英文長文読解 短期集中 個別指導 

省略構文1  Textual ellipsis  構文としての省略1   

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2025年5月1日






省略構文1



2025年5月1日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回シリーズからは省略構文について解説していきます。これまで各所で折に触れ解説してきましたが、それの集大成版、纏めとなります。日本語でもそうですが、前言に出て来た単語や語句をそのまま繰り返すと文章がくどくなってしまいます。判り切っている文言は省略すると、文章の風通しが良くなり、また文字数も減らすことが出来て省スペース化出来ますね。これにも様式、型があり、<このような表現では文言を省略して良い>とのある程度のワクがありますので、それを押さえておくと、何が省略されているのかを正しく把握することが出来ますし、また自分が英作する際にも役立てることが出来ます。まぁ、構文理解と言うよりは、表現の問題として理解するのが正しい様にも思います。省略表現に関して一通り説明して行きますので、頭にインプットしておくと、確実な、大きな力となります。省略構文の第1回目となります。次回シリーズの分詞構文の解説を持ち、いわゆる学校英語にて扱う一通りの特殊構文は終わりになります。

英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/ellipsis


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第6章 省略構文

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。


http://englishdaily626.com/comprehension.php?134

J.B. Priestley の夢についてのエッセー全文が掲載されています。

*このサイトに、長文が471題とその設問が掲載されています。すぐさま、入試〜大学教養課程用の教材にも利用出来そうですね。

*習熟度に合わせて、適宜プロからの指導を受けると良いでしょう。


https://en.wikipedia.org/wiki/J._B._Priestley






Ellipsis - How  to  Avoid Repetition (Advanced English Lesson)

Grammar  Simple with Lliam  2023/07/09

https://youtu.be/d71B6e26YRo


ellipsis 省略について極く簡略に語られます。formal な場で利用出来る

<構文上の省略>と、ぞんざいな会話中に利用出来る<状況が許す省略>

の区別をしていないのが残念に感じましたが、他のellipsis 関連の動画も

中身は似たり寄ったりです。

聴き取り易い英語ですのでヒアリングの練習にもなるでしょう。





省略構文1




*慣用に基づいて、或いは文の前後関係からそれとわかるため、文法規則に従えば通常文中で使われるはずのある種の語句や文言を省くことがあります。

*これを省略 (ellipsis) と言いますが、表現が短く簡潔になり、理解が容易になりますし、また文意が強調もされます。

*判り切った語句や表現を繰り返し述べる冗長の愚を避ける手法です。

*日本語のように、その場の文脈を汲み取り主語などを多く省くまでの域には英語は達していませんが、意味が通ずることをわざわざ重ねない気心は共通です。

*或る程度の様式の元に語句を省きますので、これを覚えると逆に何が略されているのかを正しく把握、復元出来ます。


*formal な場でも利用出来る省略 (Textual  ellipsis 文章構成上の、構文上の省略) と、informal な、ぞんざいな口語で利用される省略 (Situational  ellipsis 状況的省略)表現に大別出来ますが、2者の境界線は明確であるとは言い切れません。


*この順番で以下ざっと解説して行きましょう。




Textual  ellipsis  構文としての省略1




*或る語句を省略しても、周囲の文章によってその文のすべてが容易に理解できる場合、構文表現としての省略を用います。

*書き言葉中に利用されるものですが、口語表現としても利用出来るものがあります。

*相手からの誤解を避けるために、省略どころか敢えて冗長と感じられる表記を取る場合も十分にあり得ます。


*しばしば目にするのですが、省略に拠り文の意味が不鮮明になる場合、その省略は不適切であると言えます。

*詰まりは一般的な教養有る読み手に解釈に戸惑わせる様な省略が行われた場合、その文は悪文だと考えて良いことになります。

*意味の明確性は落とさずに語数を減らして簡潔にするのが省略の本来のあり方ゆえ、読み手を惑わして解釈に時間を掛けさせてしまうようでは失格な訳です。


*この手のすんなりと意味の取れない悪文(一種の袋小路文)を和訳せよなどと宣う学参、或いはその類いの大学入試問題が、残念ながら以前には良く見られました。

*英文読解は頭を悩ませるパズル解きであってはならず、指導者側は学習効果の高い英文を採用すべく常に務める必要があります。




1.単純に反復を避けるための省略


*同じような構造の文が2つ (以上) 連続して用いられる場合、後ろの重複している語句を省略します。

*同一語句の言い換えとして、that や代名詞や one, so などを利用する事も多いですが、これは<省略>では無く、短い文言への<言い換え>になります。


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a. 主語、動詞、名詞の省略


*主語の省略

*等位接続詞 and, but, or で結ばれた次の節で同一主語が省略されます。


We went for a walk and [we] took some lovely  photographs.

