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倒置構文3 |
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2025年4月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 今回シリーズからは倒置構文について解説していきます。これまで各所で折に触れ解説してきましたが、それの集大成版となります。倒置とは疑問文を作る際にも見られることですが、要は、平叙文の中の特定語句、或いはそれに含まれていた様態語句(いわゆる助動詞)を文の先頭に持ってくる構文形式です。前回で触れた様に、強調の為に強調すべき語句を文頭に持って来る例が殆どであり−今回シリーズは前回とだいぶオーバーラップしますね−、それに伴い、それ以下の語句が固有の配列の変化を来します。定型的な法則に従いこれらの倒置現象が起きますので、否定の比較構文の解釈などと異なり、理解は至極ラクでしょうね。逆に、出会った文章が、どうも通常の文の配列としては理解出来ない構造であれば、ははぁ〜ん、倒置が隠されていると判断し、落ち着いて<元の>語順に戻して解釈すればそれで足ります。倒置表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。この先の予定としては、省略構文に触れて行く予定ですが、それで一通りの構文解説のシリーズを終える事になりますね。今回は倒置構文の第3回目となります。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/inversion『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第5章 倒置構文ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。http://www.tetsureki.com/home/library/shiryoukan/hinkyuu.html農民の悲哀〜貧窮問答歌https://ja.wikipedia.org/wiki/袋小路文https://en.wikipedia.org/wiki/Garden-path_sentencehttps://www.gutenberg.org/files/421/old/files/relative.htmKIDNAPPED By Robert Louis Stevenson全文が掲載されています。軽い読み物として如何でしょうか?https://ja.wikipedia.org/wiki/岩田一男https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Louis_Stevensonhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ガリレオ・ガリレイ |
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倒置構文3*文の普通の語順 (Word Order) を変えることを倒置 (Inversion) と言いますが、これは広義の言葉であり、例えば、ある語句を文頭に持って来ることに注目すれば、それは fronting 前置 と呼びます。*ここでは疑問文の倒置形式については扱いません。*これら以外の構文としての倒置は、@強調の為のもの、A慣用によるものとに大別出来ます。*形式を覚えて仕舞えばそれで済みます。*否定構文の様に意味の解釈に戸惑わされることも無く、或る意味形式論で終わりますので単純明快です。*覚えればそれで終わります。以下これらを順を追ってざっと解説して行きましょう。1.強調のための倒置構文3*強調による倒置とは自分が感じた驚き、興味、ショックなどを相手に伝えるために行う表現、詰まりは感情表現です。*感情表現であると言っても、口語では通常用いられず、全て書き言葉、しかも文語的表現になります。*従って、皆様が物書きになる場合以外は、ご自身の作文にこの様な表現を用いる事は一生無縁なはずです。*前回の強調構文のシリーズにて倒置法に拠る強調表現について触れましたが、ここでもう一度纏めて解説します。*強調の為の倒置には、副詞語句、補語、目的語が文頭に来る場合の3通りがあります。*文頭に置かれた強調語句の直後に、(必要に応じて)助動詞 (have, has, had, do, does, did )を置き、次いで S+V 或 いは V+S の配列を取ります。*V が be 動詞の場合、否定語+be 動詞+ S の形になることも多いです。be 動詞が助動詞のように扱われることになります。*文意が取れない場合は、落ち着いて元の文型に戻せば問題は解決出来る筈です。*文を構成する語句要素が長い場合は、適宜括弧で括ると理解が格段に容易になる場合が大半です。*和訳時には、強調された語句成文に適宜強意の語を添えると完璧ですね。3.目的語が文頭にある場合*目的語 O が強調のため文頭に置かれると、O+(必要に応じ助動詞 have; do, be)+ S+Vの語順となります。*目的語も名詞ですので、本当の主語(これも名詞)との区別をすることがキモになります。*元の文に戻す際に、動詞が複数個ある場合には、その目的語がいずれの動詞の目的語であるのか正しく見抜く必要があります。*これが分かり難い英文は、正直悪文の類いと見做して良いでしょう。-------------------------------------参考: 袋小路文とは*余談になりますが、倒置されて無くとも、どの動詞がどの目的語を取るのか、修飾語句は何をターゲットにし、またどの範囲までに掛かるのか、これの判断に惑う曖昧性を持つ英文の悪文の類いはごまんとあります。*いずれも1文が長い英文ですが、逆に考えれば、英語とは、長い文章にすると途端に破綻する性質の、<未熟或いは退化的>言語である事が分かります。*文を構成する要素間の結合・支配関係が不明になってしまうわけです。*これは語句動詞間の対応関係を付ける格や性を消失しているからです。*この時点で英語は、気安く使える言語化すると引き替えに、厳密な記述の取れない言語へと変容したことになります。*これらは袋小路文などと呼称される類い(いわゆる世間で言う袋小路文は、まぁ、意味の全く掴めない無茶苦茶な文を指します)に於いては、まだしもまともな表記上の問題なのですが、日本語の文章でもこの手の文は幾らでも目にします。*いずれの言語に於いても、意味を常に明確にしようと務めない限り、袋小路文に仕上がるのが実情であり、それに対して如何に第三者的な視点から校訂を掛けるか否かで、<文は人なり>が成立します。*この英語の言語としての欠点を理解せずに、1文に何でも詰め込んで長々書くのが知性を示すことになると勘違いする者が初心者、或いは残念ながら日本で発行される某有名英字新聞の執筆者などにはしばしば見受けられます。*長文化すると破綻するとの英語の弱点を踏まえた上で、意味のブレの無い短めの、適切な長さの英文を複数個記述して、それの集合体(=段落)として言いたい事を伝える事が肝要です。*1つの文に何でも押し込んで伝えたいことを完成させる必要はありませんし、その考え方はそもそも時代遅れ且つ間違っています。*山上憶良の「貧窮問答歌」にも使われている長歌形式も後には廃れましたが、<ズラズラいつまでも述べてないで、キマリを付けろや、オラ>、となったのかも知れません・・・。*人間が明確に思考し得る1文の長さには限界があるという事でしょう。*ワンクッション置かないと内容が咀嚼(脳内処理)出来ません。*人間の脳とは所詮その程度のものなわけです。---------------------------------------a. 