言い切れません。----------------------------------------not absolutely絶対に〜だと言う訳では無いI'm not absolutely sure about the details.私は詳細について完全には確信を持っていない。The solution is not absolutely necessary.その解決策は絶対に必要というわけではない。The evidence is not absolutely conclusive.その証拠は完全に決定的ではない。She was not absolutely honest about her intentions.彼女は自分の意図について完全に正直だったわけではない。The movie was not absolutely terrible, but it wasn't great either.その映画は完全にひどかったわけではないが、素晴らしいというわけでもなかった。The weather forecast is not absolutely reliable.天気予報は完全に信頼できるわけではない。The project is not absolutely finished yet.そのプロジェクトはまだ完全には終わっていない。----------------------------------------not exactlyキッカリ〜だと言う訳では無い、正確には〜ではないThe movie was not exactly what I expected.その映画は私が期待していたものとは幾らか違っていた。He's not exactly poor, but he's not rich either.彼は正確には貧乏ではないが、金持ちでもない。I'm not exactly sure how to solve this problem.この問題をどう解決すべきか、正確にはわからない。She's not exactly a beginner, but she's not an expert either.彼女は正確には初心者ではないが、専門家でもない。The explanation was not exactly clear.その説明は正確には明確ではなかった。The color is not exactly what I wanted.その色は私が望んでいたものと正しくは違う。He's not exactly tall, but he's not short either.彼は背が正に高いわけではないが、低いわけでもない。 |
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否定表現についての解説は今回で終わります。前シリーズの比較表現と今シリーズの否定表現の2つに習熟すると、我々日本人は格段に読解力を高める事が出来ると思います。実際のところ大きな双子の山であると塾長自身も感じますね。<まごつかない><瞬時の>読解力を是非手中に修めて下さい!さて次は何のテーマにしましょうか・・・。 |
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