挿入を表す表現1 |
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2025年1月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 今回からは挿入構文について解説していきますが、前回の同格構文と同様に、構文と言うよりは1つの表現用法と考えた方がピタリと来ますね。挿入とは要するに、元の完成された文、即ち、完全文に対し、付加的な情報を割り込ませる表現形式となりますが、逆に言えば、それらの要素を取り除いても完全文として存在し得る場合、挿入がある、と判断可能です。割り込みがある為に、文意が取りにくく成っている場合もありますが、その様な場合には、ははぁ〜ん、これは挿入表現かも知れないと判断し、括弧を利用して括ってみて下さい。括弧を用いて視覚的に判別することで格段に文意を把握することが容易になる筈です。これは日本語とは異なりアルファベットの羅列に終始する英文構造を少しでも視覚的に要素判別する方法として大きな力になります。この様な視点も併せ解説していきます。このシリーズの第1回目となります。更にこの先の予定としては、各種英語構文の内、−共通構文、強調構文、倒置構文、省略構文、−を中心に大方この順序徹りに触れて行く積もりです。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/parenthesishttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/notwithstandinghttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/nonethelesshttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/thereforehttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/hencehttps://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/indeedhttps://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/perhapshttps://en.wikipedia.org/wiki/Hamlet『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、特殊構文第2章挿入構文ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。 |
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挿入構文 Parenthesis*文の途中または終わりに、文法的には特に関係はないが説明、批評、注釈などを加える語句即ち extra-information を差し挟むことを挿入 (Parenthesis) と言います。*通例、コンマ、ダッシュ、括弧などで挿入語句を区切ります。1.同格文言の挿入*名詞 (名詞相当語句) が同格として挿入される場合ですが、身分や職名などを表わす語句が挿入される時には冠詞を省くのが普通です。*定冠詞 theがついている場合は「例の、あの」というような感じを表わします。*<固有名詞+無冠詞の身分>の組み合わせが多いです。Hamlet, heir to the king, was suspicious of his uncle.王位継承者であるハムレッ卜は叔父を疑った。(the heir の the が略されている)= Hamlet, beneficiary of the lord, was dubious of his uncle.Mr. Brown, chairman of the committee, went to New York.委員会の議長であるブラウン氏はニューヨークへ行った。(the chairman の the が略されている)= Mr. Brown, administrator of the council, went to New York.Johnson, ex-President of the U.S.A., made a fireside speech last Sunday.アメリカ合衆国前大統領ジョンソン氏は日曜日に炉辺談話をした。 (the ex-President の the が略されている)= Johnson, ex-Leader of the U.S.A., made a fireside discourse last Sunday. |
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2.語の挿入*挿入される語は however のほかに therefore, indeed, though, moreover, perhaps などの副詞が大部分になります。*これらの語は、文中に挿入せずとも、文頭、文末にも基本的に置く事が出来ますが、語ごとに置かれるべき場所が慣用的にほぼ定まって居ます*ここでは極く一部を紹介するに留まります。--------------------------------------------逆接、譲歩howeverしかし、しかしながら*文頭、文中、文尾のいずれにも置けます。*塾長の高校在学中に、however は文の途中に置くのが正しいと習ったのですが、その様な事はありません。*formal な文でも普通に文頭に置いて使われますが、文尾に置くのは formal 文中ではほぼ見られませんね。Higher sales have not helped profits,however.しかし、売上が上がったからといって、利益が上がったわけではない。They do not understand why you think it that way. You can, however, make them understand your reasons for thinking so.彼らには,君がなぜそう考えるのかわからない。しかし、あなたはそう考える理由を彼らに理解させることができます。notwithstandingnonetheless〜にも関わらず、とは言え*文頭、文中、文尾のいずれにも置けます。This was not a simple choice. It is,notwithstanding, a choice that we feel is directed by our obligation.これは単純な選択ではない。とはいえ、私たちの義務による選択であることは間違いない。A portion of the food crops fizzled.Notwithstanding, the cotton did very well.食用作物の一部は頓挫した。それにもかかわらず、綿花は非常にうまくいった。It was only a small donation, but it was gratefully received nonetheless.