名詞(句)を文頭に置く場合The next two hours he spent thinking over the lecture.次の二時間を彼は講議のことを考えながら過ごした。→He spent the next two hours thinking ....Not a single word did he say.たった一言も彼はいわなかった。→He said not a single word, or He did not say a single word.That plan he was quite unable to carry out.その計画を彼は実行することが全くできなかった。→ He was quite unable to carry out that plan.(ここの quite = completely )Afternoon tea you can hardly call a meal, but it is a sociable sort of thing.午後のお茶を食事とはほとんど呼べない。それは一種の社交の時間である.→ You can hardly call afternoon tea a meal, but ....(SVOCの文のOを前に出しています)Every living thing that I have created I will destroy from the earth's surface.私が創造した生きとし生けるものを地球上から抹殺してしまおう。→I will destroy [from the earth's surface] every living thing that I have created.(will は未来や推量では無く本人の意思を表します)-------------------------------------参考: 文(=節)を名詞化する方法*名詞節とは通常の文(節と言う)を名詞化したものです。*名詞節の作り方ですが、平叙文 <S+V> → <that S+V> とするだけです,*平叙文 <S+V>→ <S's + Ving>, <for S to V> としても名詞化は出来ますが、名詞節扱いにはなりません。単なる動名詞句、並びに to 不定詞の名詞用法になります。*wh, how で始まる疑問文の場合は、これら疑問詞以下を平叙文の順序に戻すと名詞節化出来ます。Are you happy ? (疑問文)あなたは幸せかどうかどうか(と言う事)の意味の名詞節化→I wonder if you are happy.*if +S+V で、〜かどうかの意味の名詞節を作る事が出来ますが、wonder if の様な定型的な組み合わせ表現を除き、出来るだけ whether を使うことが望まれます。*これは仮定の if 節 (もし〜ならば)のとの混同を避けるためにも推奨されます。Which season does he like best ? (疑問文)彼はどの季節が一番好きであるか(と言う事)の意味の名詞化→I wonder which season he likes best.*いずれも名詞節化した時点で完全に1個の名詞としての扱いが可能です。*文末に文言 <〜と言う事>、を付けると名詞である事を明確にし得ます。*但し、名詞扱い出来るとは言うものの、that-clause の前に付けられる前置詞は次の3つに限定され、いかもそれぞれ固有の意味を持ちます。* in that = because, except that, but that = unless の意味になります。------------------------------------- |
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b. 名詞節を文頭に置く場合-------------------------------------What has become of him no one can tell.彼はどうなってしまったか誰にもわからない。→ No one can tell what has become of him.How he had arrived at this conclusion it is hard to say. (T. Dreiser)どのように彼がこの結論にたどりついたのか、いうのはむずかしい。→ It is hard to say how he had arrived at this conclusion.Now, whether my uncle thought the crash to be the sound of my fall, or whether he heard in it God's voice denouncing murder,I will leave you to guess. (R.L. Stevenson)さて、叔父がこの音を私が倒れた音だと思ったのか、それとも殺人を糾弾する神の声を聞いたのか、 皆さんのご想像にお任せします。 (R.L.スティーブンソン)→I will leave you to guess whether my uncle thought the crash to be the sound of my fall, or whether he heard in it God's voice denouncing murder.*leave someone to do, leave someone doing = 一人で〜させておく、自由に〜させる、〜したいようにさせる (放任するとのニュアンスです)*上記英文は 『誘拐されて』 Kidnapped, 1886年 の一節から。この作品は 『ジキル博士とハイド氏』 と同年の刊行作です。*https://www.gutenberg.org/files/421/old/files/relative.htm ここに全文が掲載されています。*英文学者の岩田一男先生(塾長も高校時代には多くの著作を買い求めました)はスティーブンソン研究の第一人者でしたが、横浜高等女学校で同僚だった中島敦が、スティーブンソンが結核療養のために南洋諸島を遍歴したのと同様に、喘息療養のために南洋に出たのは影響を受けたと言うことなのでしょう。Galileo carried on the construction of telescopes, all the time improving their quality and enlarging their powef until he built one that magnified thirty times. What the diameter of the object glass was we do not know, perhaps two inches or possibly a little more. Glass of a quality good enough to make a telescope of cannot have been abundant or even obtainable except with great difficulty in those early days.(東北学院大)ガリレオは望遠鏡の製作を続け、30倍に拡大する望遠鏡を完成させるまで、その品質と威力を向上させ続けた。対象物であるガラスの直径がどのくらいであったかはわからないが、おそらく2インチか、あるいはそれ以上であったろう。望遠鏡を作るのに十分な品質のガラスは、当時は豊富にあったはずもなく、非常に苦労して手に入れたはずである。→We do not know what the diameter of the object glass was... |
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