英文長文読解 短期集中 個別指導 

KVC Tokyo  英語塾

                               


































































































































































































































































































































































































塾長のコラム 2020年1月20日  入試英文を添削するC







入試英文を添削するC



2020年1月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 普段一般的な英語の文章を多読している塾長からすると、大学入試の英語文に触れてギョッとなることがそこそこあります。入試英文も一つの英語の文章として、公平な観点から見てみようとのコラムの第4回目です。

 以下、過去問とはなりますが具体例を挙げながら入試英文を<添削>して参りましょう。最終的には改訂した英文を掲載しますが、そこに至る塾長の考え方、迷い?など思考のプロセスをご覧ください。他ではちょっと見られない企画だろうと思います。


以下参考辞書サイト:


https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/









However, I feel that the teacher's role is  more  fundamental  than the critic's. It comes down ultimately, I think, to the  fact  that his first obligation is  to the truth  of t he  subject he is teaching, and that for the reading of  literature ever to  become  a  habit and a pleasure, it must first be a  discipline.

(慶応大)


 やや堅い内容の会話風の文章でしょうか。一見遠慮がちな様でいながら力強く述べる気持もあるとの文章であり、ゴテゴテしたところも有りますが知性と香気の感じられる文章です。全く問題無く、塾長がギョッとなる箇所はありません。意味が取りにくい箇所は適宜動詞を脳内追加(名詞を動詞化)しながら読み下すしかありません。この辺の力量を問う点に於いて、この入試英文は文章それ自体は別として良く出来た問題と感じます。


 カッコで文章の構成要素を適宜括れば、

However, I feel that the teacher's role  is  more  fundamental than the critic's. It comes down ultimately, I think, to the  fact  {  (that his  first obligation  is to the  truth  of the  subject he is teaching), and  (that for the reading of  literature  ever to  become a habit and a pleasure, it must  first  be  a   discipline).}


 となります。構文的には難易度は高くはありません。クールな視線でさっさかカッコで括ると良いでしょう。


 省略や倒置無しでさっと書き換えて粗訳すれば、

However, I feel that the teacher's  role  is  more  fundamental than the critic's role.

 しかしながら、教師の役目は批評家の役目よりはもっと根本的なところがあると感じます。


I think it comes down  ultimately to  the  fact

 〜と言う事実にまで究極的に落ちると思います(詰まるところ〜と思います)


that his first obligation is to the truth  of  the  subject  he is teaching,

 最初の義務は自分が教える教科の真実に向けてのものであり


and that it must first be a discipline  for  the  reading  of literature ever to become a habit and a pleasure.

 文章を読むことがしかと習慣となり喜びとなること、それこそが最初の躾けであるべきです。



 カッコで括ることが出来たなら、次は文章を読み下しながら字面通りにこの様な粗訳まで頭の中でさっと組み立てます。こなれた日本語まで持って行くのは最後で結構です。主張の対句表現、全体の文意を捉えた上で語句そのものにとらわれずに自然な日本語を当てます。上の程度の粗訳まで行ければ良い配点を貰えるかもしれません。ここまで数分で到達出来れば軽く合格も出来そうです。


 「しかしながら、私は教師の役割は批評家のそれよりはもっと根本的なものを抱えていると感じています。役割は詰まるところ次の様な事実に帰結すると思うのです。教師の第一の義務は自分が教える教科を正しく教えることであり、文章を読むことがいずれ習慣となり喜びとなるように最初に生徒達にしつけるとの役割です。」

 これで満点でしょう。


come down to noun (名詞)

obligation to noun

discipline for someone to do

 と、用法は異なりますが動詞や名詞のあとにto を頻用しています。to は〜への方向性、未来性を示す品詞であり、<〜しむける>や<自ずとそうなる>の気持を添えます。最初の come down to noun の表現は、述べる側に「言うなれば」との自然にそうなる、詰まり、婉曲なモノの言い方の気持が含まれていることが判ります。これは I feel, I think と自分の感じたこと、考えですよと重ねて言葉を加えていることからもうかがえます。まぁ、だから控えめ風な体裁を取る文章になっている訳ですね。教師らしい?責任を上手く回避して逃げの手を打ちながら意見を述べる物言いの仕方が良く出ているとも感じますが如何でしょうか?


come down to sth/ do

〜に帰結する、結局〜になる、落着する、責任が回ってくる

It came down to a single choice between to  be  or  not  to  be.

 最後は生か死かのどちらかを選ばなければならなくなった。

With my father's death, it has come down  to  me  to  support  my brothers.

 父が亡くなったので弟達を養う責任が私にまわってきた。


obligation to  sth

〜に対する義務

I have no legal obligation to  that  child.

 私はあの子どもに対して何の法的責任もない。

= I have no  legal obligation  to raise that  child.

 あの子を育てる法的な義務はない。


obligation is to the truth

→義務は真実に向けてのものです、では日本語として意味が不明ですので動詞を補って理解します。真実を「守る」 「教える」「沿う」義務がある、と考えれば良いでしょう。義務とはもともと履行されるべきものですから基本は「遂行する」ですが、文脈に合わせそれの派生語を考え当てはめます。教科に関する義務ですから、〜の真実に沿って教える義務がある、としてもよいでしょう。

have an obligation to  teach  the truth 

真実を教える義務がある、嘘を教えてはならない

must teach the truth


cf. obligation to do 〜する義務がある

We have a legal obligation to  pay our taxes.

 私たちには税金を払う法的義務がある。


cf. be obliged to do 〜するのを余儀なくされる、せざるをえなくなる

We felt obliged to obey his orders. 彼の命令に従わなければならないと思った。


be obliged to someone for 〜のことで感謝致します (丁寧な表現)

I'm deeply obliged to you for your kindness. ご親切のほど深く感謝いたします.