 散歩に出かけ、素敵な写真を撮った。


I can remember his face but [I] can’t remember  his  name.

 彼の顔は覚えているけど、名前は思い出せない。


Do you want to stay in or [do you want to]  go  out  tonight?

今夜は家にいる?それとも出かける?


She sang and [she] played the violin at the same  time.

 彼女は歌うと同時にバイオリンを弾きました。



He wrote to and [he] phoned everyone he could  think  of  who  might  help (him).

 彼は助けてくれそうな人全員に手紙を書き電話を掛けた。

cf. everyone [that] (he could  think  of)  who  might  help  him 

   (関係代名詞の二重限定用法です)

= He wrote letters and made phone calls to  everyone  who  he  thought might help (him).

cf. who (he thought) might  help him.

     (括弧内は挿入句と考えて下さい)



*主語+be 動詞の省略

To some life is pleasure, to others suffering.

 人生が楽しみである人もいれは、苦しみである人もいる。(→others [life is] …)



*名詞の省略

I do not read a book for the sake of reading, but  for  my  own.

 私は本を読むために読むのではなくて、自分自身のために読むのです。(→for my own [sake].)


I have a sweater just like Kate's [sweater].

 私もケイトと同じセーターを持っているわ。



*動詞の省略

He knew nothing of shopkeeping, and his wife  very  little.

 彼は小売り商売のことは何も知らなかったし、彼の妻も殆ど知らなかった。

→He knew nothing of shopkeeping, and his wife  [knew]  very  little  [of shopkeeping].


A politician thinks of the next election; a  statesman  of  the  next  generation.

 政治屋は次の選挙のことを考え、政治家は次の世代のことを考える.

→ 〜 a statesman [thinks]...)


The room in which he treated his patients  became  his  laboratory,  the  couch his only piece of equipment, and the ramblings of his patients hisscientific data. (C.S. Hall)

 患者を治療する部屋が彼の実験室となり、長椅子が彼の唯一の器具となり、患者の戯言が彼の科学的データとなった。(C.S.ホール)

→the couch his [became] only piece of equipment,...


We bring into the world with us different gifts: one  has  received  gold, another granite, a third marble、most of us wood or clay. Our task is tofashion these substances.

 私たちはこの世にさまざまな贈り物を持ってくる: ある人は金を、ある人は花崗岩を、ある人は大理石を、ほとんどの人は木か粘土を受けて。私たちの仕事は、これらの物質をファッション化することである。

→ another [has received] granite...






Ellipsis: How  to Omit Words and Speak English Naturally

English with Jennifer  2020/07/03

https://youtu.be/4clDYkIcOUI


こちらのジェニファーさんの動画も口語メインのざっとした内容の説明ですね。



Summary and analysis of On Doing Nothing by J B Priestley

English literature  2024/06/16 https://youtu.be/y1YfK8MXuXE


最上位大学の英文ほどの難易度はありませんが、初見で

全ての単語に覚えが有りそのままヒアリングして95%程度理解出来れば

世間で言う難関大は軽く突破は出来るでしょう。省略構文の項とは無関係

ですが、J B Priestley 繋りでこの動画を載せました。ご参考までに。





b.法助動詞の後ろの動詞の省略


*この省略は極く普通に見られ日常的に頻用されます。

*法助動詞 modal verbs については以下をご覧下さい。

 https://www.kensvetblog.net/column/202211/20221120/


I'm not worried about it.

Well, you shoud be [worried about it].

*be 動詞は省略出来ません。


If you can't watch the gate, someone else should  [watch  it].

 もし君が門を見張れないのなら、だれかほかの人が見張らねばならない。


I don't finish the report yet, but I will [finish it]

 私はまだレポートを仕上げていないが、必ず仕上げるつもりだ。


He didn't help, but he could have {helped}

*have は省略出来ません。


A:Have more coffee.

 A: コーヒーをもっと飲みなさい。

B: I’d better not [have more coffee]. I won’t be  able  to  sleep  later.

 B: コーヒーのおかわりはマズくないかい?後で眠れなくなるから。



  Work, moreover, with and not against  Nature. Do  not  row  against  the stream if you can help it; but if you must, you must. Do not then  shrink  from it; but Nature will generally work  for  us  if  we  will  only  let  her. (L. Avebury)


 自然に逆らわず、自然とともに働け。できることなら、流れに逆らって漕いではならない; でももしそうしなければならないなら、そうするのみである。それに尻込みしてはいけない; しかし、自然は普通は私たちのために働いてくれる。我々が只そうさせておけばだが。


→ if you must [row against the stream], you must [row  against  the stream]. (SVのVを省略)

→ if we will only let her [work for us]  (広義の SVOCの C相当の動詞を省略)


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c. 疑問文の返答、他人の見解に対する同意、不同意に於ける省略


Is he really 18? Yes, he is [18].


