時間を表す表現 未来B |
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2022年7月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 時間を表す表現について扱います。時間に関する多様な表現がすぐに脳裏に思い浮かぶまでになると、英語の表現の幅が格段に豊かになると思います。時間の流れの中で生きている我々には、時間に関する様々な表現は寧ろ身に付けるべき必須の表現であるとも言える筈です。現在、過去、未来、期間、特定の時まで、特定の時、timeを使った表現などに分け、解説して行きましょう。膨大な量が有りますので数ヶ月連続しての長丁場となります。未来に纏わる表現の第3回目です。 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/futurehttps://www.merriam-webster.com/dictionary/willhttps://www.merriam-webster.com/dictionary/shallhttp://india-biz.blog.jp/archives/6054342.htmlヒンディー語【26課】未来形http://india-biz.blog.jp/archives/6054349.htmlヒンディー語【27課】不確定な未来形https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-68/ことば研究館古典文法では過去や完了の助動詞がたくさんあるのに,現代語ではなぜひとつしかないのですか2019.03.19 福沢将樹https://ja.wikipedia.org/wiki/助動詞_(国文法) |
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参考: ヒンディー語の未来表現 ー 比較助動詞学的視点のすすめヒンディー語はインド・ヨーロッバ語族の一員であり祖語サンスクリット語からの派生語ですが、動詞の語幹に対して助動詞に相当する言葉を添えて未来形 (〜します、〜する予定です) と不確定未来形 (〜するかもしれない) を表現します。前者は動詞の語幹に ega, enge, egi, engi (各々男女単数、複数)を添えますが、後者は e, e, en, en を添えます。語順は主語+目的語+動詞の配列です。(http://india-biz.blog.jp/archives/6054342.html ヒンディー語【26課】未来形; http://india-biz.blog.jp/archives/6054349.html ヒンディー語【27課】不確定な未来形 参照)英語の様に will, shall などの法助動詞に多義性を持たせるのでは無く、各種の個々の意味用法ごとに助動詞相当表現が1つずつ定まっていて意味が一意で明確性が高い言語である様にも見えます。論理が明確であり流石数字のゼロを発見した国の言葉だけのことはあると塾長は感じました。ちなみに過去表現の話になりますが、日本語にも平安中期頃 (10〜11世紀)までは過去の助動詞として「き」「けり」,完了の助動詞は「つ」「ぬ」「たり」「り」が存在しており、学校の古文の時間には塾長同様に頭を悩まされた方も多かったのではと思います。それが現代語文法では過去(完了)の助動詞は「た」のみとなりました。これは「たり」の連体形「たる」から「る」が落ちて「た」になったとのことです。これ自体は過去を細かく記述する表現を失い簡略化を遂げたことになります。(https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-68/ ことば研究館:古典文法では過去や完了の助動詞がたくさんあるのに,現代語ではなぜひとつしかないのですか 2019.03.19 福沢将樹 参照)過去形を「た」に合理化、統一化すると同時におそらくは付帯的表現を加味して曖昧化した意味を補填して明確にする表現の方向に切り替えたのかもしれません。室町、鎌倉以降の日本語は現代日本語に急激に接近し断然読み易くなることは、実際塾長も感じています。一方、日本語の古文の世界では未来を直接表す助動詞は存在せず、現在或いは過去の推量を表すものはあります。その中の助動詞 「む」 には推量、意志、勧誘、適当、仮定、婉曲の6通りの様々な意味があり、これは文脈に応じて判別することになります。英語の will の多義性にもちょっと似ている様にも感じます。他も含めて日本語の古文(文語)には約30数個程度の助動詞が存在していますが現代日本語(口語)では25個程度になります。現代ヒンディー語や日本語の事実を知ると、数少ない法助動詞(9個)や準法助動詞(数個)に複数の意味を持たせる英語は常に context 文脈から意味を選択させる必要が生じる言語であり、簡単な様でいて面倒な言語とも言えます。will 1つとっても複数の意味合いを持つため、初学者は混乱しがちになります。法助動詞 must にしても、〜せねばならない(義務)と、〜に違い無い(強い推測)の2つの意味を持ちますが、context 文脈からの判別に困難は通常有りませんが逐一いずれかを判断する必要が生じます。現代英語の祖先型英語がヒンディー語の様な細かな助動詞体系を持って居てのちにそれが簡略化されて来たのか、或いは元々数少ない助動詞に複数の異なる意味を兼用させていた、派生兼用させるに至ったのか、或いはこれら2者のミックスなのかについては塾長は知識無く言語学者の見解に倣う他はありませんが、英語とは、<この様な文例並びに場面では、或る法助動詞がこの様な意味を持つのだよ>と慣用表現を覚えるのが優先事項とされる言語である様に見えます。ここに、例えば英語学習に於ける習うより慣れろの精神<素直な鸚鵡脳>とその非合理性に付いていけない<論理脳>の対立の図式が成立する様に感じます。<特段に論理的思考や創造性が無くとも素直で愚直な性格ゆえ英語が話せる者> vs. <創造性や論理性を持ち人類の発展に真に寄与し得るが拘りを持ち口が回らない者>の図式でしょうか。敢えて言えば、日本人が優秀ゆえ英語が苦手なのかも知れず・・・。英語指導者自身がこの実態を自覚せず、生徒に対する指導が上手く進まないケースが実際非常に多いからこそ、多大な手間暇を掛けても英語指導が実を結ばないのでしょう。換言すれば、厳しい物言いになりますが、<特段に論理的思考や創造性が無くとも英語が話せる者>が教員免許を得て巷の英語の教師になるがゆえに日本人子弟全般に対して明快な指導が為し得ていないのではと塾長は鋭く考察します。まぁ、自身の立ち位置、来し方や脳機能の特性を客観的に生徒らに示せない訳です。勿論、問題意識を抱え優れた指導を行う尊敬すべき教師も多々存在しますし、或いはまた学究の道に入り言語学に関与する類いの者は遙かに上のレベルにあり、話は全く別ですが。だいぶ以前に、英語は論理的だが日本語は非論理的でケシカランと発言した学者も複数名居ました(敢えて名前は出しません)が、勿論発言の当人らは言語学者ではなく妄言とも言うべきでしょう。比較言語学的手法を通じて各言語の抱える<論理的欠陥>を明確に正しく意識し理解を深め、それを元に各々の言語に於いては簡潔明快な表現を心懸けることが何よりも肝要でしょう。またこれこそが語学上達の正に鍵となると思います。 |