最後の

for the reading of literature ever to become a  habit  and  a  pleasure

 これは

reading of literature surely becomes a habit and a pleasure

 文章を読むことがしっかりと習慣となり喜びとなる、の意味を、名詞句化したもので、to 不定詞の主語を for 以下で添える形式です。ever は強めの意味、<しかと>と捉えると良いでしょう。ここでは、first 真っ先に、に強めの意味が込められていますので省略しても良いと思います。


It was my great pleasure for him to have passed  the  entrance examination.

 彼が入試に受かったのが私の大きな喜びでした。

= For him to have passed the entrance  examination  was  my  great pleasure.

= I was very pleased to know that he (had)  passed  the  entrance examination.

 これは He passed the entrance examination. 全体を名詞にして It で受けたものですが、for + 意味上の主語 + to不定詞の形に分解しています


 <for 〜to不定詞>は意味的には、〜が〜すること(名詞用法)、〜が〜するべき(形容詞、限定用法)、〜が〜する様に(副詞用法)、の3つの意味を持ち得ますが、ここでは<for 〜to不定詞>= discipline ですので最初の用法である名詞用法としました。to不定詞は本来的に〜する方向にある、の意味を含みますので、読書することが楽しい習慣となる様に躾ける、と、名詞である  discipline を<躾をする>との動詞と見なし、動詞を修飾する目的の意味の不定詞風に訳しても寧ろ日本語としてはしっくり来るでしょう。<品詞変換の術>との塩梅です。しかし文法的には名詞である discipline に対し、to不定詞は副詞的な修飾はできません。名詞の言い換え、同格としての用法、或いは、This   is the  apple for me  to  eat これは僕が食べるリンゴ、の様な用法に限られます。


 the fact that のthat 節に文章を押し込んでいる関係から更にその内部でthat 節を利用するのを避ける為に<for 〜to不定詞>構文にしたのだろうと思います。


単独であれば、


It must first be a discipline that the reading  of  literature  should  ever become a habit   and a pleasure.

 文章を読むことがしっかりと習慣となり喜びとなること、それを最初の躾けとすべきです。

 とし得たでしょう。



literature

文献、文学、文章、書物

 the reading of literature は、本を読むこと、としました。<文学を読むこと>を躾ける、ではちぐはぐです。文学を読む、とは躾けられて本を読む段階を超えての行為ですので。ここでは躾けの語が登場しますので、小学生相手の教育の話と考えます。因みに学術論文の最後に必ず添えられる Literature Cited  は論文本文内に引用された文献のリストのことです。






M


Student  Vs. Teacher (2019) 2019/03/20 Prince Ea

Parent  Teacher  Conference GETS REAL in 2019. The battle  of  students

vs teachers  is  centuries old. Find out how this one ends. Video  done  in

collaboration  with  the Sharjah Government Media Bureau  of  UAE.

https://youtu.be/H4xH8sw0Eh8


勉学の教授と生徒の創造性を延ばす事の背反、これらを巡る教師と生徒との何百年にも亘る

争い、これが現在を取り巻く環境の中で浮かび上がります。アラブ首長国連邦の協力で作成さ

れています。易しい英語ですので大方聴き取れるのではと思いますが如何でしょうか?


将来の創造性を延ばすためにはその土台となる知識の積み重ねが必須ですが、生徒に

上手いモチベーションを与えるのが優れた教師でもあるでしょうね。






書き換えの要点


*遠慮がちでいる様で強い主張を行う二律背反的な口幅ったい文章を、明確な主張をより堂々と述べるものとします。まぁ、平易な文章にする訳です。

*yet は複数の意味を持ちますが、会話文では  however  は大仰ですので yet を採用します。

*the fact that の中身が2つ続いて重いので、中身を一続きの文にします。

*<dicipline 鍛錬、躾けの名詞>と、<for to 名詞句、この中にも名詞が多用される>を is で繋ぐ硬い表現を、動詞を用いて平易に書き換えます。

*become a habit and a pleasure を別の表現にします。


以上から、

Rewriteその@:

Yet I think the teacher's role is more  fundamental  than  the critic's.  It comes down eventually to the fact that he must  teach the truth of his subject and thus  train  first  children to get used to reading books with pleasure.


 「それでも教師の役割は批評家に比べるともっと深いものがあると思うんですよね。煎じ詰めれば、教師は教科を正しく教えねばなりませんし、斯くして子供達が楽しく読書する習慣を持つ様にまず最初に躾けねばなりません。」


 批評家は個人の思想で思うところを述べて良いが教師はそうはいかない、本を批評的に読むのではく、まず読書するそのものの楽しみを子供達に習慣づけねばならない、教師はもっと深いことを考えているのですよ、と言う話ですね。


train someone to do

〜するように教え込む; 鍛える.

It is important to train  children to obey.

 言うことを聞くように子供たちを教育することが大切です。


get used to〜に慣れる



It comes down eventually to the fact that

 この表現が回りくどくて大仰ですので、スッキリした表現に換えます。


RewriteそのA:

Yet I think the teacher's role is  more  fundamental  than the critic's. In other words, he has primarily an obligation to  teach  the truth of his subject and train  first  children  to form the habit of reading books with pleasure as well.

 「それでも、教師は批評家と比べるとより根本的な役割を持っていると思うんです。換言すれば、教師は第一に、教科を正しく教えねばならない義務がありますし、子供達が楽しく読書する習慣を身に付ける様に最初に躾けねばならない義務もあります。」


 修辞上の鎧を削ぎ落とし裸にさせたら簡潔明快な英文になりました!意味内容的には最初の英文とほぼ同じです。


cf.

form (get, acquire, contract, pick up) the habit of

〜の習慣がつく