仮定・条件を表す表現I |
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2022年7月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで時間に関連する表現として、「現在」と「過去」について触れて来ました。「未来」を表す表現も今後扱う予定ですが、その前に、他の時間関連表現についてお話しましょう。今シリーズでは、もしも〜ならば、〜するだろう、もしもあの時からだったなら〜しただろう、の、広義の未来、過去未来表現、即ち仮定、条件を表す一連の表現について解説を加えて行きます。時制表現の面から混乱と戸惑いをお感じの方々も多いのではと推測しますが、基本的概念を押さえておけば自信を持って対処出来る様になる筈です。その第10回目ですが、引き続き<各論>の解説を行います。 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/conditionalshttps://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/conditionals-other-expressions-unless-should-as-long-as |
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wish仮定表現用法としての wish*wish に続く that 節内で動詞を使う時は、現在または未来の事に対しては仮定法過去形を、過去の事に対しては仮定法過去完了形を使います。仮定法現在形は用いませんのでご注意下さい。*この意味用法では I wish に続く文中では助動詞 would は用いません。*そうであれば良い、良かったのにと悔やむ気持を表します。*まぁ、wish + that 節の表現では、仮定法過去、仮定法過去完了専用の動詞と考えて下さい。*It would be better if + 過去形, 或いはIt would have been better if + 過去完了形、で書き換え可能です。It would be good if we had a bigger car.もしもっと大きい車を持って居るなら良いのになぁ。(持って居ないことの残念な気持)= I wish we had a bigger car.= It's (highly or extremely) regretful that I don't have a big car.= I'm regretful of not having a big car.It would be good if I knew how to use this DVD player.このDVD プレーヤーの使い方を知っているならいいんだけど。(使い方を知らないことへの残念な気持)= I wish I knew how to use this DVD player.I wish I had known Charlie was coming. I would have invited Jane. (I didn’t know it and did not invite Jane.)チャーリーが来ると知っていれば良かったのだが。ジェーンを招待したろうに。= It would have been better if I had known Charlie was coming.I wish I hadn’t said that. I can see I’ve upset you. Sorry. (I did say it; it would have been better if I had not said it.)それを言わなければ良かったよ。君を怒らせてしまったのが判るよ。ごめん。------------------------------------------wish + would*:現在の起きている/起きていない、未来の起こるだろう/起こらないだろうことに、悩んでいることを表す用法です。*困っていることが改善して欲しいとの表現です。まぁ、苦情を言う表現ですね。*上の、〜であれば良い、良かったの気持を表す用法では wish 以下に would は用いませんが、苦情表現の場合は would を使う事にご注意下さい。して呉れるといいんだけどねぇI wish you’d stop making so much noise! (You are making a noise; it would be better if you didn’t.)そんなに大きな騒音を出すのを止めてくれるといいのだがねぇ。!I wish you wouldn’t come through the kitchen with your dirty boots on. (You do come through the kitchen; it would be better if you didn’t.)汚い長靴を履いたままで台所を通過しないでくれませんか?*informal な状況では wish を現在分詞形で利用出来ます。He’s embarrassing everyone. I’m just wishing he would go away!彼は皆を困らせている。只もう失せてくれないかと思うよ。*注意未来に起きて欲しいこと、過去に起きて欲しかったことを<素直に>表現する場合には、wish ではなく hope を用います。*hope を使う場合は、仮定法は利用せず未来のことは未来形、現在の事は現在形、過去の事は過去形で述べます。*口語では未来への希望を表す場合に、that 節以下を現在形で表現するのが一般的です。◯ I hope the weather will be fine tomorrow.◯ I hope the weather’s fine tomorrow.× I wish the weather’s fine tomorrow.明日天気が良いといいね。◯ I hope they didn’t miss their flight.×I wish they didn’t miss their flight.彼らが飛行機を逃さなかったことを望むよ。→彼らが飛行機に乗れていたらいいね。(過去に対する単純な希望表現、彼らが実際に飛行に乗れていたかどうかは不明) |
