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強調構文9 |
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2025年3月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 今回シリーズからは強調構文について解説していきます。以前に一度軽く解説しましたが今回からは復習がてらじっくりと濃厚に進めて行きます。 話し手或いは書き手が文中のある語句の持つ意味を強めて叙述したいシーンは極めて日常的に見られる事なのですが、それを文法用語では強調 (=強勢 Emhasis )と呼称します。実際に言葉が話されている場は、tone (語気)、intonation イントネーション、gesture ジェスチャー、或いは顔の表情などで強調を表すことが出来ますが、書き言葉に於いてはそれが能わず、代わりに、@語句を反復する、A他の語句を添える、B語句の配列順序を変更する(倒置)、C特殊な構文を用いる、D特殊な疑問文(修辞疑問)を用いる、などで強調を表すことになります。実のところ、これまでに触れて来た各種の構文とは大きく異なり、これらの方式からどの文言が強調されているのかはほぼ確実に把握し得、そこに曖昧性は存在しません。逆に曖昧性があれば、特定文言を明確に強調し得ない事にもなってしまいますのでこれは頷けることだと思います。まぁ、理解は至極ラクでしょうね。読み手側が文脈から文章の意味を汲み取ったりする必要性はありませんし、解釈に迷ったりする事も無い訳です。強調表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、各種英語構文の内、−やや難解な倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く予定です。本シリーズの第9回目になります。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/cleft-sentences-it-was-in-june-we-got-marriedhttps://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdfhttps://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/この2つのサイトの記述を主に参考にさせて戴いています。 |
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強調構文9*本シリーズの第3回目にて、良く見られる <very + 形容詞の他の語への言い換え表現>について扱いました。*ここでは、付け足しとして、この様な言い換えについての文法事項を確認していきます。*また、ついでに!比較可能な形容詞、詰まりは比較級、最上級の取れる形容詞と、それが取れない形容詞について何が違うのか、どの様な文法、語法上の制約があるのか、についても引き続き触れていきましょう。極限形容詞使用に際しての注意点https://intrepidenglish.co.uk/wp-content/uploads/2024/03/Extreme-adjectives-Cheat-Sheet.pdfhttps://intrepidenglish.co.uk/podcasts/extreme-adjectives-and-how-to-use-them/以下、この2つのサイトの記述を参考にさせて戴きます。極限形容詞使用に際しての注意点*極限形容詞を使う時に覚えておくべきことは主に3つあります。1.極限形容詞をある特定の事物、事象を記述する際には、比較級や最上級として使ったり、程度を表す very, slightly などと共に使うことは出来ません。*上にも触れましたが、これは絶対形容詞についても同じです。そもそも<絶対>ゆえ、比較級など取り得ないわけです。This cake is very tasty. はThis cake is delicious. と言い換えることはできますが、×This cake is very delicious. とは言えません。I am very tired. This is the most tired I've ever been.I am exhausted. This is the most tired I've ever been.私は疲れ果てている。でも、今までで一番疲れた。×I am more exhausted than ever. (これは口語では許される表現です)*しかし極限形容詞と言えども、2つの異なる事物、事象を比較する際には、特に口語表現に於いては比較級、最上級は取り得ます。*これは論理からするとおかしい様に見えますが、普通に許され利用される用法ともなりつつあります。*後にご紹介する、上野義和氏の論考をご参照下さい。I am more exhausted today than yesterday. This is the most tired I've ever been.私は昨日より今日の方が疲れ果てている。今までで一番疲れた。*昨日も最高度に疲れ果てていたが、今日の最高度の疲れかたの方が昨日よりもっと上だ、の意味です。2.Only use the modifiers absolutely, utterly, really or pretty.*極限形容詞を強調する際には、absolutely (絶対に)、utterly (全く)、really (本当に)、pretty (かなり、これは informal)という修飾語だけが使えます。*fairly、extremely、very などの他の修飾語は使えません。*上にも触れましたが、絶対形容詞の方は、absolutely, completely, t otally, really, pretty を一緒に使うことが出来ます。◯The house is utterly filthy.×The house is very filthy.3.多くの一般的な形容詞は、複数の極限形容詞を持つ事が出来ますが、使用に当たってはそれを使う文脈に合っていることを確認する必要があります*まぁ、ニュアンスがズレていないかどうか注意する必要があるわけです。This building is huge.This building is massive.この建物は巨大だ。(2つはほぼ全く同じニュアンスです)I saw some ancient artefacts in the museum.