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意志表現としての will と shall*一人称主語 I /we + will/ shall の組み合わせで、決定、提供、約束、脅迫、強い意志などを表します。*まぁ、I'll, we'll で話し手の各種の自発的意志を表現する訳です。*これらの意志表現ですが、実は全て未来に於いてそうするとの意志表明ですので、基本は未来意志表現 (future intention ) であると理解して下さい。事象としてこの先〜となる、との単純未来、未来予告に対して、そうして見せる、との意志が強く加わる表現になります。尤も、will/ shall の、未来と意志との2者間の境界線は曖昧です。*意志表現としての be going to do は to intend to do or to be planning something in the future に置換可能です。意図や未来の計画を表しますが、未来の計画についての決定は通常事前に既に為されています。その決定が前もって為されている前提での<〜となる><〜することになっている>転じて<〜するつもりだ>、の意味になります。*will と be going to は意志表現としても互いに意味的に重なりますが、will は字義通りの主語 I, will の強い意志、事前の条件に拠らないその場(話す時点)で決定される意志、或いは常態を表します。これに対し、be going to do は近い未来、状況を睨んでがゆえの、前もっての〜する意図である、〜することになっている、の意となります。これは 動名詞(〜と<条件無 く常に> すること) vs. to 不定詞 (これから条件に拠っては〜しよう)の意味合いと、との意味の違いにも似ています。*上にも触れましたが、will と be going to は未来表現、意志表現共にだいぶオーバーラップしていますが、明確な使い分けが為される場面も確実にあります。強い意志表現用法 (無生物主語にも利用可能です)に於いてはそれは明確で、will/ shall の出番になります。ここに be going to (客観性を持つ表現)の出る幕はありません。*be doing の表現も意志未来の意味を持ち得ますが、この場合は他の者と共に(或いは交えて)何かの段取りを既に行っていることを表します(〜する手筈、段取りだ)。------------------------------------------ (珈琲ショップにて)Which size do you want? Medium or large?MとLで、どちらのサイズが欲しいですか?I’ll have large. (decision)Lサイズにします。(即応的決定、選択を表す)× I'm going to have large.(何かの根拠を元にLサイズを選ぶことになる、Lサイズを選ぶ計画だった、Lサイズを選ぶことになっている、とのズレた妙な意味になります)Wait. I’ll open the door for you. (offer)待って、僕がドアを開けるよ。(その場に即しての提供)⇔I will not open the door for you!お前なんかのためにドアを開けてやらん。(提供の逆の拒絶)UK I shall contact you again when I have further information.更に情報を得た時に君にまた連絡するよ。(約束)US I will contact you again when I have further information.If you help me cook dinner, I will do the washing up.夕食をつくるのを手伝って呉れるなら、皿洗いを遣り終えるよ。(約束)Stop doing that or I'll call the police.それを止めろ、さもないと警察を呼ぶぞ。(脅迫)I have made up my mind to go and go I will.僕は行く事に決めたし行ってみせるさ。(強い意志)We shall never forget the holiday we had in Vietnam.ベトナムでの休暇を僕らはけして忘れまい。(強い意志)------------------------------------------ *意志表現としての will /shall ですが下記の様な幾つかの類似意味用法があります。命令、奨励、禁止命令You will do as I say, at once直ちに私が言う通りにしたまえ。(命令)You shall go.行きたまえ。(命令)欲望、希望、選択、遣る気、同意、或いは(否定形での)拒絶No one would take the job if we will all do our bestもし僕らがきっとベストを尽くすなら(それを知った)誰もその仕事をしようとはしないだろう。(would not で拒絶)*if 節の中では未来表現としての will は用いませんので、これは強い意志(〜してみせる)を示すものと考えてよいでしょう。Will you please stop that racket?その騒音を止めて貰えますか?(希望)Will you buy me a drink?一杯奢って呉れないか?(希望)Would you pass me the salt?塩を渡して貰えますか?(希望の婉曲表現)------------------------------------------ * shall I と shall we は未来のことを述べるのに使うよりは、寧ろ提案を行うのに利用されます。*但しこの用法は英国英語にほぼ限定され、米国英語ではあまり一般的には用いられません。〜しまょうかUK It’s getting late. Shall we go home?暗くなって来たよ。家に帰ろうよ。US It’s getting late. Let' go home.Shall I invite Louisa and Jill to the party?ルイーザとジルをパーティに招待しましょうか? |
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