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wish非仮定表現用法としての wish(HOPE)祝福、願望の wish です。*この意味用法では [ 他動詞 + two objects ] 即ち SVOO の文型を取ります。to hope or express hope for another person's success or happiness or pleasure on a particular occasion:何か特別の機会に他の者の成功、幸福や喜びを希望する、或いは希望の気持を表しますWe wish you a merry Christmas and a happy new year.楽しいクリスマスと幸ある新年をあなたにお祈り致します。(定番のクリスマスソングの歌詞)We wish you every success in the future.我々は未来に於けるあなたの全ての成功をお祈り致します。→あなたがこの先全てのことに成功される様お祈り致します。I wished her a safe journey and waved her off.私は彼女の安全な旅行を願いつつ彼女にさよならと手を振った。*A and B は、A と B 同時に、A の後で B の2つの解釈が可能ですが、ここでは前者でしょう。------------------------------------------参考: 動詞+to 不定詞から構成される文章の否定文以下の文の意味を考えて下さい:I didn't even see her to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her.彼女の幸せな誕生日を祈る為に私は彼女に会おうとすらしなかった。→彼女の幸せな誕生日を願おうと私は彼女に会うことすらしなかった。→私は彼女に会って誕生日を祝ってあげようともしなかった。*常識として考えると意味的には<to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her.>は <I didn't even see her>に掛かりません。もしそうだとすれば、彼女の誕生日を祝福する為に、私は彼女に会いもしなかった、との明らかに首を捻る文意になります。*<to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her.>は< I saw her>に掛かりますが、see her to wish を一体と考えて <彼女に会って祝う>と前から訳すと良いでしょう。これは come and see her (come to see her 彼女に会う為に来る、の口語表現) を、彼女に会いに来る、と一体として訳すのに幾らか似ています。*I saw her to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her.彼女の幸せな誕生日を祈る為に私は彼女に会った。この文を否定文にして*I din't see her to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her.を、彼女の幸せな誕生日を祈る為に私は彼女に会わなかった、と自動的に訳してしまうと日本語としておかしくなります。*<Bする為にAする>の英語の否定文は、<Bする為にAしない>と和訳するのでは無く、<AしてBしようとしない>と訳すのがどうやらコツの様です。*動詞+to 不定詞の文は、肯定文であっても、〜する為に〜する、と訳すのでは無く、〜して〜しようとする、と和訳するのが一番にも思えます。これで目的の意志を十分に表現出来ます。*実は I din't see her to wish her a happy birthday/wish a happy birthday to her. は、私は彼女の幸せな誕生日を祈る為に私は彼女に会ったのではない(別の理由で会った)とも解釈できなくもありません。→ I did see her not for wishing her a happy birthday/wish a happy birthday to her, but for another reason. とでも書き換えられそうです。*<動詞 + to 不定詞の固まり全体>の意味を not で否定する、との構造ですが、ここにも英語の表現型の曖昧性を見ます。文法的には複数の意味に解釈出来る訳です。*前後の意味合い context でその文章の意味を把握してくれなどと求める言語は、元々完成度の低い未分化な幼稚な言語、或いは言葉同士の厳密な対応関係、縛りの崩れた結果の言語と言えます。英語、特に日常に利用される表現にはその傾向は確かに存在すると感じます。native であれば一意に理解出来る慣用用法がありますが、 non native には多義に取れ迷う表現が多々あると長年英語に接してきた塾長は感じます。使われる単語から易しい英語だろうと分かっても non native には意味が掴めないわけです。特に否定表現には non native が煙に巻かれてしまう表現は多いですね。字義通りに解釈しても意味が不明で、受験参考書の<なんとかの公式>で一応分かった気持ちになるが喉元過ぎればすぐに忘れてしまう、などの毎度の悲喜劇?が繰り返されます。*これは実際日本語にも当てはまり、個々の文章が不完全で何を言っているのか意味が曖昧であっても前後の関係から言いたいことが浮上するとのシーンは日常的に頻発します。文意を明確にして語ろうとの強い意識が無ければたちまち言葉は曖昧化してしまうことが分かります。明確性の質の低い文が十把一絡げの挙げ句やっと言う事が伝えられることになりますが、個々の文を−口語であれ書き言葉であれ−出来るだけ簡潔明確なものとする意識が大切でしょう。*自分が不吉な存在、関わった他人を不幸にする悪魔体質?の人間なので、私は彼女の幸せを考えて彼女に会わなかった、との解釈も文法的には成立します。そうならば、In order to wish her a happy birthday, I decided not to see her.I decided not to see her so as to wish her a happy birthday.彼女の幸せな誕生日を願うために、私は彼女に会わないことにした。或いはI didn't dare to see her as/ because I wished her a happy birthday.彼女の幸せな誕生日を願いたかったので私は敢えて彼女に会わなかった。などど明確に記述することも出来ます。 |
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