私は博物館で古代(ずっと昔)の工芸品を見た。My neighbour is ancient, rather old.私の隣人は只の年寄りどころではありません。(同じ ancient でもちょっとふざけた様な大げさなもの言いになります)The shipwrecked sailors couldn’t find any food on the island and were starving.難破した船員たちは島で食べ物を見つけることができず、飢え死にしそうだった。I haven’t had breakfast. I am starving.私は朝食を食べていないんです。とても空腹です。(同じ starving でも大げさなもの言いになります。)*塾長としてはそのままvery hungry と言いますね。*以下同じ very sad でもニュアンスに合わせて適切な極限形容詞を当てる必要があります。His girlfriend just left him. He's very sad.彼のガールフレンド(=恋人)は彼の元を去ったばかりだ。彼はとても悲しんでいる。→ He's heartbroken/ devastated (= sadness + shock, surprize)彼の心は折れている/ガックリ来ている。(= 悲しみ + ショック、驚き)Sara looked very sad. She had been so confident she would win the competition, but then she came fifth.サラはとても悲しそうだった。彼女は大会で優勝する自信があったのに、5位になってしまった。→ She looked disappointed/ dejected.彼女は落胆しているように見えた。We were very sad to hear the fire destroyed their family home.火事で彼らの実家が全焼したと聞いてとても悲しかった。→ We were devastated to hear the fire destroyed their family home.私たちは火事で彼らの実家が全焼したと聞いて打ちのめされた。 |
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極限/絶対形容詞の比較での利用*以下、異なる2つのものを比較する際に極限/絶対形容詞が普通に使用される現象について上野義和氏が考察を加えています。*極限、絶対とは言っても、自然科学に於ける<最高>とは異なり、その時点に於ける主観としての<最高>ゆえ、別の時間や場に於いての状況は互いに比較可能となる、との考察ですが、塾長も氏の考察に同意します。*下線部は塾長がマーキングした箇所であり、原文に下線はありません。https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/80985/joufs_64_349.pdfOsaka University Knowledge Archive : OUKAhttps://ir.library.osaka-u.ac.jp/Osaka University英語の相補的反義語について 上野義和 大阪外国語大学学報. 1984, 64, p. 349-356https://hdl.handle.net/11094/80985以下 p.352-352からの引用:「perfect’は「不完全なところが全くない,完全な」の意味をもち,論理的には,例えば,‘complete’,‘unique’, ‘utter’などと同じく,それだけで一種の最上級に相当する語と見なされる8).ということは‘perfect’には段階的概念が入りこむ余地がない.ということにつながるが,現実には(28) His dance was more perfect than hers(was perfect>.のような文がしばしば現れる.いかに純粋主義者が反対を唱えようとも,上述の用法は普通一般に用いられているものである9)ことは否定できない.この現象を,論理の世界と現実の用法とのくい違い10),として片づけてしまうことは安易にすぎはしないか.又,この用法を‘illogical’とよぶのは自由だが,はたしてホ当に非論理的なのだろうか.まず,非論理的と考える根拠は,‘perfect’を比較級にすることは非段階的な‘perfect’に段階性を認めねばならないことになるから,ということではないか.もしそうならば,それは確かに非論理的である.しかし,(28)における‘hers was perfect’の‘perfect’は,本来の‘free from any imperfection’ではない.むしろ,「彼の踊りの方がより完壁」というからには,「彼女の踊りは完壁さでは劣っている」と考えられる.完壁さが劣るということは,完盤さが足りないということと等価であり,それはつまり「不完全」を意味している.このように考えることがむしろ論理的なのではないか。(28)には次のような脈絡をつけ加えることができる,「彼女が踊った時,その踊りが完壁だと思えた.しかし,彼が踊った時,その踊りが彼女の踊りよりまさっていると思えた.」この時点で彼女の踊りはもはや完壁とは判断されなくなっている.‘perfect’であるかないかの判定基準に「ゆれ」が生じている.その判定には話者の「主観」が関与しているのである.その逆の場合,即ち判定基準が「容観的」である場合,例えば1+1に対する答えのようにそれが唯一無二である蒔には,‘perfect’は比較の対象を欠く故,比較級や最上級の形をとることはありえない。再び(28)に戻る。‘perfect’が‘imperfect’であることは前述した通りだが,実は‘more perfect’自体も実質は‘imperfect’ではないか.まさに比較級という形そのものがそのことを証明している.ただ,比較級の場合は原級にくらべてその分だけ不完全さが少なく,従ってそれだけ完全であること」に近いといえる.‘most perfect’となって初めて「不完全さが殆どない」という意味を表わしうる11.判断の基準が主観に左右されると,‘perfect’は‘imperfect’の意味を帯びて活動し始める.反義の関係にある二語は常にお互いの存在を意識し,一方だけが表而に現れてもその背後にその片劇れが分身として存在する.」 |
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