様態を表す表現1 |
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2023年6月5日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで過去半年近くに亘り、英語の様相表現、即ち法助動詞とその関連表現について詳細に解説してきました。これは、話す内容の確からしさの程度と義務の念の2つを語る表現でした。様相とは少し似た言葉ですが、話のついで?とばかりに、次には、様態表現、即ち、〜に似た、〜の様だ、の一連の表現について個々に取り上げることにしましょう。まぁ、広義の比喩表現になります。他と比べることで言いたい物事がより鮮明に浮かび上がる事例は日常茶飯ですし、学問の根本的方法論を支える支柱でもあります。。これまで折に触れ断片的に解説を加えてきたものの集成ともなります。その解説の第1回目です。 英国ケンブリッジ英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。 https://dictionary.cambridge.org/https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/ashttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/as-ashttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/also-as-well-or-toohttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/as-or-likehttps://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/as-if-and-as-thoughhttps://www.etymonline.com/word/as |
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様態表現とは様態表現とは、要は、Aなるものを記述する際に、それに類似したものを併記して、読み手の想像を高め、主張することをより理解し易くする為の表現になります。これは比喩、より正確に言えば広義の直喩に相当するものです。丸で〜の様だ、恰も〜の様だ、〜と同様だ、〜と同じやり方だ、〜と類似している、そっくりだ、比肩する、などの表現を含みますが、ここでは、ちょっと幅を広げ、〜と同じぐらい〜だ、などの、いわゆる比較表限も扱います。各表現並びにその周辺の注意事項などを含めて、主に語法を主軸に話を展開して行きましょう。まずはいの一番として as を取り上げます。 |
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as*as には、副詞としての用法に加え、前置詞、接続詞、また代名詞としての用法もあります。各々、形容詞・副詞、名詞(句)、そして文章に掛かります。*各品詞の as は多義的なそれぞれ意味用法を持ち、同時に複数の解釈が可能な場合もありますがいずれも正しいと考えて良いでしょう。換言すれば曖昧性を内包する語であり、non-native には混乱を来しやすい語と言えます。まずは一通りの用法を復習がてらここで見て行きましょう。*以下品詞分類に従い解説を進めますが、as は本来は品詞分類よりは意味用法の分類を先行して理解すべき語と言えます。https://www.etymonline.com/word/asここに as の語源として、以下の記述があります:as (adv., conj., pron.)c. 1200, worn-down form of Old English alswa "quite so, wholly so," literally "all so" (see also), fully established by c. 1400. Equivalent to so; anydistinction in use is purely idiomatic. Related to German als "as, than," from Middle High German also.as (副詞、接続詞、代名詞)c. 1200年頃、古英語 alswa "quite so, wholly so "の使い古された形で、文字どおり "all so"(also を参照せよ)、だが1400年頃には完全に定着した。soと等価であり、用法に於ける違いは純粋に慣用的なものである。ドイツ語の als 「as, 〜の様に、than 〜よりも」 と関連するが、これは中高ドイツ語の also に由来する。Phrase as well "just as much" is recorded from late 15c.; the phrase also can imply "as well as not," "as well as anything else." Phrase as if, inKantian metaphysics (translating German als ob), introducing a supposition not to be taken literally, is from 1892; as an interjection of incredulity(as if!; i.e. "as if that really could happen") is attested from 1995. It duplicates Latin quasi. Phrase as it were "as if it were so" is attested fromlate 14c., also from c. 1200.フレーズ as well "同じくらい "は15世紀後半から記録されている。フレーズ also は "as well as not"、"as well as anything else "を意味することもある。カント形而上学(ドイツ語 als obの訳)で、文字通りに受け取ってはいけない意味の仮定を導入するフレーズ as if は1892年から、信じがたいと言う意味の間投詞(as if! 即ち、まるで本当に起こりうるかのようだ)は1995年から証明されている。これはラテン語のquasi と重なる。 as it were「まるでそうであるかのように」というフレーズは14世紀後半から、also は1200年頃から証明されている。*即ち、as は本来的に so の意味を持ち、quite so 全くそうだ, wholly so, all so 丸ごとそうだ、換言すれば<非常によく似ている>の意味であり、大方イコールだ、同じだ、の意味ですね。*この様態表現の源義から、様々な意味合いが派生したことになります。*これは、本来的に付帯状況を意味する分詞構文が、後に様々な意味合いを持つものへと派生した構造と非常に良く似ていると塾長は考えます。副詞としての as*複数の意味を持ちます。いずれも動詞を修飾する副詞と見倣す事が出来ますが、as 以下に省略された語句が存在すると考えれば接続詞としても考える事が出来ます。即副詞以外の品詞として考えることが可能です。*詰まりは as には多義が有り、その各々の意味に於いて文法上は各品詞として様々に利用される、と理解した方が早いでしょう。*ここでは基本的な意味について解説するに留まり、のちほどのコラムにて、他語句との組み合わせによる慣用的用法について詳述致します。*以下に述べる副詞としての as の意味は as の他の品詞にもそのまま当てはまります。*即ち単独で使用されているが故の文法上の副詞扱いですが、as の後ろにSVを加えられた場合、接続詞扱いになります。*品詞としての扱いは変化しても意味用法に元との変化は無いことになります。--------------------------------------------1. to the same degree, amount, or extent; similarly; equally同じ程度に、類似して、等しくI don't think it's as hot and humid today as it was yesterday今日は昨日ほど蒸し暑くはないと思います。(後ろの as は副詞では無く接続詞)I'm just as happy at home僕は家でも同じように楽しめる。*頭の中では、〜と同じく、〜だ、詰まりは後ろの as 以下の語句が思い起こされていることになります。*比較対照を述べずに省略している表現と言えますね。2. for example; for instance例えば〜Some flowers, as the rose, require special care.例えばバラのように特別な手入れが必要な花もあります。*such as の表現と同じです。