わずかな寄付金だったが、それでもありがたく受け取った。Today, the paying of a dowry is illegal, but the practice continues nonethelessin some areas.今日、持参金の支払いは違法だが、それでも一部の地域では慣習が続いている。though〜にも関わらず、もっとも*though を文末に置くのは口語表現です。*though を文頭に置くと、〜にも関わらずの意味の接続詞にもなりますが、これには副詞の場合も見られます。*他方、although は より formal であり、文頭のみに置きます。I am sorry about our quarrel; you started it, though.喧嘩をしたのは残念に思う。もっとも、君が先に手を出したのだが。He felt a little guilty about being overpaid, though he wasn't about to give it back.彼は過払い金があることに少し罪悪感を感じていたが、尤もそれを返すつもりはなかった。--------------------------------------------理由thereforehenceそれゆえ*文頭、文中に置けます。*理由を表す語ですので文尾には置きません。The children will be walking to the cathedral and therefore will need to wear suitable footwear and a sun hat or raincoat, depending on the weather.子どもたちはカテドラルまで歩きますので、天候に応じて適切な履物、日よけ帽子またはレインコートを着用する必要があります。Several members have not replied for over three years and their names have therefore been removed from the mailing list.何人かのメンバーは3年以上返信がないため、メーリングリストから名前が削除された。Hence, such an arrangement permits the handling of a group of pupils psychologically similar, who form a homogeneous social group.したがって、このような配置は、心理的に似た生徒のグループを扱うことを可能にし、彼らは均質な社会集団を形成する。It is not a central aspect of perception and hence need not have such a primary role in psychological inquiry.それは知覚の中心的な側面ではないので、心理学的探究においてそのような主要な役割を持つ必要はない。Peter's leaving at the end of this week - hence his anxiety to get his work finished.ピーターは今週いっぱいで退社する。- それゆえ、彼は仕事を終わらせることに不安を感じている。*hence + 名詞(句)で、前言ゆえの帰結を表します。hence はこの用法が頻用されます。*hence 以下が寸足らずな表現になり我々日本人には奇異に感じられますが、適宜SV仕立てで文章化して理解します。→Peter is leaving at the end of this week; hence, his anxiety is mounting to get his work finished.in this mannerThings are coming up. It is important, in this manner, that we ought to act immediately.物事が近づいている。斯くして、すぐに行動することが重要だ。*in this manner = in this way (こんな遣り方で)の意味であることが大半ですが、ここでは<〜なので>、と in this sense, hence に近い意味合いです。*way, manner などの物事の遣り方 how が、reason 理由の why に転じていることになりますが、how と why の混用、混乱が特に口語表現では見られる様に感じています。formal な英語の記述に於いては駄目出しを喰らうのではと思います。*物事を如何に行うかは何かの理由に基づいてそうするわけですので、手段≒理由となるのは理解出来なくもありませんが。--------------------------------------------強調indeedfor sure確かに、本当に、直前に言ったことに賛成する表現= certainlyLater, he admitted that the payments had indeed been made.その後、彼は実際に支払いが行われたことを認めた。We have nothing against diversity; indeed, we want more of it.私たちは多様性に反対しているわけではない。The engine began to sound very loud indeed.エンジンの音が確かに大きくなった。It's going to be a good day, for sure今日は確かにいい日になりそうだ。She is indeed a kind girl.彼女は本当に親切な子だ。--------------------------------------------蓋然性perhapsHe was not perhaps physically the strongest in the class.彼はクラスで一番体力があったわけではない。Perhaps, in time, the message will get through.おそらく、やがてそのメッセージは正しく伝わるだろう。cf. get though a task で困難な仕事をやり抜ける、全うするの意味ですが、get throght to someone だと to succeed in making understand 相手に理解させることに成功する、の意味になります。まぁ、思いが伝わる、説得する、の意味ですね。転じて電話が通じるの意味にも使われます。An old friend might well be able to get through to her and help her.旧友であれば、彼女を説得して助けてくれるかもしれない。=An old friend might be able to convince her and then help her.I've been calling but I can't get through to him.ずっと電話しているけど彼には電話が繋がらないんだ。 |
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