Do you think this winter will be severe?

Yes, I think so. [= this winter will be severe]

*こちらは省略では無く短い文言を用いての言い換えになります。


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d. 比較 than, as の後の部分の省略


*比較すると言う事は、基本的に似ている要素があるが故に比較可能なわけで、違い過ぎるものは<比較にならない>わけです。

*詰まりは違っている部分は残して似ている要素を省略することになりますね。

*前回コラムにても述べましたが、that 及び as の後ろでは省略に加え、倒置もしばしば同時に起きます。


The influence of watching television for a long time  is  not  so bad as you think it is [bad].

 長時間TVを見る影響はあなたが考えるほど悪いものでは無い。

not so...as = not as...as 〜ほど〜ではない


It is not so cold here in Tokyo as in Niigata where  it  snows  very much.

 東京は雪の多い新潟ほど寒くはない。(→as [it is cold]…)


That question was more difficult than expected.

 その問題は予想していたよりむずかしかった。(→than  [had  been]...)

*この than は関係代名詞として機能しています。

*native は関係代名詞などと意識せずにこの表現を日常的に頻用します。


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*以下、一言一句を蔑ろにせず和訳してみて下さい。

  Now and again I have had horrible dreams,  but  not  enough  of  them to make me lose my delight in dreams. To begin with, I like the idea of      dreaming, of going to bed and lying still and  then,  by  some  queer magic, wandering into another kind of existence. As a child I could never    understand why grownups took dreaming so  calmly  when  they  could make such a fuss about any holiday. This still puzzles me. I am mystified  by  people who say they never dream and  appear  to  have  no  interest  in the subject. It is much more astonishing than if they said they never  went  out for a walk.  (J.B. Priestley)


 恐ろしい夢は時々見るが、夢への喜びを失うほどではない。そもそも私は夢を見るという発想が好きなのだ。ベッドに入り、じっと横になっていると、奇妙な魔法によって別の存在に迷い込んでしまう。子供の頃、大人たちはどんな休日でも大騒ぎすると言うのに、なぜ夢見ることを冷静に受け止めるのか理解できなかった。これは今でも私を困惑させる。夢を見ないという人、その話題に興味がないように見える人が不思議だ。散歩に出かけたこともないと言うより、ずっと驚きだ。 (J.B.プリーストリー)


→but [I have had] not enough of them (= horrible  dreams)  to  make me lose

→It is much more astonishing than it is  astonishing  if  they  said ...

*the idea of dreaming of (going, lying, and  wandering)    of  以下は dreaming の同格と考えますが、文が長いので独立させて訳します。

cf. when = though 〜であると言うのに


*文学的な修辞に拘らずに平易な英語で記述すれば同じ意味内容が表現出来ます。

*これが英作課題の極意ですね。


→書き換えの例

  I have horrible dreams from time to time,  but  not  so  much  so  that I  lose my pleasure in dreaming. I like the idea of dreaming in the first  place; I go to bed and lie still, lost in another  existence  by  some  strange  magic. As a child, I never understood why adults were quite cool  with  the  idea  of dreaming when they would  make  a  big  deal  out  of  any  vacation. This still amazes me to this day. I am curious about  people  who say  they  do not dream and  seem  uninterested  in  the  subject. I  was  much more surprised than if they had never gone out fora   walk.


→ I was much more surprised than  [I  was  surprised]  if  they  had  never gone out for a walk.

*so  much  so  that  ここの so much は so that 〜する程までに、そう言う訳で、の強めです。

  not so much so that で、〜と言う程ではない、の意味になります。

*(being)lost in another  existence


*文学の香気が失せて凡庸な記述になりました!!

*自分なりに別文に書き換える訓練をしておくと、文学者になれるかはさておいて、作文力は着実に身に付きますので試して下さい!


*上記 passage はもJ.B. Priestley のエッセイ集 Delight の71番目に掲載の Dreams からの一節ですが、以下から Delight の全文が無料で入手出来ます。

https://archive.org/stream/in.ernet.dli.2015.30334/2015.30334.Delight-1949_djvu.txt

*Dreams は、現在でも高校程度の英語の演習問題として各国で利用されている模様です。


*J・B・プリーストリー(ジョン・ボイントン・プリーストリーOM、 John  Boynton  Priestley,  OM, 1894年9月13日 - 1984年8月14日)は、イングランドの著作家、劇作家、司会者。


註: 『失われた時を求めて 』  A la recherche du temps perdu, の著者 Marcel Proust マルセル・プルーストと混同しないで下さい!