3. thought to be or considered to be〜と考えられる、〜の通りに、〜のものとしての*真実の情報を付け加える用法ですが、関係代名詞で置換可能です。それゆえ、関係代名詞扱いする文法書もあります。*他と類似する、とのここの説明の、1,2,4とは全く異なる意味用法ですが、この用法を正しく理解している日本人は残念ながら多くはありません。*〜のものとしての、の和訳を当てても正しいです。この場合は as は、〜として、の意味の訳出になりますが、意味するところは同じです。* regard A as B AをBとして見倣す=AイコールBと見倣す、の意味用法(但しこのas は前置詞扱いになる!)に等しいものですが、as の前後が同一物、事象であることを意味している訳です。*まぁ、イコールの as ですね。連結動詞 link verb としてのbe動詞に近い機能であるとも言えます。It is the square as distinct from the rectangle.それは、長方形とは異なる正方形です。= It is the square which is thought to be distinct from the rectangle.This is the church as separate from the state.これは、国家から切り離された教会である。= This is the church which is thought to be separate from the state.romanticism as contrasted with classicism古典派に対するロマン派= romanticism which is contrasted with classicism4. in the manner (directed, agreed, promised, etc.)〜のようなやり方でShe sang as promised.彼女は約束通り歌いました。*She sang as she promised.の様に記述すれば、このas は文法的には接続詞扱いになります。He left as agreed.彼は合意通りに出発した。romanticism as contrasted with classicism古典派に対するロマン派 |
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as.....as....の構文*比較する2つの事象の程度や状態が等しいことを示します。即ち質や量に関する比較を行う表現になります。as + (形容詞 or 副詞)+as + (名詞 of 文章) の組み合わせとして用いられますが、後ろの方の as は名詞(実はこれは文章の一部)或いは文章を従えますので明らかに副詞ではありません。前方の as のみが文法的には副詞とされるでしょう。尤も、その様な品詞としてnative が区別して意識していることは無く、as.....as....の決まり文句として利用している他にはありません。等価を意味しますので、be equal to などを使って書き換えることができますが、<素直>に、 as....as... を使うのも良さそうです。He’s grown so much. He’s as tall as his father now. (adj + noun phrase)彼はとても大きく成長した。今や父親と同じぐらいの背だよ。= He’s grown so much. He’s as tall as his father is tall now.彼はとても大きく成長した。今や父親が高いのと同じぐらいに背が高い。*後ろの as は文章を本来的に従えていますので、文法的には、接続詞〜のようだ、になります。= He’s grown so much. His height is now equal to that of his father.彼はとても成長しました。身長は今は父親と同じくらいになりました。The team is still as good as it was five years ago. (adj + clause)そのチームはまだ5年前と同じぐらい良い。= The team is still as good as it was good five years ago.= The condition of the team is still equal to that of five years ago.チームのコンディションは5年前と変わらずに同等です。He is a dangerous driver. He's always driving twice as fast as allowed.奴は危険なドライバーで、許容される速度の2倍のスピードでいつも運転しているんだよ。(普通の者にはあり得ないことを現在進行形を用いて強調しています)Why did they give you so many fries? I only got half as many as you.どうしてあなたにはこんなにたくさんポテトをくれたの?私はあなたの半分しかもらえなかったよ。注意He’s as tall as his father. 彼は父親と同じ程度の身長だ、と述べているだけです。He is tall. 彼は背が高い。の意味は全く含みません。--------------------------------------------*どの程度の同一さなのかについて、適宜副詞を前に添えて述べます。I am almost/ nearly as old as my wife.私は家内とほぼ同じ年齢です。I am not almost as old as my wife.私は家内とほぼ同じ年齢ということはありません。I am not nearly as old as my wife.僕が家内と同じ歳だなんてとんでもない。(not nearly で強い否定を表します。)= My wife is much older than I.I don't know how many people live in Chicago, but there must be at least as many people there as in Los Angeles.シカゴにどれだけの人が住んでいるかは知りませんが、少なくともロサンゼルスと同じくらいの人数はいるはずです。I want to be able to speak English at least as well as you.少なくとも、あなたと同じように英語を話せるようになりたいです。--------------------------------------------*後ろの as に文章が続く場合は、しばしば短縮されたり、動詞を do で言い換えたり、法助動詞で止めたりします。The company is not performing as successfully as it did when Arthur Carling was the President. (adv + clause)その会社はアーサー・カーリングが社長だった時と同じ様には成功を遂げてはいません。= The company is not performing as successfully as it performed successfully when Arthur Carling was the President.その会社はアーサー・カーリングが社長だった時に成功を収めていたのと同じ様には成功を遂げてはいません。cf. not ...as.A as B B程にはAでないこれは、not so A as B よりは一般的です。She’s not so shy as she used to be. (less common)彼女は嘗てそうだった程にはシャイではありません。If the sales figures are as bad as predicted, the company will probably go bankrupt.If the sales figures are as bad as they have been predicted, the company will probably go bankrupt.もし、経済学者の予測通り販売状況が悪ければ、同社はおそらく倒産するだろう。(後ろの as は真実を表す用法です)You have to unwrap it as carefully as you can. It’s quite fragile.= You have to unwrap it as carefully as you can unwrap it. It’s quite fragile.できるだけ丁寧に包装を解いてください。 かなり壊れやすいんです。 |
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