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謙譲・丁寧・曖昧表現@  概論・学術文での利用1

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/
























































































































































塾長のコラム 2023年3月10日 謙譲・丁寧・曖昧表現






謙譲・丁寧・曖昧表現@




2023年3月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 modal verbs の過去形 could, would, might を用いて、非直接的な奥ゆかしい表現(謙譲表現)や丁寧な物言いをする用例をこれまでに紹介して来ました。そこで本コラムでは、modal expressions の解説シリーズ中に飛び入りさせますが、この様な謙譲表現、更には曖昧表現、丁寧表現、それと関連表現について纏めて解説して行くことにしましょう。これらは互いに重複するところがあります。

 日本語を学習中の外国人から、日本語には敬語表現が有りこれを使える様にしないと日本ではまともに勤務にありつけず苦労すると指摘されます。実際、英語には宗教的表現を除き基本的に敬語はありませんが、それでも丁寧表現は存在します。自分の意図をオブラートを被せてソフトに丁寧に伝える表現であり、自分の伝えたい中身や自己主張を曲げるものではありません。この辺の誤解の無きよう日本語の敬語表現(尊敬語・謙譲語・丁寧語)との性質の違いを考えて見るのも面白いでしょう。

 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。その第1回目です。

https://dictionary.cambridge.org/

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/hedges-just

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/vague-expressions

http://www.uefap.com/writing/feature/hedge.htm








Hedging-English Grammar 2016/09/03

Learn English  with  KT

https://youtu.be/M66SG-wjX_s


ここで採りあげられる hedge は、最後の用例として挙げられる sort  of,

kind of,  somewhat  を除き、主に formal な文中で用いられる用法です。

手短で分かり易い解説動画です。






hedge とは




hedge  (文法用語)

a  word  or  phrase  that  makes  what  you  say  less  strong

 (英文法用語)自分が言いたいことをマイルドにする言葉や語句


*hedge とは一般用語では防御壁、生け垣、垣根などの意味で用いられ、例えば日本語でもインフレヘッジ(インフレに備えてそれのリスクを低減する対抗策を取る事)などとして使われます。因みにハリネズミ  hedgehog  とは垣根 hedge に潜む豚 hog の意味です。この意味から派生して英文法用語では、自分が言いたいことをマイルドにする言葉や語句の事を指します。まぁ、ボカし表現、曖昧表現です。これは基本的に、直截な物言いをして相手の機嫌を損ねるのを避ける、或いは気遣いの出来ない不躾な奴だと思われるのを避ける (謙譲・丁寧表現)、或いは何かを断定してのちにお前がそう言っただろと相手から追及されるのを防ぐ(言質を取られない様にする)為の防御壁の言葉でもありますが、そればかりでは無く、(広義には) 物の名前が分からなくなってアレですなどと言う時のちょっと便利な言葉でもあります。


*即ち、狭義には hedge とは自己防衛の為の曖昧表現(垣根表現)ですが、広義には vague expression 曖昧表現、と同一と見做して良かろうと思います。


謙譲・丁寧・曖昧表現の間には明確な線引きが出来るものではありませんが、幾通りにかは分けて考えることが出来ます。


*話し言葉、書き言葉の両者共に利用されます。


*丁寧な会話をするには大切な要素になります。直截な物言いを避けてオブラートを被せ聴き手側の耳を刺激しないようにしつつも自説を主張する言わば一種の高等テクニックあり修辞法の1つと言えます。


*相手の機嫌を損ねることを怖れ自分が主張したいことを曲げる (people pleaser: 八方美人、someone who cares a lot about whether other people likethem, and always wants others to approve  of  their  actions: 他の者のが自己を気に入ってくれ常に自己を認めてくれるように心を砕く者) 表現ではありません。


*hedge 表現の最も通常な形態は、時制と相、法助動詞と動詞を含めた様相表現、sort of, kind of (ちょっと〜だ)の様な曖昧な用語、そして幾つかの動詞から成ります。


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Tense and aspect

 時制と相


*英文法用語 相 aspect とは、簡単に言えば完了表現と進行形のことですが、時制がピンポイントとして時間軸の中のある一点を指し示すのに対し、相は時間的連続性を示す表現になります。aspecs とはモノを三次元的に周囲から見た時の或る一面を差しますが、広さ、幅を持っている訳です。


I  wondered  if  I  could  have a word with  you?   (less  direct  and more polite than Could I have a word with you?)

 あなたとちょっとお話しせさて戴いてもても宜しいかしら?

 (Could I have a word with you? よりもより間接的で丁寧です)


<字義>言葉を交わせることが出来ればと迷っていました (→質問してもいいのかしらと散々逡巡した挙げ句、あなたに質問致します)


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Modal expressions

 様相表現


The answercouldbe that the trees have  some  sort  of  disease. (less direct than The answer is that …)

 その答えですがそれらの木々は一種の病気に罹っていると言えるだろうと思います。

 (The answer is that よりもより間接的)


Maybewe should have a word with him  about  it?  (less  direct than We should or we must have a word with him about it.)

 多分我々はそれについて彼と話を交わすべきでしょう。

 (We should or we must have a word with  him  about  it より、より間接的)


This ispossiblythe best performance in the  Olympics.

 これはオリンピックで最高の演技の可能性がある。

 (possible で断定を避ける)


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Vague language

 曖昧な用語


It’s  sort  of difficult to say. (less direct than  It’s  difficult  to  say)

 言うのはちょっと困難だね。

 (It’s difficult to say より、より間接的)


Could you  just  post this letter for me?

 この手紙をちょっと投函してくれますか?


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Verbs (feel)

 動詞 feel


* feel, suppose, reckon と言った幾つかの動詞は個人的な発言をマイルドに、即ちより間接的にする為に利用されます。


We  feel  he should let them decide whether  to  buy  the  flat.  (less direct than He should let them decide …)

 そのアパートを買うかどうか彼らの判断に任せるべきと感じるね。

 (He should let them decide …より、より間接的)


UK  I  reckon  that’s the best answer to the  problem.  (less  direct than That’s the best answer to the problem.)

 それはその問題への最善の答えだと僕は思う。

 (That’s the best answer to the problem. より、より間接的)


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cf. I suppose には様々な意味がありますが、日本人には使いこなしにくい動詞ですね。全て I think に置換可能です。


*但し、I  think  に比べると  I  suppose  は確信性は低下し、<確信は持てないけれど〜じゃあないかと思う>の意味合いになります。〜かもね。

*I suppose には、〜と思うと気懸かりだ、残念ながら〜だ、の、<思う>を述べるシーンも多いです。


* I guess は気乗りの無さを示し、〜もいいかもね、のニュアンスになります。「私は〜と推測する」などと訳さないで下さい。相当にぞんざいな口語表現です。



suppose

1. to think that something is likely to be true 本当でありそうに思う、そうではないかと思う

He found it a lot more difficult to get a job than  he  supposed  it  would be.

 そうじゃないかと思っていたより職を得る事はずっと難しいと彼は知った。


2.used to show that you think something is true,  although  you  wish that it were not:

 そうであって欲しくないが何かが本当だと思う。残念ながら〜と思う。

I suppose (that) all the tickets will be sold  by  now.

 残念ながら今はもうチケットは全て売れているだろうと思います。

≒ I'm afraid (that) all the tickets will be  sold  by  now.


cf. will = probably


3. used to show unwillingness to agree: いやいやながら同意する

"Can I go out tonight?" "Oh, I suppose  so."

 今晩出掛けてもいいですか? それもいいんぢゃあないか。


4.used when you are annoyed:

 〜だと思うと気懸かりだ

I suppose (that) you're going to be late  again.

I suppose (that) you think that's funny. Well,  I  certainly  don't.


5. used in making polite requests:

 丁寧にものを頼む

I don't suppose (that) you could lend me £5 till  tomorrow?

 明日までに5ポンドお貸し戴ければ嬉しいのですが。


6. to expect and need:

 〜を必要とすると期待される

Investment of this kind supposes (= would not be  possible  without)  an increase in the company's profits this year.

 この種の投資は今年の企業利益の増大を必要とするだろう(増大無しでは不可能だろう)。



* be  supposed  to  do  は別の意味になります。以前のコラムにて解説していますので参照して下さい。








Hedging in Academic Writing 2015/08/19  AWUC

In this video for  the  NUST MISiS Academic Writing Center,  English  Language

Fellow  John  Kotnarowski provides an introduction to the concept  of  hedging

in academic  writing. Defining hedging strategies as tools that  allow  the

writer/researcher  to be  what John Skelton calls  “confidently  uncertain”,

the video  defines the concept of hedging, explains its  importance  in

academic  research  writing  and offers an overview of three  common  hedging

strategies  complete  with examples. https://youtu.be/N_gM_GNU0Rw


“confidently  uncertain” <自信満々に不確かな>学術論文をモノする為の hedging

について、その概念の成立から意義についてまで解説が加えられます。

聴き取りにくい発語に加え、論旨が明確では無く、もうちょっと整理してスッキリした話を

してくれないものかと感じてしまいました。結晶度が高くありません。

まぁ、ヒアリングの練習台にして下さい。






Hedges in academic writing


学術的著述に於ける hedge 表現




*文章、特に学術文に於いては或る形式の hedge 表現を用います。これは、その発言が単に著者の個人的な見解(独断)に拠るものではない事を示すためのものでもありますが、他からの言質を取られない為の用心、慎重さの現れでもあるでしょう。まぁ、断定する事、言い切ってしまう事に対しての慎重姿勢を示す訳です。実際のところ、一見真実に見える事であっても、全ての分野、観点から観察される訳では無く、それが真実では無い可能性を鑑みて hedge の表現の纏を付け加えて述べることになります。或る意味、真実に対する公平且つ誠実な態度とも言えるでしょう。


*これは、他の見解に価値が有る可能性を認め更なる議論がこの先提出されることを許しますが、自身がそうなる余地、自由度、逃げの手を残すことにもなります。まぁ科学的に見て客観的な自己評定を正しく加える記述法でもありますが、勿論必要以上の hedge を加えればそれは非科学的になってしまい正しい主張が出来なくなります。


*この点からも hedge の使い方に習熟すべきでしょう。と言いますか論文を多読する内に記述の型が自ずと分かってくる筈です・・・。


*hedge にどの様な表現方法が見られるのか、これから見て行きましょう。


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受動態の利用



*しばしば  it is argued that や it has been agreed  that (〜と論議されている、同意されて来た)の様な受動態で利用します。


It  has  been  generally  agreed  thatthese new  video  phone  technologies will transform everyday life.

 (a more cautious and less personal  statement  than  I  agree that …)

 これらの新たな視聴技術は日々の生活を変容することになろうとこれまで広く同意されて来ている。

 (I agree that … よりは、より注意深くまたより非個人的な陳述となっている)


*学術論文では客観的な evidence を示す事がキモですので、個人性、主観性の極致である主語 I は使いません。この意味からも受動態が頻用される訳ですが、近頃はチーム(複数人)として論文を執筆する場合には We を主語とする能動態での記述が利用される様になりました。〜の実験が行なわれた、ではなく、我々は〜の実験を行った、〜と結論された、ではなく、我々は〜と結論したのストレートな表現です。全てを受動態で固めて記述するのは寧ろ奇妙にも見えます


(次回に続く)